75話 条件によっては
ある程度の金額に見当がついたので油田に話しても良かったのだが油田が席を外していたので話すことが出来なかった。それ以上に咲夜は、知佳が車の売買だけで終わらせるようには思えなかった。普段の知佳であれば原価の様な値段で何か相手に吹っ掛けるか、高額な代金にするかのどちらかなのだが今回はどちらでも無かった。そんなことを考えていると油田が戻ってきた。
「すいません、飲み物出してませんでした。これ、ペットボトルですが」
そう言って油田は、二人にペットボトルを差し出してきた。二人は軽く頭を下げて受け取った。
「それで、どうなりましたか」
「ある程度、出来ましたよ」
すると、知佳が金額を読み上げた。
「車、1800万G、トレーラーは、車台が100万Gただタンクに関しては、値段が決まらないので未定で作製に掛かった金額のみ請求になりここで出せる合計が1900万G」
「1900万ですか」
「ええ、1900万です。やっぱり厳しいですか」
「出せないことも無い金額ですが、払ってしまうと経営が危険な領域になってしまいます」
知佳も咲夜も、こうなることは分かっていた。油田が需要が常に高い石油を扱ってるとはいえ、扱える量にも限りがあるのでそれほど大きな金額を持っているとも思えなかった。
「そうですか、そうなるとトレーラーだけ購入しますか」
「いえ、今ある車では小さなトレーラーにドラム缶を1本入れるだけでも限界ですから」
油田は、トレーラーに関しては1台持っていいたのだが、それは非常に小さなもので咲夜が普段扱っているトレーラーに積み重ねて10台以上は入りそうなぐらい小さい物だった。そんなトレーラーで限界の様な電気自動車には、咲夜のトレーラーは引くことが出来ない。当然咲夜も引けないことは分かっていたのだが無いよりはましだろうと考えた。
「そうですよね。車だけでも意味がないですし」
「はい、タンク付きのトレーラーの方が重要ですから牽引できる限界は3000Kgですか?」
「そうですね、3700~4000Kgぐらいですね」
「そうなると、幾らぐらい運べますかね」
「原油なら1kLが約0.85t〜0.9t、知佳計算お願い」
「1kLが約0.85t〜0.9tなら3,300〜3,500Lになる」
「結構運べるな」
「うん、でもその分容器も大きくなる」
「そうだな」
咲夜が、1KL当たりの重量を覚えていたのも簡単な問題ではあったのだが、知佳が直ぐに概算を出したのも油田にとっては驚きのようではあった。二人にとっては何時ものことで何も感じはしなかったのだが初めて見る人にとっては驚きでしかなかった。そんな二人を、じっと見ていたもんだからその視線に咲夜が気が付いた。
「どうしましたか」
「いえ、すぐに運べる量まで出て来たもんですから驚きしかなく」
「そうですか」
「そうですよ、石油の重量なんて覚えている人なんてそうそういないですよ」
「そうですかね」
「そうですよ」
話は、それてしまったのだが求めている物と障害となっている物が分かっているので話し合いはそこまで難しいものではなかった。
「それで、どうしますか」
「正直、両方とも諦めたくはないですよ」
「そうですよ」
「でも、資金はどうも仕様がありません」
「内装に関しては、ほぼない状態でもエンジンなど、どうやっても変えることが出来ないパーツはあるので」
「そうですよね」
「出来たとしても、エンジンが中古になってしまいます」
「中古になると何が起きますか」
「あの車にはV12が乗っています。これは、今のところ私が所有している車にしか乗っていなく今回油田さんに付けるものv8です」
「何が変わりますか」
「そこまで大きく変わることは無いです、急激な加速が出来ないとか坂道でパワーが若干無いように感じるぐらいです」
「そう、ですかV12は積めないんですよね」
「ええ、警察でも積んでいないので」
「そうですか、それで中古というにはどういうことですか」
「あの車には以前V8が積んであったんですかv12に変更したので数百キロしか走っていないエンジンがあるんです」
「それをつけて貰えるということですか」
「そうするとエンジン代が若干下がります」
「どれくらいですか」
「80万Gにはなるとは思います」
「そうですか」
この金額はほぼ言い値で咲夜が100万と言えば100万となるのだが、この金額は異様に安いものでv8の作製には150万ほど掛かっており80万で売ってしまうと赤字でしかなかった。少し油田は、考えるようなしぐさをしていた。しかし、すぐに答えは出たようだった。
「中古のエンジンでお願いします」
「わかりました。そうすると合計が1800万Gですね。これでもしんどいですか」
「はい、正直1500万が今支払る金額ですね」
「そうですか」
この金額は、車の原価ではあったのだが、この金額になってしまうと咲夜が赤字になってしまう金額だった。しばらく、悩みこんでいた二人だったのだが、計算以来一言も喋っていなかった知佳が声を上げた。
「条件によっては、すべて無料にします」
知佳の一言で、油田は何を言っているんだとと言った感じだった。そしてそれは、咲夜の同じでまた突拍子もないことを言い出したと思った咲夜だったのだがこの交渉に関しては、知佳に任せているのでこれ以上口出しするわけにもいかなかった。




