44話 2基
設計を行っていた咲夜だったのだがさすがに量も多かったので3分の1が終わるころにひかりが部屋に入ってきた。
「おはよう」
「おはようなのか」
「うん、入る時朝の8時だったよ」
「そうなのか」
実際に咲夜は気が付いてないだけで既に2台警察を作っていることを忘れており、3時間ごとのタイマーをかけてやっているので作製自体は進んでいた。
「それで、いま何してるの?」
「あー、飛行機の主翼」
「は?何言っての」
「飛行機の主翼」
再度何を書いてるのかを言うとひかりはあきれたような反応をした。ここに瑠璃も居たら同じように驚くのではと思ったひかりではあったのだがこのことを瑠璃も知っているとは知らないのでこう思っていた。
「もうそんな領域に入ってるの?」
「入ってるというか入らざる負えなかった感じかな」
「どんな感じよ」
「長距離移動しようとしたときに必要になった」
「どんな移動距離よ」
「まあ、いずれわかる」
「そうですか」
「それで、何か用があったんじゃないか」
「忘れてた。車後どれくらいで出来そう」
「えっと、後110分だな」
「了解」
そう言うとひかりは部屋を後にした。
ーーー
ひかりが出て行った後も咲夜は設計を続けて半分に差し掛かったタイミングで作業を切り上げた。丁度車が出来上がったタイミングでもあったからでもあった。
何時もと同じように作製室に行くとひかりがおり、何かデジャブを感じつつも車を引きだした。
「何作るんだ」
「ピアス」
「穴なんて開いてたっけ」
「開いてるよ」
「いつの間に開けたんだ」
「先週ぐらいに病院で開けたよ」
「病院もう機能してんだな」
「うーん、どうなんだろう死なない限り利用することなさそうだけど、詳しいことは分からないんだよね」
「確かに大きなけがをしたことないからな」
「そうなんだよね。逆に聞きたいんだけど消防署とか病院とか、から車の注文入ってないの?」
「入ってはいないな、今のところ警察だけだな」
「救急車も作って置いたら」
「そうだな」
実際注文が警察経由で入る可能性は無いとは言うことはできなかった。咲夜が警察車両を納品し始めてから警察車両が死亡判定を食らったプレイヤーを運んでおり現状警察車両はフル稼働で稼働していない時間の方が少ないくらいだった。そのことを知らない咲夜は、必要なのかと思いながらもうまくやれば警察車両と同じようにドル箱と化けるとわかっていたのだが何しろ製作機が足りないために警察車両の増産を渋っているので作るとも作らないとも言えない状況だった。
「大きさによっては宅配のトラックにもなるんじゃない」
「そこは、良いところなんだけどあまりにもやらないといけないことが多すぎる」
「それは、そう。今素材とかはどうしてるの?」
「警察車両で注文を貰った分は先に購入して一台ごとに分けて保管してる」
「そうなんだ。じゃあ現状は、警察の車両優先な感じ?」
「ひとまずはそうなるな」
「もう、警察ATMと化してるじゃん」
「大きな声では言えないけどな」
実際に咲夜の収入の大半が警察となっている現状でひかりの表現は的を得ていた。そして、咲夜も警察が必要としている物を提供できるが自身だけと言う状況を理解していた。
ーーー
何時もの車両の納品を終えた咲夜は、一旦本拠点に戻りあのアメ車に乗り変えてから格納庫に向っていた。数日前知佳の車は、トレーラーで回収していたので知佳はすでに格納庫に向っており格納庫が知佳が近づいたときに知佳の車を見つけた。咲夜は、知佳の車の後ろに付けて走行していた。そのまま格納庫に2台揃て格納庫に入って行った。
「意外に早かったね」
「そんなに時間のかかる作業じゃないし」
「あれ、元々積んでたの」
「家出る前に積んでた」
「そう言うことね」
「それで買い出しはどうだった」
「私のお金がなくなったぐらい」
「結構買ったな」
「トレーラーが無いのは不満だけどね」
「免許取ったら?」
「良いけど、めんどくさい以上に運転する自身が無い」
「難しくはある」
トレーラーは、車に引かれている状況なので車輪のついた振り子で運転するのは難易度が高い物であった。その為現実世界でも牽引している自家用車は少なかった。そもそも無人配達を使えばいいので必要ないとも言えた。
二人は、一旦知佳が買ってきた素材を下ろしていったのだがその大半は瑠璃に注文されたもので軽い物だけだったので知佳だけで積み込めたみたいだったが何分出来るだけ大量に注文されていたこともあり満載になっていた。荷下ろしに意外に体力を消費した咲夜は、これを積みこまさせたことに申し分け無くなりながらも作業を続け終わったとき二人は、前の格納庫から運んで来ていたソファーに腰を下ろしていた。
しばらく休憩した二人は、本来の目的であるものを運び出すことにした。
「運びだすか」
「そうね」
「運び出す道具は持って来てはいるけど」
「めんどくさいと」
「そうだろう」
「そうだけど、新しくトレーラー作る?」
「それも、有ではある」
「でも、ひとまず確認しよう」
普段であればめんどくさがる知佳よりも咲夜がめんどくさがっていた。
そして、咲夜がトレーラーの扉を開けると奥にエンジンが2機横並びで置いてあった。




