10/96
ジタンの木と薬の事
(兄上は飲んだのに病気が治らなかった…むしろ悪化したようにさえ思える)
不老不死の薬ではない。病気や怪我で死んでしまう事もあるのだ。
(国民全員が飲めれば最高なのだがな…)
この薬があるのは本当に此処灰猫宮殿の王の自室の庭のみ。ジタンの木という木になる実からしか作れない薬なのだ。
そしてこの薬を莫大な金で買いに来るのが白獅子王とその家族、そして黒豹王だ。
(自分に子供が出来たら機械いじりやジタンの木の量産をさせたい。国民が豊かに暮らせるようにしたい)
今は私利私欲の事だけを考える父王の時代だが、私か兄上が王になったら時代を変えて見せる。
「さぁ、寝るか」
ベッドに寝転ぶとふと兄の匂いがした。いつも待っていてくれて、私が遅いと私のベッドで眠って待つ兄。
(兄上…)
バニラミントの香りがする香水を使っている兄上の匂いを吸い込みながら、私は眠る事にした。




