16、大学の合唱・3年生
ウチの大学の声楽科、3年生は大イベントがある。
それは、NHK交響楽団との共演である。
年末、テレビで第九をやっているのを見たことのある人も多いと思う。アレの合唱に出られるわけだ。
そして、実は、年末の第九の前に、もう一つ、共演している。
合唱付きの交響曲は意外と多いらしい。
NHK交響楽団(略してN響)の定期演奏会で、合唱付きのものを演奏するときにもご一緒させてもらう。
ということで、大学3年生の合唱は、N響一色になる。
N響との練習の前に、授業でみっちりしごかれる。
それからN響と練習をするため、N響の練習場に入れてもらえる。
プロの仲間入りをしたような感覚に、ドキドキと胸を高鳴らせたものだった。
オケも一流、指揮者も一流。
そんな方々とご一緒できるなんて、めったにない機会だ。この幸運がわかっているだろうか、学生諸君よ!
なーんて、その頃の私は分かっていたかどうか。
だって、練習がハードなのだ。
当然お金を払って聞きに来てくださる方がいるのだから、粗末なものを聞かせるわけにはいかない。
それを一流の指揮者がグイグイひっぱって、私たちを舞台に載せてくれるわけだ。
ハードじゃないはずがない。
学生たちの顔つきが、だんだんプロに近づいていくのが見られる、すごく濃密な時間だった。




