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【4部完結】転生したら美少女冒険者に! ~おっさんの心が旅立つ異世界冒険記~  作者:
外伝2

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番外編3 鈴の聖女1

「エレナ……エレナはいますか?」


 わたくしが、教会でお祈りをしていると、ヴァレウシス司祭長様からお呼びが?

 巡回加護者として、今度の行き先の事かしら?

 わたくしは、一旦お祈りをやめにして司祭長室へ。


 ノックをして中に入ると、いつものお優しい姿のヴァレウシス様が座っていた。


「エレナ参りましたけど、以下がなさいましたか?」

「お祈り中でしたか? 中断させてすみませんね」

「いえ、今度の巡回ルートのお話でしょうか?」

「あなたは、そういえば、ここにきて何年になりますか?」

「そうですわね……アウリス様のお世話になってから20年たちました。奉仕をさせてもらって10年で、ここに来てから3年が経ちましたわ」

「アウリス様からの神託です。まず初めにこれは、拒否権はあります」


 なんだかいつもの司祭様ではなく、言いづらそうにしている。どうしたのかしら?


「はい、どのような事ですの?」

「まずは、拒否をしても何もないので安心しなさい。」

 どういうことなのでしょうか?

 普通拒否をしたら何かあるのでは、ましてそれがアウリス様の信託でしたら?

「問題は、これを受けて失敗すれば、他の寺院に行ってもらいます。そしてこの教会に戻ることはないと思ってください」


 ん? アウリス様からの波紋ではないのでしたら、不利益は無いように思えます。

 私がどういう事と悩んでいましたら。


「エレナにとってはそうですね。この街で理由が無ければ買い物ができないぐらいの不利益でしょうか」


 ホホホと警戒に笑う司祭長を見て、それは少し一大事だと思った。

 買い物をしなくても、首都のこの活気の良さを見たり、商品のレイアウトを見ながら散歩をするのは、巡回が終わっての楽しみの1つだったから。


「普通の者にとっては出世の道が途絶えることを意味しているのでな」


 ああ、そういう事ですの。

 わたくしは出世をしたくて、アウリス様に奉仕をしているのは無なく。

 この方が好きだから、この方の教えが好きで使えたいと思っていることだから。


「そういうエレナだからこそ、この神託が下りたのでしょうな」

「受けて、達成をなされたらどうなるのですの?」

「わからん」

「えっと、わからないとは?」

「これを受けて、達成をした人物をわしは知らぬという事じゃ。記載がないのでな。いきなり返事をしろというのは難しいと……」

「受けますわ」

 「い主話を聞いていたのか?」

 「はい、ですがアウリス様の神託なのでしょう。」

 「ふむ、それは間違いのない話じゃ」

 

 アウリス様のご神託なら、わたくしは無条件に受けますわ。

 どんな試練があってもそれは、わたくしなら突破できると信じてくださっていると思いますので。


「喜んでその拝命承りますわ」

「エレナの事だからそういうとは思いましたが、わかりました。では詳細を伝える」


 詳細はこうだった。

 ここから二週間北東に、行った場所に、アウリス様の古い教会がある。

 その協会で祈りはすれば、道は開かれる。


 「司祭長様、1つお伺いいたしますが、この試練に臨んだものはいらっしゃいますの?」

 

 「わしが知る限り、20人ほどじゃな。断った者、任務が未達成の者沢山いたの。その中にはお主を育てたリーヴェ殿もいる。彼女はそれを受けて、あの教会に送られたのじゃ」


 リーヴェ様までが、未達成とはどんな試練なのでしょうか?

 信仰と慈愛を持ち合わせたリーヴェ様ですら、達成できなかった試練。

 一体、その古き教会には何が待ち受けているというのでしょう。


「本日準備をして、明日の朝向かいますわ」

「そなたがこの試練。達成することを楽しみにしている。道中も魔物とか出るので気をつけてな」


 旅の準備をして、夕方に首都エリシオンの街並みを歩こうと思う。

 いつものお店の活発さ。子供の遊ぶ姿。

 お店の皆様が声をかけたり、い歩いていると相談事を受けたり、いつも通りの日常を楽しみつつ。

 明日に備えた。


「本日中に支度を整え、明朝、出発いたしますわ」

「お主がこの試練を乗り越え、再びこの地を踏むことを心から願っているよ。……道中、魔物の出る区域もある。くれぐれも気をつけるのだよ」


 司祭長様の温かな、けれどどこか祈るような視線を背に受け、わたくしは部屋を後にした。

 旅の準備を早々に終え、夕刻。わたくしは、慣れ親しんだ首都エリシオンの街並みを歩くことにした。

 西日に照らされた石畳。威勢のいい商人たちの呼び声。路地裏から聞こえる子供たちの無邪気な笑い声。


「おや、エレナ様! 今日もお勤めご苦労様。このリンゴ、持っていきなさいな」

「エレナ様、少し膝が痛むのですが、お祈りをいただいても……?」


 歩くたびに誰かに声をかけられ、ささやかな相談事に耳を傾ける。

 そんな、当たり前で愛おしい日常がここにはあった。


 ふと、ある記憶が脳裏をよぎった。

 リーヴェ様は、どんなに首都に急ぎの用事があっても、決して自ら足を運ぼうとはしなかった。

 必ず誰かに使いを頼み、自分は遠く離れた修道院から動こうとしなかったのだ。

 どうしても本人が、出向かなければならない公務以外、あの方はこの活気あるエリシオンを避けていた。

 今なら、その理由が、わかる気がする。


 失敗すれば、二度とこの街を歩くことは叶わない。

 リーヴェ様にとって、これも信仰の1つなのだと思います。


 けれど、わたくしは足を止めない。

 アウリス様がわたくしを選んでくださったのだから。


 アウリス様。わたくし、必ず期待に応えてみせますわ。そして、またこの笑顔あふれる街に……笑顔で戻ってまいります。

 夕闇が街を包み込む中、わたくしは最後の一瞥をエリシオンの灯りに投じ、明日の旅路に向けて深く息を吸い込んだ。

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