表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなり音楽教室  作者: marron
発表会編
174/200

24、自分で選んだ曲



発表会の曲を選ぶとき、私はあまり高望みをしないで、いつも弾いている教本の2~3曲先のものを選ぶことが多い。

お教室によっては、発表会用の長い曲を渡すところもあるけれど、私はあまりそれをしない。


とはいえ、生徒さんがそういった曲を選ぶこともある。

人気のアニメや、流行った映画の主題歌など、どうしても弾きたいという子もいるからだ。

「この曲はまだ難しいから、先生が簡単に直してあげるよ」

と、編曲してあげることも多い。


ところが、その編曲すらも嫌だと言って、やりたい曲を押し通した子がいた。

当時4年生だったМ君は、まだ手が小さくて曲を選ぶのに苦労した。よく練習する子だったので指は動くのだけど、オクターブのある曲ができない。


ところが彼はオクターブのある曲を選んだ。

レベル的には問題ないけれど、オクターブが届かないと途端に簡単に聞こえてしまう曲だった。

しかし、子どもの手に無理はさせられない。

オクターブの上の音だけを弾くように指示し、譜読みをした。

しばらくすると、手が開くようになってきて、ゆっくり弾けばオクターブが届くところが出てきた。

しかし、オクターブで速く弾くのはまた技術がいる。

ゆっくり、しっかり練習を重ねて、発表会では随分とカッコよく弾けるようになった。


自分で選び、やりきったМ君はとても嬉しそうだった。

きっと彼は、その曲をずっと忘れないと思う。


男子のピアノのお稽古は色んな意味で手がかかるが、彼には素晴らしい男気を見せてもらった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