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お前も猫にかえてやろうか。にゃあ。

いつの間にか世界の猫の始まりの話になってしまった。大丈夫でしょうか?基本魔獣ですよ。あ、でもうちの子も結構気性が荒かったな。大丈夫でしょう。


 俺は紹介された宿を翌朝早くに出て再び森の中に戻ってきた。森に入るや否や可愛いモフモフどもが周りに集まってきてくれた。

「や~あ、昨日はすまなかったな。お前らの身が心配で連れて行くのが心配だったんだよ。よーしよーし。」

こいつらは特に鳴くことはしない。毛を梳きながら、静かにしてろよと言い含めていたからだろう。だが、コミュニケーションも必要だったのだ。俺は一から改める必要性を感じていた。モフモフでも自分の意思を相手に伝える事、つまり鳴き声を上げて自分の機嫌を伝えることは必要だったのだ。相手がモフモフ好きだと、好きのレベルによってはついやり過ぎてしまう恐れがある。その際にモフモフ自身の良い悪いが相手に伝わらなければ、いかに愛情表現であろうとそれは独りよがりの愚行に成り下がってしまう。双方のやり取りが必要だったのだ。俺は一匹一匹を、再度抱きしめながら櫛を入れる作業に没頭した。今度は、。鳴いて自分の意思を伝えるように。鳴き声は・・・そうだな、この世界ではついぞ聞かなかったニャーンが、いいか。バリエーションも必要だぞ。にゃん、とかミャーンとか、ちょっと機嫌が悪いときはフウ、とかでもいいかな。元の種族の声を真似るのも悪くはないが、人間を驚かさないのがいいな。驚いたり恐れたりすると人間というのはどうも独りよがりになりがちだ。そういう時は甘えて見せるのも必要だぞ。ミーミーとか、相手の警戒感を解くような、相手を和ませるような仕草も必要だ。そして自分たちが望むことを自発的にやってもらうように仕向けなければ。少々あざといぐらいが丁度いい。そんな風に言い聞かせながら俺は新たな鳴き方をモフモフどもに、こうなれば猫でいいや。猫としての心得を教え込んで過ごしたのだった。いいのか、これで?いや、良いに違いない。そのまま俺はわき目もふらずに、自分の考えを実行することに没頭した。腹が減る頃合いになるとモフモフ、いや猫たちがどこからか果物や、或いは魚などを獲ってきてくれる。一時的に中座して調理に使う鍋等や火を起こす装備、燃料用の薪何かを集めに出かけたが、その間も猫共は大人しく待っていてくれた。ほぼ1週間、寝る間も惜しんで続けた結果、恐らく転生から現在まで姿を変えた猫どもを、或いは体を梳いてやってなかった猫候補共も含めて姿を変えてやることに成功した。何故分かったのか。最後の一匹の毛梳きを終えた時、何処からか祝福するような鐘があたりになり響いたからだ。神もこの偉業を称え、祝福してくれたに違いない。俺は翌朝猫どもを森に残し、ジ・アークへやってきた。

 俺はまず、同好の士を探した。多分あいつらならわかってくれるだろう。同じモフモフを愛する者同士、気脈の通じるものがあると俺はにらんでいたのだ。彼らは、ずいぶん寂しくなった冒険者ギルド併設の酒場で、皆で酒をあおっていた。他にも数名の冒険者がいたが、どの顔も焦りのようモノで曇り、一様に暗い顔を突き合わせ、尽きるともしれない不安を語り合っていた。そうだろう。これまでこの地で不自由はあれど仕事にあぶれることなくやってきたのだ。せめて金になる仕事があれば状況は変わるのだから。ここに入り浸るのも無理はない。でも、だからこそ彼らには告げねばならないことがある。少なくともこの街の近くでは魔獣は狩れない。何故って、俺がそれを許さないからだ。図らずもそうしてしまった事のついては申し訳ないと言う気持ちはないでもない。だが、ならばこそ彼らに獣たちを殺してほしくはない。そして俺が行ったことも話すことは出来ない。獣たちにも彼らを襲ってほしくはないし、彼らが傷つくのを見るのも嫌だ。ならば、神の名の元、両者を結び付け、それが産業になればなどという案が閃いたのだ。俺の櫛は一つしかないが、毛梳きの、グルーミングの技は伝えることは出来る。この技をほかの冒険者たちに伝授して、モフモフどもが懐いてくれたなら、それは素晴らしい事ではなかろうか。まずこの提案を俺の盲を開いてくれたあの5人組に伝え、賛同を得ることを目標にする。俺は酒を飲んでいる彼らの前に立った。

