028 特 訓 1
「……とりあえず、自衛の場合を除き、大物狩りはパス。護衛は、雇ってもらえるはずがないから、同じくパス。受注ランクが指定されているものは、当然のことながら、上のランクのは受注不能。
結局、初級ランク用の依頼、ランク指定のない常時依頼、そして同じく、ランク指定のない一般依頼か特殊依頼しかないよねぇ……」
一般依頼の中には、中堅ハンターが受けてくれるだけの充分なお金が用意できないとか、誰でもいいから受けてくれ、というような、ランクの下限指定がない依頼がたまにあるのだ。
……まあ、さすがに今の私達では受注させてもらえないだろうけど……。
特殊依頼というのは、……特殊な依頼だ。
……そのまんまだな、うん……。
危険な依頼、特殊な技能が必要な依頼、……そしてギルドが発動する、特別召集とかが、これに当たる。
まあ、私達には関係ないけどね。
「そしてギルドを通さない直接依頼は、私達だと騙されてお金を貰えないだけならまだしも、違法奴隷に売られるとか、慰み者にされて土の中、とかがあるから、危険が大きすぎるからねぇ……」
このあたりは、女性であり年少であることのデメリットだ。
男性であり、もう少し年齢が上であれば、そういう危険が少しはマシになるのだけど……。
まあ、男の子だとか屈強な若者であれば絶対安全、というわけでもないらしいけれど、私達よりは遥かに危険が少ないだろう。
「というわけで、とりあえず採取と稀少物探しかなぁ。オークのおかげで当座の資金は何とかなったし、いざという時は残りのオークを食べればしばらくは生き延びられるし……。
肉だけじゃアレだけど、仕事の途中で立ち寄った村で、野菜と交換してもらえばいいし。
多分、喜んで交換してくれると思うよ」
私の言葉に、こくりと頷くリゼルとフェン。
「……いや、リゼルはいいけれど、どうしてフェンまで頷いてるのよ!
肉だけじゃなくて野菜も食べなきゃ駄目だって、理解してるの? あんた、肉食動物なんじゃないの? そして、生後半年だって言ってなかった?」
「「…………」」
「いや、どうしてふたり共、同じような顔で私を見るのよ!
リゼル、あなた、そっち側なの!!」
はぁはぁはぁ……。
「あんまり叫ぶと、頭の血管が切れるぞ?」
「誰のせいよおおォ〜〜!!」
ぜぇぜぇぜぇ……。
* *
「というわけで、あれからフェンの収納魔法に頼らなくていい依頼を受けていたわけだけど……」
「まあ、森を出るところまでは俺が収納魔法で運んだし、森から町まで運びきれない程狩れたり採取できたりした時は収納魔法に入れっぱなしにして、別の日に運んで売ったりしたけどな」
「はいはい、感謝してるわよ。まぁ、私の使い魔なんだから、当然の仕事だけどね。
で、やっぱり思ったわけよ。……圧倒的に、稼ぎが少ない、って……」
「あ~、オークで稼げた成功体験が忘れられないのか……。欲をかくと、早死にするぞ?」
「分かってるわよ!」
本当に、コイツは……。
まあ、私の命はともかく、リゼルを危険な目に遭わせたり、死なせたりするわけにはいかない。
なので、今の状態で危険な依頼を受けるつもりはない。勿論、強い魔物が出るようなところへも立ち入らない。
じゃあ、どうすればいいかというと……。
「……だから、私達の力を底上げするのよ。それと、あまり強くなくても稼げるようにするの。
簡単で、すぐにできる方法で……」
「「…………」」
「いや、どうしてふたりとも黙り込むのよ!」
「いや、簡単に実力を上げられて、更に強くなくても稼げる方法があるなら、みんながそれを実行してるだろ……」
「お姉ちゃん、自分が無茶言ってるって、分かってる?
