聖女を避ける俺。
最初に書き出すのは攻略対象者だな。
まずは俺。
カイル・フォン・アルバトロス
十五歳
黄金を溶かしたような金髪に、深海のような碧色の瞳。
絶世の美女と呼ばれた亡き王妃に良く似た顔立ちの俺は、中性的なイケメンだ。
キャラ設定は、奥手なシャイボーイ。
婚約者候補達の猛アタックで女性不信になっているが、すれ違う度に聖女に微笑まれる事で次第に聖女の事が気になり、勇気を出して話し掛けてくるまで好感度を上げるという攻略法だ。
…微笑んどきゃ落ちるってチョロすぎだろ俺。
次に、兄上。
アーティア・フォン・アルバトロス。
十七歳。
輝くような金髪に、青空を思わせる澄んだ青色の瞳の持ち主。
母親似の俺とは逆に、父親に良く似た顔立ちだが、男らしいタイプのイケメン。
キャラ設定は、未来の国王となる事に気負い過ぎている繊細ボーイ。
弱音を吐けず、一目惚れして婚約を結んだはずのセシリア嬢に弱さを見せられず抱え込み、天真爛漫な聖女に癒しを求めるという、良く聞くタイプの攻略法だ。
…確かに、背負い過ぎな所はあるけど、セシリア嬢との仲も良好で要領も良いけどな?
三人目は、騎士団長の息子。
アーサー・クライン。
十八歳。
黒髪、切長の青目で、冬が似合う冷たそうなイケメンだ。
キャラ設定は、見た目通り冷たいのに聖女だけには熱烈な隠れ情熱ボーイ。
見た目で寄ってくる貴族令嬢に辟易していて、ひと睨みで令嬢達を引かせるくせに、聖女の裏表の無い性格に惹かれて、聖女だけに満面の笑みを見せる。
アーサーの前で身分の隔てなく接する姿を見せれば好感度が上がっていく、といった手順だ。
…この前、俺の薬を取りに来た時に興味本位で笑い茸舐めて涙流しながらバカ笑いしてたけどな?
四人目はは宰相の息子。
セディ・マーズ。
十六歳。
銀髪にヘーゼル色の瞳で、可愛い系のイケメンで笑顔が柔らかく人当たりがいいが実は腹黒キャラ。
次期宰相と名高く頭が良いのに、女性をゲームとして落として捨てるような女性の敵の権化のようなキャラ。
聖女といえど、軽く手玉に取れるだろうと近付くが、上手くいかずミイラ取りがミイラになる典型的なヤツだ。
セディからの色仕掛けを、鈍感力で交わす事で、ムキになったセディが落ちていくと何とも変わり映えのしない攻略法である。
…腹黒は腹黒に違いないけど、女性に対しては俺より奥手キャラが似合うと思うんだが?セシリア嬢と対面して、右手右足一緒に出して歩いてたからな?
五人目が辺境伯の息子。
ロレイン・ガーディナー。
二十歳の最年長だ。
燃えるような赤髪に黒の瞳の雄ライオンを思わせるような頼り甲斐MAXのイケメンだ。
武勇を尊ぶ我が国一番の要塞の要である辺境伯自衛騎士団の団長を勤めている彼の攻略法は、兎にも角にも魔物を屠り散らす事だ。
女性は弱く守るものであるという価値観を、根こそぎ砕き切ると膝を突き愛を囁いてくるのだ。
一番ストレートで簡単な攻略法ではあるが、魔法のステータスをMAXまで鍛えあげるという他の攻略者とは異なり、甘酸っぱい駆け引きを楽しむ事も無く、好感度上がったー!というワクワク感も無く、ただ訓練、討伐、訓練、討伐を繰り返し、魔王倒したー!の、達成感と共に求婚されるという恋愛要素は極小キャラである。
…確かに、ロレインはめちゃくちゃ強いがうさぎの魔物が出た時なんか討伐出来ずに気絶させてこっそり巣穴へ帰しているのが有名な位に、小動物至上主義だがな。
そんな奴の前で、小動物系の魔物を屠ってみろ。地の果てまで追いかけまわされそうだわ。
乙女ゲームモードの攻略者としてはこの5人。
男性サイドからは、平民の歩兵としてもスタート出来るが、彼は…攻略対象者では無い事から頭の隅に置いて置くだけにしよう。
イキナリ思い出したにしては、上出来か?
乙女ゲーム側にやたら詳しいって?
元々は、妹がやってたのを見てハマったからなー。
ゲーマー腐女子の妹は、ノリで生きてた俺の事を避けていたくせに、ゲームの事に関してはめちゃくちゃ絡んで来てたからな…
まぁ、妹の推しは、ロレインだったから他の攻略者落としたのは俺なんだが。
「…ゲームの強制力があるのかないのか。それが問題だな」
頭を抱えつつ、夕食の魔の時間を待つしかない俺だった。




