21、歌って踊れません
大学院修了のあと、進学する人が多い。
「で、マロンはどうするの?」
と、大学院の先生に聞かれた。ちなみに、X先生ではなくて、歌曲科の友だちの、先生。
私は、なぜかすごく先生方に気に入られていて、普通よその門下生とはあまり(接点がないので)話さないはずなのに、どの先生からもよく声をかけられていた。
声をかけてくださったのはQ先生と言って、ドイツリートの先生だった。
「古楽の研究所の方に進もうかと思います」
と、答えたところ、あまり良い顔をされなかった。
「マロンには古楽は合わないわよ。オペラの研修所に行けば?」
と、Q先生が話しているところにP先生がやってきた。
「マロンの進学?良いじゃない、関西方面に進出すれば」
と、いきなり、関西に行かせたがるP先生。
なんで、関西?と思ったら
「吉本に行くんでしょ?」って、お笑いかい!「歌って踊れるお笑い声楽家。イイじゃな~い」
P先生、適当に言ってるな・・・
ちなみに私、このQ先生とP先生には、本当に「吉本」と呼ばれていた。
とまあ、そんなわけで(?)結局、進路はオペラ団体の研究生になった。
ここも入学試験があったのだけど、予科はパスして本科から入れることになった。
とはいえ、貧乏だったので、ちゃんと就職して(普通職・事務)、学費を稼ぎながらの研究生だった。
音楽はお金がかかるなぁ。