「よう、久しぶりだな。こんな所で酒浸りか?だったら少し手伝ってほしいことがあるんだが、聞いてくれるかい。」

リーダーである軽装備の戦士は俺を見ると、「よう。」と声を掛けてくれたが、その表情は暗い。さもありなん。先日聞いた限りではそろそろ河岸の替え時だろうかと悩んでいたのだから。それほどここアークにおいての構造的不況は深刻だ。だから俺はさりげなく、そして明るく話しかけることにした。

「実はな、森の中を歩いていた時に、新種のモフモフを見つけたんだが・・・ああ、そうさ、あの時の奴らの同族だよ。それでな・・・口で言うよりは直接見てもらった方が早いな。」

リーダーは興味を持ってくれたようだ。俺の考えている事、それはあいつらモフモフをこの世界の愛玩動物として広めてやろうという目論見だ。あいつらモフモフは自分の意思を持っている。もともと凶悪そうな見た目に反して、意外なほどなつっこい面がある。しつけ方次第だろうが頭も良いようだ。元になった魔獣の形状次第のようだが外観もいくつものバリエーションがあり、体色も毛の長さ(短毛種も長毛種も、ミックスもいる)も様々。人間の様々な希望にこたえることが出来よう。勿論マッチングが重要だし、買えなくなる場合の注意やらいろいろ考えねばならないだろう。でもそこは「アーク周辺で発見された神の動物」として売り込むつもりだ。神の名を騙るのは気が引けるが、ミーアさまのお墨付きがあれば、人間にとってもモフモフどもにとってもきっといい結果を呼ぶだろう。後は彼らを頒布する仕組みをうまいこと作れれば、この街の魔獣に替わる重要な産業になるだろう。捕獲するまでもなくついてきてくれそうだが、ブリーディング、宣伝、飼い方の指導や関連グッズの作成、販売。そういったことをジ・アークで取りまとめ、世界中に広める。人間の自由にされるのは好まないものもいようが、そのあたりの自由はマッチング次第という事だ。俺はこの話を、魔獣が変化したものであるという部分を秘したうえで、酒場中に広めた。リーダーに話しているうちにあれよあれよという間に周りの人間が集まってきて、話が盛り上がったのだ。様々な職業の者とギルドがその仕組みと様々なグッズの制作を請け負ってくれることになった。神殿の神官たちも渡に船とばかりに協力を申し出てくれた。どうやら、一部の住民は、以前からあのモフモフどもを目撃はしていたようなのだ。あれだけ愛らしければ当然か。ただ、これまでは出会っても逃げられてしまうのが当然のようであったので、捕獲にあたっての注意点や扱いのレクチャーをしっかり行うことにして、神官が最後にそれぞれに祝福を与える。それによってジ・アーク謹製のお墨付きを頂く、それが重要なのである。話がだんだん大きくなって、一人で考えるよりはと、神官長や各ギルドのお偉いさんをも巻き込んで、様々な事態を想定した頒布マニュアルを整備することにして、頒布の運営団体、運営主体も早急に整えることになった。初めに話を持ち込んでからあれよあれよという間に話が進み、モフモフどもにどんな名前を付けようかという話になった。だから俺は提案した。とっておきの種族名を。こいつらは、ネコ、だと。神の子だから、と。そして、それまでこの世界に存在しなかった猫は、いくらも経たないうちに、あまねくこの世に広まったのであった。


猫は愛情をもって飼いましょう。犬も良いのですが彼らは噛みます。リードをつけると引き倒そうとしてきます。うちの子(風太くん、ペルシャとアメショ?のミックス)はリードをつけると全てのやる気を失くしたものですが。首輪抜けも得意でした。

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