9、三年生合唱
合唱編の第九の話と少しかぶりますが、ご了承ください。
ウチの大学の3年生、声楽科は大イベントがある。
それは「第九」。
ベートーベンの第九の合唱を、NHK交響楽団と一緒に演奏する。年末恒例のアレである。
成績が極端に悪い人、合唱の授業に出てこない人は出演できない。
ちなみに、男子は1~4年まで全員出る。良いなー。(しょうがない、人数が少ないんだから)
3年生の合唱の授業は白熱だ。
はっきり言って怖い。外部からも語学指導が入る。フランス語やドイツ語の発音が悪い生徒はコテンパンにしごかれる。
そうして、選び抜かれた3年生は年末に「第九」に出られるわけである。
N響との練習が始まると、ハードになってくる。狭いスタジオに硬いイスで長時間座ったり立ったり。外人指揮者は何語かわからない言葉で喋りまくる。
ソリストが現れるといきなり現場が明るくなる。
ソリストはさすがに世界的な声楽家なので、背負っているものが違う。初めて見たときは本当に感激した。
そのソリストも
「私が初めて第九を歌ったのは、N響との合唱でした」
と言ってくれた。ああ、先輩!励まされます!
本番はとても緊張する。
緊張しているのに、テレビカメラのある場所をついついチェックしてしまう。
髪の毛の色が茶色すぎると当日でも出してもらえない。口紅が赤すぎてもダメ。
男子はチーフがないとアウト。
チーフを忘れて、トイレットペーパーを入れていたヤツがいたな、そういえば。




