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20、珍しい声種
第九の合唱は(年によって違うが)たいてい、上手がわがアルトで、中央が男声で、下手がわがソプラノである。
中央の男子は、アルト側がバスで、ソプラノ側がテノール、という風に並んでいる。
バスが低い方で、テノールが高い声域であるが、ウチの学年の男子に、そのどちらでもない男子がいた。
カウンターテノールだ。
テノールじゃーん!
ではない。
カウンターテノールというのは、ファルセット、いわゆる男声裏声という発声で、女声のような音域で歌うテノール歌手のことで、もののけ姫の主題歌を歌った米良さんや、フィギュアスケートの番組で歌っている岡本さん(彼はソプラニスタと名乗っているようだが)などが有名。
その男子は、どんなパートを歌うかというと、アルトを歌うことになっていた。
しかし、男子が1人アルトに混ざると見た目が悪い。
それで、彼は一番アルト寄りのバスの列に入って歌っていた。
バスのような顔をして、アルトパートを歌うため、男子だけが歌っている時、彼は口を閉じているのがわかる。
第九は年末NHKで放映されているが、そこまで見ている人はいまい。




