21、緊張
小さな内輪の発表会とはいえ、ほとんどの子は緊張する。
発表会の直前のレッスンでは、発表会と同じように、名前を呼ばれたら歩いてピアノの前に行き、お辞儀をしてから始める、いわゆるリハーサルをしておく。
その時から、ガチガチの子もいる。
でも、そのリハーサルで緊張しておくと、本番はなんとかなる。
だから、リハーサルで間違えたって、忘れちゃったって、気にしないように言ってある。
緊張への一番の薬は、練習しかない。
どれだけ練習したか、どれだけ弾けているかで、緊張が自信に代わる。
そして緊張の発表会。
生徒さんは1人で舞台に歩いて行き、お辞儀をして、弾いて、お辞儀をして、戻ってくる。
当然、全て1人。誰も助けてくれない。(と、思っているけど、実際に何かあったら私が出て行くのよ!)
固い表情で出て行った生徒さんは、真剣にピアノを弾き、そして戻ってくると、みんな明るい表情をしている。
あの顔は何度見ても良いものだ。
少し、ジェットコースターから下りてきた時の顔と似ている。
子どもながらに達成感を味わったあの自信に満ちた顔。
その時の気持ちをぜひ覚えていて欲しい。
本番であまり緊張していないように見えた子に、後日レッスンの時に聞いてみた。
「緊張してなかったみたいだけど、どうだった?」
「緊張したよ・・・当然だよね」
これ言ったの、2年生。
この受け答えを聞いて、女子は2年生でも大人だなぁと感心した。




