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泥を啜れと捨てられた無能令嬢、実は「神の瞳」を持つ奇跡の聖女でした 〜隣国の冷酷皇帝は、私を閉じ込め独占し、世界ごと跪かせる〜  作者: 西園寺ミオ
第5部:全宇宙を「私有地(マイホーム)」にした星冠女王、最愛の娘を狙う多次元の侵略者を最強夫の嫉妬という名の天災で根絶やしにしました

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第73話:家族の絆、セレスティーナの「再始動(リブート)」

大陸要塞『インペリアル・エルシア』は、次元の狭間を切り裂き、未知の領域へと突き進んでいた。

 窓の外に広がるのは、星々さえも存在しない、無機質な銀色の虚無。それは「外側」の神々が支配する、感情も揺らぎもない不変の世界の入り口。


「……陛下。周囲の因果が、急速に重くなってまいりましたわ」


 私は、ギルバート様の腕の中で、銀河の瞳を鋭く光らせた。

 空間が粘り気を帯び、要塞のエンジンが悲鳴を上げ始める。

 

 突如、虚空から幾万もの「白銀の鎖」が飛び出し、要塞の四肢を縛り上げるように絡みついた。

 それは、外側の神々が放った究極の封印――『永久の停滞タイムレス・プリズン』。

 触れたものの時間を凍結し、存在そのものを「静止画」へと変える、逃れられぬ神の檻。


「……フン。不快な術だ。私の虚無さえも、この「停滞」を食らうには少々時間がかかるか。……エルシア、少しだけ待っていろ。この鎖ごと、次元の壁を噛み砕いて――」


 ギルバート様が殺意を膨らませようとした、その時。


「……ふあぁ。……パパ、ママ。……なんだか、お外がとっても『静か』ですわ?」


 私たちの足元で、お気に入りのぬいぐるみを抱えたセレスが、眠そうに目を擦りながら顔を上げました。

 本来なら、神の封印の中にいる者は思考さえも凍りつくはず。けれど、私たちの愛娘(天使)は、何事もなかったかのように欠伸をしています。


「セレス、起きてしまったの? ……ごめんなさいね。少し、お散歩の途中に『意地悪な鎖』が絡まってしまったのよ」


「……鎖? ……あ、本当ですわ。真っ白で、なんだか『古臭い』匂いがします」


 セレスがトコトコと展望窓に歩み寄り、要塞を締め上げる白銀の鎖をじっと見つめました。

 その紫の瞳が、ふわりと神秘的な光を帯びる。


『――愚かな「バグ」の一家よ。……その鎖は因果の終着。……汝らの時間はここで終わり、永遠に停止した標本となるのだ』


 虚空から、外側の管理者の嘲笑うような声が響く。

 だが、セレスはぷくっと頬を膨らませて、窓ガラスに小さな手を添えました。


「……だめですわ。パパとママとお茶会するのに、止まっちゃだめ。……えいっ! 『綺麗になーれ!』」


 パシィィィィィィィィンッ!!


 セレスの手のひらから放たれたのは、破壊の光でも、消滅の闇でもありませんでした。

 それは、すべての「終わり」を「始まり」へと強制的に戻す、純粋な『再始動リブート』の波動。


 要塞を縛っていた「永久の停滞」の鎖が、彼女の力に触れた瞬間、まるで作りたての綿菓子が水に溶けるように、呆気なく霧散していきました。

 それどころか、鎖の破片は美しい虹色の光の粒へと変わり、要塞の推進エネルギーとして吸い込まれていくではありませんか。


『……なっ!? ……「不変の理」を……書き換えただと!? ……たかが、子供の一言で……!!』


「……フフ。驚くことはありませんわ。この宇宙で最も尊いものは、王座でも理でもなく、家族の『幸せな時間』ですもの。……それを邪魔するものは、娘の魔法ですら許さないようですわね」


 私は誇らしげに微笑み、呆然としている管理者の気配へ向けて、優雅に扇子を広げました。


「……セレス、よくできましたわ。おかげでお城がとっても軽くなったみたい」


「えへへ。……パパ、また動いたですわ!」


 ギルバート様は、驚愕に目を見開いた後、満足そうにセレスを抱き上げ、その高い高いをしてあげました。


「……ああ、そうだ、セレス。よくやった。……私の娘だ、宇宙のゴミ掃除くらい朝飯前というわけか。……よし、このまま突き進め。……邪魔な『白』を、セレスの絵の具で塗り潰してやれ」


 要塞は再び加速し、もはや誰にも止められぬ勢いで「外側」の心臓部へと肉薄します。

 

 絶望の檻を、お掃除の魔法で壊してしまう。

 最強の夫婦に、最強の愛娘が加わった今、私たちの進路を遮るものは、この全宇宙のどこにも存在しないのです。

第73話、お読みいただきありがとうございました!

セレスティーナ様の「綺麗になーれ!」の一言で、神々の最終兵器が霧散するシーン……。

ミオ、書いていて可愛らしさと爽快感のあまり、思わず目尻が下がってしまいましたわ!

「可愛いは正義(物理)」をこれほど体現している一家、他にございませんわね。


ギルバート様も、娘の規格外な才能に「さすが私の娘だ」と誇らしげ。

冷徹な皇帝陛下が、娘の前ではただの「親バカなパパ」になってしまうギャップ……。

これこそが、家族愛という名の、最強の溺愛の形ですわ。


さて、セレス様の活躍で障害を突破した一行。

次話、ついに「外側」の総本山である『純白の管理会議場』へ。

そこには、自分たちの理を壊されたことに震える、プライドだけが高い神々が待ち構えています。


少しでも「セレス様の魔法に癒やされた!」「陛下の親バカっぷりが最高!」と感じていただけましたら、

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で、一家の「家族旅行(蹂躙)」を応援してくださいませ。


皆様の応援という名の「おやつ」が、次話、神々をさらに震え上がらせるセレス様の無邪気な一撃を引き出す魔力になりますの。


これからもどうぞよろしくお願いします!

それでは、神々の聖域を一家の公園に変えてしまう次回をお楽しみに。

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