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いきなり音楽教室  作者: marron
再びお教室編
112/200

12、ブレスレット



私はあまり左目が見えない。4年ほど前に手術をする前はほとんど見えなかった。


その頃、幼稚園児だったМ君は、私の目が悪いことがとても気になったらしい。

「そっち側からだと先生、見えないのだよ」とか

「影になって見えない」とか言っていたせいかもしれない。


右目もあまりよくないことも手伝って、少しでも暗いと楽譜が見えなかった。

「小さい電気スタンドでも付けようかと思ってるんです」

と、M君のママと話していたのを覚えていたらしい。



あるレッスンの日に、M君がブレスレット(?)をしてきた。太さ1センチ程のチューブ状になっているものだった。

「きのう、おまつりで買ったの」

と、言って見せてくれた。

「かわいいね」

と言うと、M君のリュックからもうひとつ出して(新品)

「せんせいにこれ、あげるよ」

と、くれた。

「パキってやるとひかるんだよ」

「光るの?」

ああ、夜店でよくあるよね。

「これがあれば、よくみえるよ」


彼は私の目が見えないことを、ずっと心配してくれていたらしい。お祭りで、光るコレを見つけたときに、私のことを思い出してくれたのだろう。そしてわざわざ、私の分を買って来てくれたのだ。

思わず感激してしまった。

ありがたく、それをいただき、M君の言うとおりパキっとやって、手首に付けた。

ぼんやりと光るそれに照らされて、その日はとてもよく楽譜が見えた。




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