TRPG世界に悪神が転生したらまったくゲームにならない件について その二
最初の街はミズガルズにある村から始まります。季節は夏期でしばらく冬は来ません。全員知り合いで酒場から始まります。
酒場では様々なクエストを受けることができ、戦闘や成功に応じて経験値が手に入ります。
「酒場か。このトートル、酒なら自信があるぞ」
「どうせ幻覚に騙されて半分も飲めずに終わるのだろうな」
「邪教徒が。メイスで殴り殺すぞ」
「いいのか、こっちにはシギュンという盾があるぞ」
貴方達が和気藹々と話していたら突然店主が黙って一枚の紙を皆の前に投げた。どうやらゴブリンの討伐に関する任務のようだ。
「ちょっと待て。アニメだとこういうのって何かしら会話があるんじゃないのか。ってか黙ってそんなもの置かれたら私様なら切れるぞ」
いや、これはTRPGなんで。
「今のはロキシスの台詞だ。キモオタが転生してるんだからそれくらい言うだろう」
紛らわしいですね。だが皆は知っています。酒場の店主はそうやって依頼の情報を皆に渡すのだと。依頼を受けますか?
「受けないと始まらないだろう」
「えー。ゴブリンとの戦いなんて詩にならないじゃないですか」
「受けるわけがない。ゴブリンとの戦闘をしたところで勝利の剣が得られないからな」
「フ、デュフフ……オークと女騎士じゃないと、シチュ的に駄目ではないのか?」
「ロキシス様と同意見です」
お前らTRPGやる気あんの? まあ、とりあえず最初の意見を尊重して皆はゴブリン退治に行くことにしました。多数決は採用しません。
「ZAPZAPZAP!>>>トートル」
ロキシスさん、ゲーム違いますから。
「キャラのセリフです。ニ〇動で見たので知っていてもおかしくは無いでしょう」
はいはい。では行くことに決めました。まずどうしますか?
「どうするって、ゴブリンを退治に行くのだろう」
そうですけど……まあトートルさんは初心者ですからね。最初は情報収集からというのが鉄則です。相手の規模、住処、行動時間などですね。
「酒場のマスターに尋ねよう」
いいでしょう。トートルさんが尋ねると店主は詳しく教えてくれます。相手の住処となっている洞窟は奥にオーディンを祭る祭壇があり、出入り口は一つしかない。同じように討伐へ向かったチームはゴブリンキャスターが居たので逃げて来たらしい。だが穀物を荒らしたりするので放っておくわけにもいかない。そこで冒険者に討伐を依頼した。細かい地図や行動の書かれた紙を店主はトートルに手渡した。これで後は準備して移動するだけだろう。
「今からでもいけるのか」
今は朝ですからすぐにでもいけます。
「朝から酒場って、どんな飲んだくれ共なんですか。リアリティを追うならそんな連中は面倒だから依頼を受けないと思うんですけど」
頼みますから黙っててください、ブラーギさん。
さて、ここで準備パートです。今から皆さんは自由に買い物や情報収集などをしていただきます。三時間後に集まり出発する予定なので長い時間が掛かる行動は出来ません。ではまずトートルさん。
「既に戦闘に必要なものは購入済みだ。情報収集をしよう」
10面体ダイスを二つ振りますこれで00から99の数字を作ります。チャットルームの上の方にある奴です。95、ファンブル。情報収集を三時間やったが何も新しい情報は得られなかった。むしろゴブリンの回し者とも思われたほどだ。
「いきなり大失敗か。まあいい」
では次はブラーギさん。
「詩を作って三時間過ごします」
他には何かしないんですか。
「何をすればいいんですか」
もういいです。次はフレイさん。
「勝利の剣の情報を集めつつ武器屋に売っていないか確認します」
あ、はい。サイコロは……20。勝利の剣の情報は手に入らなかったし売ってもいない。次、ロキシスさん。
「小麦粉3キロを二袋とロープを買います。もしも小麦粉の袋をあけて散らばりにくいものなら袋を変えます」
どのような目的で?
「相手を粉塗れで真っ白にさせて視界を奪い同士討ちを誘う。これぞ孔明の最強戦術……これキャラのセリフだからな!」
あはい。サイコロの目は……ああ、05。クリティカルですね。じゃあ想像していた通りの袋とロープを購入することが出来ました。最後シギュンさん。
「どうしたらいいでしょうか、ロキ様」
「とりあえず奴隷市場で身を売れ。代金だけは集合場所に送るのだ」
「ではそうします」
はいはい、失敗失敗。奴隷市場は大きな街にしかないので売れなかった。これで全員行動が終わりゴブリンの洞窟に出発します。




