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いきなり音楽教室  作者: marron
再びお教室編
109/200

9、かゆい子



何かに取り組むとき、集中するまで時間がかかる子は多い。

そして、どういうわけか、集中する過程で、身体や頭がかゆくなる子がいる。


それまで、かゆいなんて微塵も感じないほど、普通におしゃべりしていたのに、いざピアノを弾こうとすると、かゆくなる。

始めてしまえばそんなにかゆくないのに、はじめようとするその一歩目がどうもかゆいらしい。

なんなんだろう?



だけど、かゆいというならしょうがない。

思う存分身体を掻きむしってもらって、気が済んだらピアノを弾く。

一度弾きだしたら、少しかゆくなっても我慢してもらう。それは鉄則。そうすると、いつの間にかピアノに集中していてかゆみは忘れる。

だから、とにかくピアノを弾きはじめるまでは、私は辛抱して待つことにしている。



ウチの生徒さんにも数人は、かゆくなる子がいる。

「はい、じゃ弾こうか」と言うと急に

「かゆい~」

と、始まる。

そしてボリボリと掻きはじめる。


ボリボリ・ボリボリ・ボリボリ・・・

ボリボリは、背中から始まって、お腹に周り、腕に行き、頭を経由して、背中に戻ってくる。

そして、いかにも届かなそうなところを掻きにくそうに掻く。


掻きにくそうだな、と思って

「掻いてあげようか?」

というと、みんな笑って、ピアノを弾きはじめる。

だけど、1人だけ

「うん」

と、言う子がいる。

私は掻くのがすっごく上手いので、すぐに満足してくださる。



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