25、やめる理由
「発表会編」ですが、発表会の話ではありません。
そして、少し長めです。重ね重ねすみません。
発表会から離れた話題になるけれど「やめる理由」について、書くことにする。
ピアノを始めたからには、やめる時がある。
私は大学時代から、近所の子にピアノを教えていたので、ピアノの先生歴は実はかなり長い。
初めのころはやり方が分からず、生徒さんの成長上達が見られなかった。
それが、だんだんとどのようにしたらいいのかを覚え、私も成長していった。
そして、大学院に進むとき、それまで習っていた生徒さんに、私が先生を辞めることを伝えた。
そうしたら、ある生徒さんは家に帰って大泣きしたと言う。
その子は、ピアノが特に好きだったわけでもないし、初めての生徒さんだったのもありほとんどピアノが弾けないままだった。
だけど私のことを気に入ってくれて、信頼してくれていて、私が辞めることを悲しんでくれた。
それから2年後、ピアノの先生を再開する時に、真っ先に生徒さんに戻ってくれた。
中学受験の塾が始まるまで、私の生徒でいてくれた。
全然頼りなくて、あなたがピアノをすごく上手に弾ける手伝いがほとんどできなかった、悪い先生だけど、楽しくお稽古してくれて、ありがとうね。
今頃、どうしているだろう、とふと考える。
他にも、たくさんの生徒さんがいた。
塾が始まるから、お引越しをするから、という理由で辞めていく子がいる中、ほとんどの子はやめなかった。
だけど、私の方からやめなければならなかった。
結婚して引っ越した時、それまでの生徒さんたちとお別れした。
子どもが生まれて、新しい土地で始めたお教室も、数年後にはまた引っ越しで、お別れとなった。
先生の都合で、ごめんね。
時々生徒さんたちから手紙が届く。
学校の音楽会のピアノ伴奏になりました、とか。吹奏楽部に入りました、とか。
みんな音楽が好きで、良かった。
頼りない先生だったけど、音楽の楽しさが伝わったのなら、私の仕事は無駄ではなかったように思う。
楽しい、けれど、時にしんどいこともあったけれど、みんな、子どもたちとの良い思い出。
やめる理由が、主に私にあったことだけが、悔いてならない。
発表会編はこれにて終了となります。お読みいただきありがとうございました。
次回からは私編(私の話し、18歳以降)となります。
お読みいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。




