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【5部開始】転生したら美少女冒険者に! ~おっさんの心が旅立つ異世界冒険記~  作者:
1部 旅立ち 第1章 私が死に俺が産まれた

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2話 紅き終焉の歌・・・そして

 森の闇が、私を包み込む。

冷たい風が銀髪を乱し、赤い瞳は痛みと疲れでぼやける。

裂けた黒革が肌に張りつき、ベルトの鞘は血と泥で重くなる。


 月は厚い雲に隠れ、足元の輪郭はほとんど消えていた。

聞こえるのは、風に擦れる葉と、遠くの梟の声だけ。

森全体が張り詰め、静かに私を押さえつける。


「……みんなは、どこ?」

声は細く、頼りない。返ってくるのは、茂みの奥で弾けるゴブリンの下卑た笑いだけ。

緑がかった目が点になって揺れ、枝をひっかく爪の音がじりじり迫る。背中が冷え、全身が戦慄で震える。


 奥歯を噛み、手を動かす。斬り、避け、敵を捌きながら、仲間の気配を探す。

ルーク。ミリア。カイ――ほんの数時間前まで隣にいたのに、今は声も足音もなく、視界の端にも存在の気配はない。


 胸にひっかかる不安を感じつつ、足を止める余裕はない。

次の攻撃を避け、敵を斬る。それだけに集中していた。


 戦いは夕暮れに始まった。

冬を越す金を得るため、私たちはゴブリンの巣を叩く依頼に飛びついた。


「ゴブリンは二十匹程度。あなたたちの実力なら問題ないはずよ」

村の酒場の女将は軽く笑った。

昼間のゴブリンなら余裕だった。でも夜に奇襲を受けた私たちは、森の暗がりと跳ね回るゴブリンの前で不意を突かれていた。


「多すぎたら退くぞ」

ルークが声を上げる。

「大丈夫、私が切り開くから、魔法の援護をよろしくね」私は笑って返した。

ミリアは祈りを捧げ、カイは影のように駆ける。散開はしたけど、仲間が後ろにいるだけで、背中を押され前線に飛び込める。

初戦はゴブリンの群れ、建て直せば一気に形勢は逆転できる。


 森が赤く染まる。

ゴブリンが飛びかかってくるが、私は踏み込みながら斬った。

黒い血が目の端に跳ね、鉄の匂いが鼻をかすめる。


「左!」カイの声に反応し、敵の攻撃をかわして払い斬る。

息が上がり、心臓の鼓動が手に伝わる。踏み込むたびに全身が緊張で張り詰め、次の攻撃を斬る動作が止まらない。


 だが、敵の波は止まらない。

村の情報が間違いなのか、もっと数がいる感じがする。

ルークの魔法の援護がいつの間にか消えていた。

ミリアの神の祈りが途切れ、背後のカイの足音も消えていた。

視界の端で、ゴブリンの影がちらつく。


 踏み込むたびに葉が踏まれ、地面の感触が伝わる。

心臓は跳ね、全身に緊張が張り詰める。

油断は一瞬も許されない。

次の攻撃を避け、敵を斬る。

同時に仲間の位置を確認し、動きを調整する。


剣を握り直し、汗で滑る指先を固める。深く息を吸い、踏み込んで斬る――避け、再び斬る。

倒木をまたぐとブーツが泥に沈み、足首から冷えが上がる。斜面の土が崩れ、(かかと)が根に引っかかり、視界は霧のように歪む。


「ルーク! ミリア! カイ!」 名前を呼ぶと、少しだけ背中が温かくなる。

返事はない。 みんなが、ゴブリンごときにやられるはずがない。 そう信じて私は動き出す。


 ゴブリンが飛びかかる。身をひねって首を払うと、温かい血が手の甲を叩く。

次の攻撃が迫り、息を整える暇もない。

感情は抑え、動作だけに集中する――踏み込んで斬りながら避ける。足がもつれていたら死神がやってくる。


倒れていたゴブリンに、足首を掴まれ斜面に前のめりで倒れてしまった。

鼻に土の湿りが触れ、口の中に苦さが広がる。

悔しい。怖い。終わりたくない。

恐怖で立ち上がれないなんて情けない。死にたくなければ立って動けと本能が訴えかけてきた。

肘で地面を押して膝を起こす。筋肉が悲鳴を上げても、今はいいし泣いてもいい。

動きだけは止めるな。

私の命を脅かす敵をせん滅しろ。


「……まだだよ!まだ動ける。動けるのならまだ勝てる!」


 ゴブリンの笑い声が周囲に広がる。

私は剣を支えにして体を立て直し、喉の奥から絞り出すように叫んで踏み込んだ──斬り、避け、斬りつける。

数秒でまた叩きつけられる。肺の空気が抜けて、世界の音が遠い。心臓の鼓動だけが近いくてうるさく鳴り響いてる。


 仲間がいればこんなやつら。

ゴブリンごときに不覚を取る未熟な私自身が腹に立ってくる。

頼りたいと思う弱い自分に泣けてくる。

それでもここで折れたら、ほんとに全部終わる。

みんなを見つける事や約束も、焚き火の夜も。

自分で動くのを諦めたら私が選んだ道が、私の手で途切れる。

それだけは嫌だ!


