4話:原典魔法…脳がダメなら身体に叩き込もう ☆彡
生まれてきてすみませんでした…?
不穏を限界突破したクソg…おっと、お子様達の発言。
人生において発することなく墓場に入る人間が大半だろう、ましてあのク…生意気盛りのお子様達である。
よく見ると、汗まみれ、泥まみれの様な…
「たく、クソガキ共を躾られないβakaの顔を拝もうとしたら、ソナタがまた巨乳ねーちゃんの家にしけこんでやがるとは…呆れて物も言えん」
…義理の姉、エリザベートが後ろから現れた。
相変わらず言葉が汚い…なんで神のシステムが反応しないんだこのB…
ー警告!年上女性に対する敬意の無い思想を検知!徳得ポイントを1点減点!減点します!
ー対象者、ソナタ=ニューランド!
嘘やろ、、、なんで奴はセーフでこちらだけアウト?
しかも、思っただけで?
…あ!「年上の女性に対する」だから、B…で引っかかるのか!厄介だな…。
しかし、助かった。ソナタは安堵した。
シフォニアの母を治すには、原典魔法が要る。
そして目の前の義姉はそれを高位まで使いこなす。
完璧だ。
「姉さん、実は…」
ソナタは事情を話し始めた…。
***
大陸に渡ってからのことも含めて少々長くなったが
ソナタは大陸にかかった制限のこと、徳得ポイントの概念、そしてシフォニアの母親のこと。
知る限りのことを説明した。
特に人助け、の所は「知るか。」と返ってくるんじゃないかとヒヤヒヤしたソナタだったが、意外にも瞑目して話を聞き入り、一言も水を差すこともなく。
ただ、シフォニアの方をまっすぐに、見た。
その目線をシフォニアがまっすぐに受け止めると
義姉エリザベートが鼻を鳴らした。
「まあ、分かった。…それで良い、なら」
「ありがとう!ねぇさ…」
「ソナタ、死ぬほど走ってもらうぞ。」
「…は?」
相変わらず。理解不能な義姉は艶やかな黒髪を揺らして楽しそうに笑っていた。
***
「つまり、だ。ソナタ、お前は原典魔法を忘れた」
「うっ!」
「そして、巨乳ねーちゃんのおっかさんを助けたい」
「ちょ、」
「なら、再度使える様になるしかない。この先も…まあ、いいや。それは後で良い」
「1文字間違うごとに、シャトルダッシュ100往復」
「は?」
「良いか?お前の頭は腐っている。脳にインストールしてやった原典魔法を忘れるほどにな?」
「う…」
「だから、体で覚えさせる。間違うたびにシャトルダッシュ。苦しみながら、出来の悪い頭の代わりに身体に覚えさせるんだ」
「鬼…」
「あ?」
「い、いえ!なんでもありません!美しき明星にして北の偉大なる…」
「挨拶は良い、それよりも走れ」
「待って!まだ何も間違ってない!」
「お前の人生全体がだいたい間違いだろが!」
ドガ!
ケツを蹴られて1本目のダッシュが始まったー。
そうか、ガキ達が泥まみれ汗まみれだったのは、
間違いなく同じ目に…
どうでも良い謎は解けた。ただ、問題はまだ解決していない。
***
「はあはあ、走ってきた…」
「よし、じゃあ、さっそくスキャナー、唱えてみろ」
「あ、アスクレビ…」
「アスクレ”ピ”オスだヴァカ!もう1回!」
…先は、長そうであった…
***
「あ、あ、アス、アスクレピオスのつ、杖、我はなん、じの身に住まう、病魔を問う、す、すきゃなー!」
ぽわーんと光が広がり収束する。
ー(だいぶ詠唱を短縮したが)成功だ。
「ちっ、略してんじゃねーか。まあ、いいか」
急に鬼軍曹が近づいて来た。
良い匂いがする、額がぶつかる。
「ーもう、忘れんなよ?」
額を通じて流れ込む綺麗な言葉達。
「忘れそうになったら今日の苦しさを思い出せ。弛んだ意識も引き締まるだろ」
たしかに。1056回のシャトルダッシュ100往復はハイプレイヤーのステータスが反映されたソナタをしても苦痛以外何者でもない。
忘れられない思い出()である。
その様子を見ていたシフォニアが微笑ましそうにしていた。
「お姉様は、本当にソナタさんが可愛いのですね。愛を感じます…」
「「は?」」
思わず姉弟の声がハモった。
いやいやいや、1056本のシャトルダッシュ見てませんでした?可愛い、じゃなくて「可愛がり(隠語)」ですよね!?
涙目で見るソナタに対して、姉は
「ふぅ」と一つため息を。
そして、また、だ。
まっすぐにシフォニアを見つめた。
「治す。良いんだな?」
シフォニアは真剣な顔になり頷いた。
「…お願いします。」
それを見てまた一つため息をした後。
「おい、ソナタ。依頼に応えてやれ」
ソナタにとってそれは言われなくても。ただ、姉の態度は気になった。
それは、自分に見えない「何か」を見ている目だった。
いつもの様に。




