10、バイエルという人が書いた楽譜
「〇君って、今、どこ弾いてるの?」
と、時々生徒さんに聞かれる。人の進度が気になるのだ。
同じころにピアノを習い始めた同じ年の友だちより、自分は進んでいるのだろうか、遅れているのだろうか。
たいていの場合は、自分が進んでいることをアピールしたいようだ。
私が子どものころは、ピアノを習い始めたら、最初の教本は誰でも「バイエル」だった。
「バイエル」という人が書いたから、バイエルと言う。
そのバイエルは、なかなか難しい。
基礎がしっかりしていて、似たようなことを何度も弾いたり読ませたりする。
習得すると言う意味では、よくできた教本であるが、なかなか進まない。
そんなしっかりした教本は今時の子には合わないらしく、これでピアノが嫌いになる子もいる。
他にも色々理由はあるが、昨今では「バイエル」はあまり使われなくなった。
私の生徒さんも、現在バイエルを使っている子はいない。
手の小さい子にはコレ、よく練習する子にはコレ、お家にピアノがない子はコレ、集中力のない子にはコレ、とそれぞれ違う教材を使っているので、だいたい一人2冊~3冊の教材で、同じ組み合わせの子はいない。
だから
「〇君は、バーナム4の終わりくらいかな」
と、教えたところで、トンプソン2の初めの方を弾いている子には、ナンノコッチャ?なのである。
聞いたところでわからないだろうが、一応教えておいてやろう。バーナム4の終わりとトンプソン2の初盤に大差はない。