 腕を掴まれて引きずられる。剣を横に払うけど空を切る。

焦りは速さをくれるけど、狙いを壊す。

そしていつもは軽いブロードソードが鉄の塊みたいに重く感じる。

肩の裂け目が開いて、腕の力が抜ける。

体中傷だらけで、多分血だるまで動いているんだろうと思う。

こう考えれるのはまだ余裕がある

あの時の夜を思い出す。


 十五の夜、村が燃えた。母は抱きしめて「生きて」と囁いた。

父は群れに向かって、そのまま倒れた。炎の音と、焦げる匂い。泣く暇もなく、私は剣を選んだ。

復讐を選んだ。その道で彼らに会った。


「シビ、お前、剣が上手いな。前線で頑張ってくれたら俺たちがきちんとフォローする」

最初の戦いのあと、ルークは笑った。自信家だけど、背中は絶対に向けさせないやつ。

優しい天才肌の魔術師

ミリアは信心深い優しき僧侶。

カイは軽口が多いみんなを笑顔にしてくれる快速な器用な盗賊。

復習に燃えて暗い炎の中で生きてた私は彼らに合って人に戻れた。

ここを切り抜けて、苦戦しているみんなを助ける。

それまでは負けない


 村を襲った相手がゴブリンだとわかった瞬間から、きっと冷静さは削れてた。

慎重論を唱えたルークをなだめて、ゴブリンごときに負けないパーティだったので甘く見たツケかもしれないけど、

昔を思い出すにはまだ早すぎる。

「待ってて、みんな!助けに行くから。あと少しだけ持ちこたえて~!」

声に出すと胸は少し軽くなる。けど身体は依然として重いままだった。

言葉じゃ現実は浮かない。肩の重さは、言い訳じゃ動かない。


 無駄なことをやめろ、お前だけ逃げればまだ助かる可能性があるだろう。

心の奥から声が聞こえてくる思い出せよと


 炎が消えた瞬間確かに「シビ、逃げろ!」とルークの声が聞こえた。

ミリアの白い肌が爪に裂かれて闇に消えいぇ、カイの気配は木々に溶けたいった。

この状況で生き残ってると思うのか、みんな死んだんだ

私の判断ミスでな

逃げたら私だけが生き残れるかもしれないけど、

それでも私はこいつらを倒してみんなを見つける。

それにまだ死んだと決まったわけじゃない。


 ひときわ大きいゴブリンが出てくきた。

確かホブゴブリンという種族だったと思う。

背が高くて肩が広い。棍棒が赤黒く塗られた色になっていた。


 私は剣を構える。腕が震える。肩の痛みがノイズみたいに思考を乱す。深く一回だけ息を入れる。

こいつがボス格ならこいつを倒せば、こいつらは逃げ帰るはず。

逆転の一手を思いつき私は立ち向かう

ホブゴブリンの棍棒が振り下ろされ、私は剣で受け止める。

いつもなら受け流して、その滑りのスピードを借りて攻撃に移るはずが、

受け流されずに 剣が弾かれてしまった。

幸い棍棒は空を切ったのだが、剣は地面に落ちる。

手が空になる。


「……ここで決めるつもりみたいね」


 ホブゴブリンの顔を見て、私は確信した。

棍棒が振り下ろされ、私は腰に装備していたショートソードで受け止める。

体制不十分で受けたショートソードはまたしても弾かれてしまった。

体が重く、痛みが背中を貫く。冷たい泥に膝をつけ、視界が歪む。


「……ごめん」


 一瞬の静寂が訪れ、全身の力が抜けそうになる。しかし、まだ負けるわけにはいかない。

私は倒れた体を無理やり起こし、太もものベルトに入れてあるダガーを抜いた。

私はまだ負けてない。生き残る。

奴に狙いを定める暇はない。

またしても巨大な棍棒が再び振り上げられる。

振り下ろされる前に、ダガーを投げる。

刃が腕に突き刺さり、ゴブリンの短い咆哮が響く。

その隙に踏み込もうとしたが、次の瞬間、複数の爪が私を押さえつける。

背筋がきしみ、呼吸が詰まる。全身が動かなくなる。


 押し倒され。心が折れそうになる。

まだ動けて戦える。そして、動かなくなるまで、決して止まらない。

止まれば、私の存在が消える。

温かい血が服を重くし、視界の縁から黒が滲む。


ルークの色々な話に、ミリアのスープの匂い、カイの笑顔が頭をよぎる。

その記憶にすがり、私は叫び声を上げながら、ただ立ち上がる。


 私は地に落ちた剣を広い、私の意志だけが動こうとしていた。

ホブゴブリンのこん棒の一撃が向かっていた。


――私は死に、そして、俺が生まれた。

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