第172話 勇者、新事実に気づく。
「リクロスさん、何か倒す勝算でもついたんですか? あるなら教えてくださいよ!」
リクロスの迷いない動きに戸惑う外ない俺たちは何も分からず、リクロスの後を付いていった。
「すまんが今は時間が無い。今はわしを信じてついてきてくれ!」
リクロスは雲一つなく澄んだ眼差しを一瞬俺らに向け、走り続けた。
俺らはその後も入り口まで必死に逃げ、どうにかステルスアントが追いつく前に洞窟を抜けることが出来た。リクロスの樹木の壁を乗り越え追いかけてきたアリも不思議と洞窟を抜けた俺らを追いかける様子は無く、日陰が途切れた境界線で動きを止め、洞窟の中へと戻っていった。
「あれは······?」
「どうやら上手くいったようじゃな」
俺らはステルスアントの行動を見て、リクロスが考えていたことが薄々と分かってきた。どうやらステルスアントには日向を避ける習性があるようで日向にいる俺らを追いかけるのは止めたようだ。
「ここは危険のようだし、別の道を見つけて行こう」
洞窟を避けた一行は海岸へ向かうように西側へ足を進めた。荒野の中をひたすら歩き続けた俺たちは丸3日ほどで西の海岸へ着くことが出来た。しかし、俺たちの視界の先には想定していた風景はなく、白いモヤモヤの上に島があるかのような浮遊感が突然全身を襲った。
「雲の上······俺たち、空に浮いていたのか······?」
どうやら俺たちのいるこの地は空に浮かぶ孤島のようだ。そのため、隣にあるはずの島に向かうには空を飛ぶ必要があるということだ。勿論、そんな手立てなど持ちもしない俺たちはただ広大な空を見渡すしかなかった。
「目的を見失いましたね······。これからどうしますか神黒さん?」
「······」
俺たちはこのまま飢え死にするまでこの孤島を出られないのか······。もう諦めるしかないのか······。
俺たちは目的を失い、途方に暮れていた頃、どこからか久方ぶりの音声が聞こえてきた。
━━━勇者様の残り制限時間が7日となりました。緊急措置としてヒントを掲示しますか?━━━
7日間? この身体には制限時間があったのか······、7日間ということは俺が来たのは夏頃で今は冬の半ばだから、一度のCOでは半年間ほどしか入ることはできないということか······。そんなことより、ヒントをくれるって言っていたよな、ヒントって何だろうか?
俺は分からぬまま目の前に見える選択肢の中からyesの文字をタップした。すると放映されていた画面は拡大し、メッセージとともに謎のピンが指された地図が表示された。




