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第六話


その夜。

友利が部屋に滞在していると、コジョが部屋に入ってきた。

非常に大きなあくびをして部屋に入る。

夜だから眠いのは分かるが、本当に使用人としては態度が平気なのだろうか。


「ふぁあ。お風呂の準備が出来ましたよー。着替え置いておきますねー」


「あ、ありがとうございます」


コジョにお礼を言うと、友利は着替えを手に取る。

寝間着と思われる服ですら、とても豪勢なものに感じる。

領主の家とは凄いなぁと彼女は思う。


「……あの。コジョさん」


「んー? なんですかー?」


コジョがカジュアルな返事をする。

友利は彼女に尋ねる。


「こ、ここの使用人って足りてるんですか?」


「ふぇ? なんで急に……足りてはいるけど、複数人いてくれた方が助かるのは事実かもですね。私の他にもう一人いるんですけど、その子ばかりに押し付……任せてしまうのも気が引けるので」


友利は苦笑いしながら「なるほど」と答える。

コジョは恐らく、眠っていたのかなんなのかは分からないが、他のその人に仕事をサボって押し付けてしまうことが多かったのだろう。

だが、友利からすれば都合が良い。


「……あの!」


「おぉ……な、なんでしょう?」


友利は、あまりにも非現実的な、博打じみた発言をする。


「……ここで使用人として働かせてくださいませんかっ……!」



その頃。

レオリアは屋敷にある研究室で"ビースタル"の研究をしていた。

研究室には大量の書物と書類が散らばっている。

レオリアはカプセルに入れられた"ビースタル"見つめながら、手元の手記に何かを書きまとめている。

すると、扉が三回ノックされる。


「入ってくれ」


「失礼します」


扉を開けて入ってきたのは、猫耳の小柄で色白な女性だ。

使用人服を身にまとい青い色の縦長な瞳孔の目をしている。


「ニアか。要件は?」


「お風呂の準備をコジョさんが終わらせましたので、報告に参りました」


「そうか。わざわざ済まないな」


「いえ。それと、夜食のご用意も致しました」


「……いつも済まないな。そこに置いておいてくれ」


「はい」


ニアと呼ばれた女性は、夜食の乗せられたお盆を机に置く。

彼女は部屋の扉の前で一礼する。


「何か御用がございましたら、いつでもお申し付けください」


部屋を去ろうとした時、レオリアが彼女を呼び止める。


「あ。なら一つだけ頼みたいのだが」


「……っ! はい! なんなりと!」


驚きながらも、何かを期待しているような眼差しと口調を向ける。

レオリアはそれを聞いて微笑む。


「この屋敷に連れてきた人間の女性がいるだろう? 彼女の様子を逐一見てて欲しいんだ」


「……あぁ。コジョさんが面倒を見ていた」


「ああ。コジョだけでは少し不安でな、だから見てくれるだけで構わない。頼めないか?」


レオリアの頼みにニアは素直に頷いた。


「分かりました。手が空いた際に確認致します」


「助かる」


レオリアは彼女に微笑みかける。

ニアがお辞儀をして部屋を退出する。

部屋から数歩離れた瞬間、ニアは大きく息を吐いた。


「はぁ……レオリア様……やはり素敵ですね」


恍惚とした表情で、頬を赤く染めている。

染まった頬に両手を添え、ふふふと妖艶な笑い声を上げる。

だが、唐突に目が鋭くなった。


「……あの人間の女……何者でしょうか?」


それは敵意や警戒の現れだった。


続く

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