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アースガルズの私様  作者: 富良野義正
F5攻撃ラグナロク
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F5攻撃ラグナロク その三

 アースガルズからのF5攻撃により『ヨトゥン・ヘイム.com』のサーバーが約1分で落ちた事件は霧や山の巨人のみならず、全ての巨人に衝撃を与えた。最初に『アースガルズ.com』をF5攻撃したのはその前日に生まれた無名の巨人だった。一日で成長を遂げ言語まで習得した彼女は、けどまだ頭が何も知らない子供だったので、偶然押したF5が面白くて『アースガルズ.com』で連発したら落としてしまったに過ぎない。だが今回のアースガルズのF5攻撃による報復は、むしろ巨人側にとってはアースガルズの先制攻撃だと思われたのだ。


 二国の公式サーバーは死亡と強化を繰り返した。そしてまだみんなで攻めたら落ちるけどそこそこなら落ちないサーバーにまで到達したのである。


 だが現在のアースガルズの技術ではこれ以上の国家的なサーバー強化が望めないと理解したアースの神々はファイアーウォールの設計によりF5攻撃を防ごうと考えた。


「馬鹿じゃねえの……まあいいや、情弱は情弱で暇つぶしにはなる。巨人族にも少しはまともな奴がいるし、そいつを小人に化けさせてセキュリティソフト作らせよう。まあ無理難題ふっかけて納期遅らせりゃ報酬払わなくてもいいだろうさ」


 そう思ったロキはシステムの構築をさせる小人を自分に選ばせて欲しいと名乗りをあげた。小人にばけたプログラマーの巨人はシステムの構築の変わりに納期通りに作業が終わればフレイアを一週間貸し出す権利を要求した。他の小人には短時間のライブやブロマイドの抽選券で支払いを済ませていた神々には大きな代償だったが、しかし絶対に『納期通りには終わらないだろう』というロキの進言により神々は受けることにした。


 しかし、その巨人は凄まじいタイプ速度でシステムを構築し、90年代初期にはまあまあのF5攻撃を防ぐ回りくどいプログラムを作成していった。完成度のパーセントがあがるにつれて神々はやばいと思い、本当に完成した場合の全責任をロキへと押し付けようとした。


「ファァァァァァァァァァァァァァァァッ〇!!!!」


 仕方もなしにロキは完成直前のデータの保存前に停電を何度か起こし、完成を防いだ。怒った巨人は元の姿に戻りフレイアの握手権を求めた所をトールがミョルニルにてホームランした。このロキの策略によりほぼ無償でアースガルズは少しだけまともな防衛ツールを手に入れたのである。


 だがそれも最初の頃に過ぎない。


 『アースガルズ.com』のサーバーの負荷を減らすために、ほとんどの神々には高価なサーバーが配られ、そこにそれぞれのホームページの情報を作り出した。つまり『アースガルズ.com』は神々のサーバーへ転送する為のものとなったのである。代わりに神々は自らのサーバーが落ちれば自らのページが消えてしまう。


 これに関する一番の事件は、サーバーが死んだ場合のバックアップを無料で行っていたイズンのパスワードの書いた紙喪失事件だろう。メンテナンス関連も行っていたイズンのパスワードの書いた紙の消失により、イズンが休止。アースガルズの神々のサーバーは急激に重くなった。細かなエラーが蓄積され続けたせいである。消失の原因はロキであった。会議のときに鼻紙として使ってしまったのである。神々が怒るから仕方なくロキは新しいパスワードを小人に申請するが、同時にスィアツィが権利を主張。結局ロキの申請が通ると共にトールのF5攻撃によりスィアツィのサーバーが落ちて事件は執着した。


 他にも事件は幾らもあった。

 トールが成りすましてシリュムの『フレイアとのお話会』チャットに乱入。フレイアの名前で散々暴れたことによりファンクラブ会員の何十人もをニヴル・ヘルに葬った事件。全てのF5攻撃に自動的なアクセス制限をつけるシステムの穴をついて盲目のホズがバルトルのサーバーのデータをニヴル・ヘルに送った事件。チャットルームでブラギとロキが暴言を吐き合い。白熱したロキがついついホズにF5攻撃させたのが自分だと暴露し、彼女のサーバーが岩場に縛り付けられた事件……


 そして最後には、神々の恐れた日がやってくる。

 巨人達の一斉F5祭りの日が……

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