それって、お父さんが言ってた、アレと同じだよ。『安くて旨くて居心地が良くて、いつ行っても空いている居酒屋はないかなぁ』ってヤツ……。
安くて旨くて居心地が良いお店はあるかもしれないよ、そりゃ。
……でも、そんなお店が、いつ行っても空いているはずがないでしょ!
それと同じで、そんな条件を満たすような楽ちんな方法があるわけないでしょ!
真面目に働いているハンター達全員に喧嘩を売るような今の発言を撤回して、謝ってよ!!」
「誰に謝るのよ……。
そして、私も馬鹿じゃ……、それほど馬鹿じゃないわよ!」
「……今、どうして言い直したんだ?」
「うるさいわよっ!!」
頭の良いリゼルに向かって『自分は馬鹿じゃない』と言うのは、さすがに厳しい。
……でも、フェンに突っ込まれるのは、何か悔しい……。
「ちゃんと、策はあるわよ!
……フェン、あんた以前言っていたわよね。『属性魔法』とかいうもののことを……。
あの時はバタバタしていて軽く流しちゃったけど、アレについて、もう一度じっくりと説明してほしいのよ……」
* *
「うむむ……。つまり、魔法というものはただ魔力のぶつけ合いをするだけじゃなく、色々な自然現象に変換することによって力を増す、と……」
「ああ、火魔法だとファイアーボール、水魔法だとウォーターカッター、風魔法だとウィンドカッター、とかな。魔力をそのままぶつけ合うなんて、どれだけ原始的なんだよ……」
ぐぬぬぬぬ……。
いや、ちょっと待って!
「あんたも属性魔法は使えないって言ってたじゃないの! そして、そんな魔法は見たことがないって……。
なのに、どうしてそんなに偉そうなのよ! そして、見たこともないくせに、どうしてまるで自分が使えるみたいに詳しいのよ! あんた、生後半年の野生動物なんでしょうがっ!!」
「あ……」
「どうして自分で驚いてるのよっ!!」
* *
「……というわけで、いったん深く考えるのはやめてくれ。
そして、俺が『魔法』と言われてイメージするものを、無条件で信じてくれ。
……考えるんじゃない、感じるんだ!」
「胡散臭いわねえ……。
でも、まあ、今は他にいい考えがあるわけじゃなし、駄目で元々、やってみましょ。
リゼル、何か意見はある?」
「ううん。これは、知恵や理性でどうこうって話じゃないからね。
フェンの野生の勘と、お姉ちゃんの運の良さに懸けよう!」
「ということよ。
私達姉妹の未来を懸けるんだから、責任重大よ。フェン、頼んだわよ!」
「へ~い……」
拙作、『私、能力は平均値でって言ったよね!』の小説表紙、イラストを担当して戴いております亜方逸樹先生の相棒、茉森 晶先生の小説が、『小説家になろう』にて連載されています。
『エルフ王は唯一むに! ~隠居して趣味で刀作りにハマったら、僕、いつのまにか創剣神と呼ばれてた?~』
https://ncode.syosetu.com/n1729lv/
転生し、現代の知識を元にエルフの里を大発展させた、世界で唯一のエルフ男子ザクト・レインシス。
趣味で刀鍛冶に打ち込んでいたら、いつのまにか世間で【創剣神】と呼ばれるようになっていた!?
ザクトの作った刀剣たちが、国同士のパワーバランスを左右する。
【七神剣】として扱われ、魔族をも巻き込んだ混乱を引き起こす!
『黒魔女アーネスの、使い魔の、推しごと 〜転生召喚されたし、ご主人様を国民的アイドルにするぞ〜』(SQEXノベル刊。ここ、『小説家になろう』でも読めます。)と、『バズり女王なのに俺の声にだけフニャるひよの先輩 (旧: スーパー美人インフルエンサーなのに、冴えない俺の声にだけフニャるひよの先輩) 』に続く、第3弾!!
是非、御一読を!(^^)/




