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神 獣  作者: FUNA
17/22

017 ギルド登録 1

 ……むにゃむにゃ……。

 お腹が空いたなぁ……。何か、食べ物は……。

 あ、肉まん見っけ! よし、食べるぞ!

 ……って、あれ? 取れない……って、ああ! 今の手じゃ、うまく掴めないか……。

 こう、何とか掴んで……、よいしょ、よいしょ……。


「やめんかっ! 人の胸を揉むなああぁ〜〜っっ!!」

 びった~ん!!


「「「「「「うわああぁっ!」」」」」」


 ……あれ?

 思い切り床に叩き付けられて、……べったりと張り付いてるなぁ……。

 って、さっきの肉まんは? あれ? ええと、まさか……。

 うわわわわっ! マズい! これはマズいぞ……。

 とりあえず、舌をだらりと垂らして、白目を剥いて、ピクピクと断末魔の痙攣けいれんをしている振りをして、と……。


「ひいっ!」

「ひっ、酷い……」

「ペットか? 使い魔か? どっちにしても、寝惚ねぼけてちょっと胸に触れただけで、何も殺さなくても……」


 うむうむ、俺への酷い仕打ちに、ハンターや職員の皆さんからの非難殺到だな。

 俺への扱いの悪さを、反省するがいい!


「……いつまで死んだ振りしてるのよ! さっさと来なさい!」

 へ~い……。

 ぴょんと飛び起きて、すたすたとセリアの足元へ……。


「「「「「「えええええええ〜〜っっ!!」」」」」」

 みんな、驚いてるな。

 俺がこれくらいでどうにかなるわけないだろ。

 セリアも、検証作業でそれを知っているから、平気で床に叩き付けたんだよ。

 あれで、セリアは優しいからな。

 ここにいるみんなは、俺の芸のひとつ、『必殺、死んだ振り!』に引っ掛かったというわけだ。

 ……どこが『必殺』なのかは不明だけど……。

 俺が必ず死ぬ、ってことかな?


 まあ、とにかく、今日はリゼルの見習い登録に来たわけだ。

 その後、セリアがリゼルの指導役であることを登録して、最後にふたりと1匹でパーティ登録、というわけだ。


 ……あ、俺はまだ人間がひとりで抱えられる大きさだから、『1匹』なんだってさ、単位が。

 これが、人間には抱えられないくらいになれば、『1頭』になるらしい。早く出世せねば……。

 前世では、『不出世のサラリーマン』だったからなぁ。

『不世出』ではなく、『不出世』なのだ、ふはははは……、はァ……。


「この子の見習い登録をお願いします。私が、指導役で……。

 それが終わったら、私達ふたりと使い魔のこの子で、パーティ登録を」

「はい、分かりました。では、この登録申請書に御記入をお願いします」


 指導役は見習い登録書に記名するみたいだな。なら、パーティ登録とで、記入する書類は2枚か。

 セリアとリゼルはふたりとも読み書きができるらしく、どちらもセリアが自分で記入している。

 ……そして受付の人は、勿論、若くて美人のお姉さんだ。

 当たり前だよな!

 よし、ちょっと愛想を振りまいておくか……。


「にゃ~ん……」

「「「「「「……え?」」」」」」


「こら! あんた、猫じゃなくて狼でしょ!」

 あ、イカン!

 女性にウケる可愛い鳴き声を、と思ったら、つい猫の鳴き声を出しちゃったよ……。

 狼、狼、と……。


 あれ?

 狼って、何て鳴くんだ?

 ワンワン、じゃないよな?

 え、ええと……。

 遠吠え(ハウル)とは違うよな?

 遠吠えじゃなく、狼の仔の、可愛い鳴き声って……。


 ええい、もう、ワンでいいや、ワンで!

 どうせ、狼と犬の区別なんか分かんないだろ!!


