19、私はどこ?
地図を見ていて、自分が今どこにいるのかわからないことはないだろうか。
私はある。
女性は地図を見るのが苦手だというけれど、まさにその苦手なのが私。
地図上に目的地を見つけることはできるのに、自分がどこにいるのか、またどこを向いているのかがわからない。
その時、よく思う。
紙の地図でも、今自分がどこにいるのか光ってくれたら良いのに、と。
ピアノを弾いていると、それと同じように思うことがある。
今、自分はこの楽譜のどこを弾いているのだろうか、と。
自分が弾いているところが光ってくれたら良いのに、と。
本を読んでいて、自分がどこを読んでいるか分からなくなることはあまりない。
だけど、ピアノの楽譜はわからなくなる。
なぜかというと、ピアノの楽譜を読んで、ピアノを弾かなければならないから。一瞬でも楽譜から目を離すと、楽譜の場所が分からなくなってしまう。
子どもならなおさら。
慣れない楽譜を読み「ドミソ」だな、と理解し、鍵盤を見て、自分の指を「ドミソ」に置く。そして、弾く。
さて、次は、と楽譜を見ると、もう分からない。
子どもたちにとって、譜読みという作業は本当に大変なのだ。
地図を見て、自分の居場所の分からない私には、生徒さんの気持ちがよく分かる。




