8、音高組と受験組の差
年に一度声楽の試験がある。
音高出身者は、はっきり言って下手な部類らしい。そりゃ、外部から受験して来た人たちは、まず意気込みが違う。音高で仲良しこよしでやってきたのとは比べ物にならない。
声楽科はひと学年160人いる。うち男子が35人くらい。
残りの女子125人のうち、25人くらいがアルトとメゾソプラノで、100人はソプラノ。
ソプラノの競争率が高い。頑張れ、ソプラノ!
声楽の試験の時は、それはそれはみなさんドレッシーである。
化粧もするし、衣装もすごい。私はワンピースを着ていたけれど、なるべく裾が床まであるものを着ていた。
ちなみに、スカートのすそが床まであると、仁王立ちしていてもバレない。エレガントのかけらもない。
成績上位者は音楽会で歌えたり、合唱のソロができたり、夏休みの海外研修に出されたりするけれど、私はそういうのに一つもひっかかったことがない。
受験組の、素晴らしい才能の方々についていくのが精一杯である。すでにコンクールで入賞した経験のある人や、外国の有名な先生に師事しているだとか、そんな人たちと張り合うには、まだまだ実力は追いついていなかった。
残念な大学時代だった。
だったら、部活とバイトを控えろと言われても、それはできない相談である。