「……わん!」

 勿論、うっかりと『わんデシ!』なんて言ったりはしないぞ。

 つぶらな瞳、可愛らしい仕草。

 どうだ、庇護欲をくすぐりまくる、このラブリーな俺様は!

 思う存分、モフってくれてもいいのだぞ? 女性限定で!!


「はい、これで問題ありません。登録処理とハンター証ができるまで、しばらくお待ちください」

 ……あれ?

 この俺の、ラブリー攻撃が効いていないだと?


「フェン、さっきから何、片目だけまばたきしてるの? 目にゴミでも入ったの?」

 ぐぬぬぬぬ……。


     *     *


「……あ、登録するパーティ名が抜けていますね。すみません、見落としていました。

 何という名にされますか?」

「え……。ど、どうしようか……」

 ん? そんなの、セリアが勝手に決めればいいだろ。パーティリーダーなんだから……。

 少なくとも、使い魔が決めるものじゃないだろ。

 そう、思念を送り込んだ。

 ……うん、精神感応なんだから、声とは違って、送りたい相手にだけ送れるんだよ。

 リゼルも、『任せた!』っていうような顔をしている。


 ……。


 …………。


 ………………。


 セリア、大苦戦中。

 命名、苦手だったか……。

 仕方ない、助け船を出してやるか……。

 セリアとリゼルにだけ届くように、と……。


『パーティ名は、「フェンリル」でどうだ?

 フェン、セリアの『リ』、そしてリゼルの『ル』を合わせて……』


「……それって、私がいなくても、フェンと、リゼルの『リ』と『ル』だけでも成り立つじゃないの!」

『あ……』

「確かに……」

「それに、どうしてフェンの名前がフルネームで入っていて、私とリゼルは1文字だけなのよ!」

『あ……』

「確かに……」


 セリアの指摘に、納得の言葉しか出ない、俺とリゼル。

 そして……。


「「「「「「…………」」」」」」

 近くにいる職員やハンター達が、俺達……というか、セリアとリゼルを黙って見詰めている。

 ……うん、そりゃあ、いくら俺の思念をセリアとリゼルにだけ届くようにしていても、セリアが俺の発言の存在を(・・・・・・・・)前提とした返事(・・・・・・・)をしたら、目立つわなぁ……。


 突然、脈絡のない謎の発言をする少女。

 そりゃ、目立つ。

 そして奇異の目で見られ、……警戒される。

 危ないヤツなんじゃないかと思われて……。


 あ、セリアのヤツ、気付いたな。顔が真っ赤になってやがる。

 助けを求めるような顔でこっちを見ているけど、今、俺が下手にフォローしようとすると、多分、更にドツボにハマる。

 ここは、自力で何とかしてもらうしかないよな……。


「そ、そそそ、そうだ! パーティ名は、『フェンリル』! 『フェンリル』に決めましたっ!!」

「……あ、ハイ……。そんなに大声で叫ばなくてもいいですよ……」

 セリアの渾身のカバーに、受付嬢からの呆れたような言葉が……。

 まあ、何とかセリアと受付嬢の間で会話が繋がったから、良しとするか。



『ポーション頼みで生き延びます!』書籍12巻、3月2日、刊行予定です。

よろしくお願いいたします!(^^)/


そして来週は、私の誕生日があったり、確定申告があったり、通院があったり、書籍化作業があったりするので、「なろう」更新を1回お休みさせていただきます。(^^ゞ

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― 新着の感想 ―
みだりに生母の名を使うなよな~ それに使い魔自身の名は3番目において「セリフェ」と名乗るべし もしくは前世の知恵を絞って…ワルキュリア、オーディン、ガイア、いざなみ、あめつち等々
他の方への返信から。 》書くのは、年齢、身長、髪の色くらいですかねえ……。 これ、嘘です。絶対嘘です。 胸のサイズだけは毎回、詳細に描写してますよ、FUNAさんは。 まぁ、その全てに加えて、キ…
ねっこみたいに寝ぼけてふみふみしてたと見たっ
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