父と娘1
クレイは、レッドグリズリーの解体を終えると、王女に声をかけた。
「ラベンダー様、これでお解りかと思いますが、ラベンダー様の腕では、弱いモンスターなら、倒せるかもしれませんが、強いモンスターなら、命を落とします。ラベンダー様の能力では、狩りや、冒険に出るのは、無防かと思います。」
クレイは、遠慮なく、はっきりと言った。
王女は、俯いている。
治療魔法は、パーティを組んだ時に、味方を治療出来る、優秀な能力ではあるが、それは生き残れたならの話であって、治療出来る猶予が無ければ、パーティは全滅であるし、ある程度、自分で戦え無ければいけない。パーティの後ろで守られていたとしても、前衛が全滅してしまえば、待っているのは死である。
神官の冒険者は、治療能力だけでなく、攻撃のノウハウも、必要である。
それが魔法による攻撃であれ、剣であれ。しかし、先ほどの戦闘で、王女は、剣でしか攻撃していない。攻撃魔法が、無いからであろう。
「ラベンダー、分かったかな?お主では、まだまだ技量が足りんのだ。訓練で、1対1で、ある程度戦えたとしても、それは人との話だ。モンスターには剣が効きにくいときもあるし、力やスピードも違う。騎士ですら、負傷する強さなのだよ、ワシとて、レッドグリズリーなら、なんとか倒せるが、もっと強いモンスターだと可能性は低い。ジャックにかなり鍛えて貰って、ようやくこのレベルだ。才能だけではなく、訓練と実戦、経験が、モノを言う世界なんだよ。ラベンダーには、どれも足りない。分かるね?」
王は、娘に、こう言った。
「でも、城に居ては、訓練は、騎士としか出来ないではありませんか!私は、もっと強くなりたいのです!全てが足りないのは、自覚しました、ですが、強くなる為の手立てが、私には不足しているのです。お父様、何とかなりませんでしょうか?」
王女は王に食い下がる。
「うーむ、しかし、危険な多い森に、騎士達と来ても、今回のような事があれば、命を落とす可能性が高いぞ。」
王は、娘に諭すように言う。
「お父様、クレイ様と一緒なら、安全なのでは?」
王女は、クレイに目をつけた。
「むむ、なるほど、たしかにこの森であれば、それはそうだろうが、クレイは、これから、色々な所を、冒険するのだ。この森以上に、クレイですら危険な場所をな。技量の足りないお前では、足手まといだ!」




