17、譜読みに追われる日々
大学院の正式名称は「音楽研究科」というらしい。
授業内容は、いわゆる一般教科ではなく、専門的な音楽科目とそれに付随するものばかりである。
たとえば、「ドイツリートと詩の解釈」「舞台表現法」とかそういう感じのものばかり。
あとは、専門科目の実技授業。
オペラの授業が週にまるまる2日間。
歌曲重唱の授業が1日。
そして、専攻科目声楽のレッスンがある。
その他に、土曜日に個人的にX先生のお宅へレッスンに行くので、歌いっぱなしである。
オペラの授業の時に、譜読みをしていては間に合わない。上演時間2時間のオペラの曲をやると決まった日から、ひたすら譜読みをして歌いこんでおく。意味も勿論調べておく。
ものすごい曲数を、どんどん歌って調べて覚えていく。
はじめのころはすごく大変だった。
そのくせバイトをしていた。
学費は全部自分で出していた。(親にも奨学金にも借りたけど)
早朝4時起きでバイトに行き、8時までやって大急ぎで学校へ行き、授業が終わって図書館か練習室で勉強をして、夕方5時から10時までバイト。
バイトから帰って、分厚いオペラの楽譜とにらめっこしながら、だいたい寝落ちの日々だった。
今考えると、なんてハードなんだ。
若かったなぁ。




