71話 答えは完成で
咲夜はプロペラだけの注文を数えてみると2000枚ほどで一機10枚使うとしたら200機分の量だった。
「流石に多すぎないか」
「想像してたよりは少ない」
「ここまでの台数想定していたのか」
「想定では、500機まで行くと思ってた」
「そこまでいくか―」
「プロペラ機は意外と活躍してるから」
「ジェットエンジンの開発が進んでもか」
「短距離離着陸とか燃費を考えるとプロペラの方が良いから」
「そうだな」
咲夜も知佳も作製機に当たってある程度、学習はしていた。しかし、知佳の方は水上機の作製に当たってさらに深くまで調べていたこともあり知佳の方が知識量は多かった。
「これ、素材まで決まってないがどうしたら良いと思う?」
「書いてないの?」
「ほら」
注文表には、何枚としか書かれておらず納期に関しても書かれていなかった。さすがに何も書かれていないのでどうしたら良いのかわからなかった。
「返信してみたら」
「そうするしかないな」
「でも、他の素材も準備する?」
「今の機体はどんな素材なんだ昔が木だったことは知ってるんだが」
「えっと確か外装とかがアルミ合金かカーボンになるかな」
「その両方は無いのか」
「ありはするとは思うけどコストが高くならない?」
「なるとは思うが、強度が気になる」
「そこまで心配すること」
「ああ、あまりにもリアルすぎる世界何かあった時訴訟が起きたりしないか」
「確かに」
この世界では、まだ訴訟の話は出ていなかったが出る可能性は少なくなかった。そして、咲夜が作ったプロペラにより航空機が墜落した時責任を負うのは咲夜のだから心配するのも当然だった。
「訴訟が心配だがな」
「作製機で何か出てないの」
「出ていなかった気がするな」
「調べてみたら」
「そうだな」
各種特許に関しては詳しい情報が記載されており、例えば咲夜が最近よく乗っているアメ車は、何台作製されたかまた作製したプレイヤーは誰かまで記載されいたのだが、耐久に関しては記載されていなかった。
「書かれてないな」
「そう、でも書かれていないといろいろ不便じゃない」
「そうだな、でも特許に記載されているのもおかしくないか」
「確かにそうね」
「例えば、車体とかに記載されているのは分かるが」
「その通りなんじゃない」
「検証してみる価値はあるか」
「確かめよ」
「そうだな」
2人は立ち上がりアメ車に移動した。
「車両自体の記録は、電子端末内でしょ」
「そうだな」
「なら、私はこ車を調べる」
「了解」
咲夜は、運転席に座って登録内容を確認したのだが、そこには製造日などある程度の情報が書かれており耐久に関しては何も書かれていなかった。一応、もう一台の方も確認したのだがアメ車と同様何も書かれていなかった。
「こっちには何も書かれて無かった」
「こっちも、車体に何も貼られていないし書かれてもない」
「寿命や耐久年数はどれも基本的に長さは使用者に寄るだろ」
「使用頻度で変化する」
「車に関しては特にだろ」
「そうね、咲夜のお父さんの車も数十年前の車だものね」
「ああ、あれは相当昔の車両だしな」
「そうでしょ、流石にエンジン」
急に、知佳が何も言わなくなったので咲夜は、何か問題が起きたのかと思い知佳の方を見たのだが知佳は、何か考えているような感じだった。
「どうしたんだ」
「ねえ、エンジンとか消耗部品はどう」
「例えば、エンジンオイルとかその辺か」
「そう」
咲夜も知佳が何を言いたいのかが、わかってきた確かに車本体に関しては、使い方や維持管理で寿命は変動していくそれでも当然劣化していくものも含まれていた。そして、この世界は現実世界と同じなので同じように劣化していくこと考えれば必然と分かってきた。
「オイルの確認は難しいが、他に何かないか」
「何かといわれても」
「そうだな、バッテリーはどうだ」
「それが、効率的」
咲夜は、手元にあるボンネットを開くためのレバーを引っ張った。すると、ボンネットがボンと言って若干上に上がった。既に、知佳は車の前に居るのだが身長が低い上に車高自体も高いので開けることが出来なかった。
「開けないのか」
「開けれるけど」
「届かないのか」
「分かっているなら言わなくてもいい」
「そうだが」
ボンネットは運転席のレバーを引いても完全に開くわけではないのでボンネットが上に上がることで出来た隙間に手を入れ固定していた場所にあるレバーをもう一度上げることでボンネットは、油圧のダンパーで上がる様になっているので手を離すと勝手に開いた。これでエンジンルーム内を確認できるようになった。
咲夜がボンネットを開けている間に知佳は足場となりそうな木製の箱を持ってきた。
「確かバッテリーは」
この車のエンジンルームは実車と同じ場所に物を配置している上にこの車自体を設計したのは咲夜なので場所は、わかっていた。
「有った」
「どこ」
「ここ」
知佳は、咲夜が指さした場所を見た。そして、そこにあるバッテリーには、文字は何も書かれていなかったのだがQRコードだけは書かれていた。
「これ」
「QRコードだな」
「特許、持ってる人居るんだ」
「いや、これだけはゲーム側が持ってる」
咲夜は、毎晩特許に関しては確認しているのだが、いくつかゲーム側が取得している特許の一つだった。
「なら電子端末で読み取れる」
「そうだな」
咲夜は、コードをカメラで読み取ると車の登録の内容と同じものが確認できたのだがそこには、先ほどまでとは異なり使用期限が書かれていた。咲夜の画面を覗き込んでいた知佳は、自身の予想があって嬉しそうだったのだが逆に咲夜は心配な顔だった。
「予想通りね」
「ああ」
「うれしくないの」
「うれしいが、プロペラはどうなんだ」
「確かに」
知佳も咲夜の心配が分かった。プロペラも同じように寿命があるのだがそこも管理の仕方だった。
「寿命は、分かるか?」
「この形状は、新しく作った物だから分からないけど、元にしたやつは、カーボンとかの複合材で1万5000時間から3万時間または、3年から5年でオーバーホールだった」
「そうなると、こっちでも同じか」
「そう言いたいけどそうとも限らない」
「そうだよな」
「実験はこっちでやるしかないのか」
「そうなると、注文は待ちになるのか」
「そうなりそうだが」
それでも咲夜の中には疑問に残ることがあった。
「なあ、耐久が分かってない物を知佳は買うか」
「物による」
「プロペラでは」
「買わない、危なすぎる」
「そうだよな、なら何でNPCの会社は買ったんだ、この得体も知れない物を」
「そこは、疑問ね」
「そうだろ、そうなると既に耐久は分かっているような感じじゃないか」
「そうね」
「同じようにQRコードがあるのかもな」
「願うしかない」
「出来上がるの待つか」
結局、答え合わせは、出来上がってからになった。




