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第十四章:アレクの本音


 夜も更けた砦の一角。

 中庭の片隅で、アレクは一人、剣の素振りをしていた。

 その動きは静かで、正確で、まるで祈りのようだった。


「……その構え、王都騎士団の型だな。」


 低く、重みのある声が背後から響いた。

 アレクが振り返ると、そこにはビートが立っていた。


「辺境伯閣下。」


「堅苦しいのはやめろ。

 ここには、ただの“父親”として話をしに来たんだ。」


 アレクは姿勢を正し、静かに頷いた。


「……隊長のことですか。」


「そうだ。

 お前は、あの子と共に戦ったと聞いた。

 さらに、命を懸けて、あの子を守ったともな。」


「……はい。

 ですが、あの戦いは、私一人の力ではありません。

 隊長――隊長が、すべてを見通していたからこそ、勝てた戦いです。」


 ビートはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。


「……あの子は、昔から不思議な子だった。

 幼い頃から、まるで“何かを悟っている”ような目をしていた。

 時折、私の目を見て、“あなたも昔は無茶してたんでしょう?”言われたこともあった。」


 アレクは目を見開いた。


「……それは」


「さすがに、お前も、気づいているのだろう?

 あの子の“中身”が、普通ではないことに。」


 アレクは少しだけ迷い、そして頷いた。


「はい。

 彼女の魔力には、なぜか歳月をすぎたものしか出せないオーラありました。

 言葉の重みも、判断の速さも、

 普通、私たちの年齢では到底持ち得ないものです。」


「だが、それでも――お前は、あの子を支え、信じたいと思っているのか?」


「……ええ。

 彼女が何者であれ、

 私は“今のレイ隊長”を尊敬しています。

 そして、共に戦いたいと、心から思っています。」


 ビートはふっと笑った。

 レイのは母親に昔抱いた思いだと同じだと、


「……そうか。

 なら、あの子の“盾”でいてやってくれ。

 あの子は、強いが、意外に脆い。

 自分が思うもののためなら、平気で自分を犠牲にする。

 それが、あの子の“優しさ”であり、“危うさ”だ。」


 アレクは短く息を呑み、拳を握った。


「……必ず、守ります。

 彼女がどんな過去を持っていようと、

 今の彼女を、支えると誓います。」


 ビートは満足げに頷いた。


「……それでこそ、王都騎士団の名に恥じぬ男だな。

 頼んだぞ、“盾の騎士”」


「はい、閣下――いえ、“父上”」


 ビートは目を丸くし、次の瞬間、豪快に笑った。


「……気が早いな、若造。」


 アレクは顔を赤らめ、慌てて変な言葉を吐いてしまった自分に焦った。

 どうやら、考える以上に彼女にひかれているようだ。

 アレクは赤くなりながらも頭を下げた。


「っ、失礼しました!」


「ふふ、冗談だ。

 だが、覚えておけ。

 あの子は、簡単には懐かんぞ。

 ……何せ、前世で七十年以上も生きていたらしいからな。」


 アレクは一瞬、何かを言いかけて――

 結局、何も言わずに、ただ静かに頷いた。

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