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初恋のお姉さんが「〝何もしてない〟のに彼氏に捨てられた」と泣きついてきたので、保護してしまった  作者: シゲ ノゴローZZ


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第13話 結婚の意思有り(お姉ちゃん判定)

 言うまでもないが、姉ちゃんの配信は全然上手くいってない。掴みの動画とやらは時間をかけるだけかけて『ネタ思いつかないし、そもそも私は実写なんだから動画作るよりも、ひたすら生放送した方が賢くない?』と、結局お蔵入り(なんだったんだよ、この三週間は)。ようやく始まった生放送も終始グダグダ、引きこもりニートだからトークネタなんか無くても当然なんだけどね。


「結構頑張ってるんだけど全然人来ないよー」

「そりゃ無言時間長いし……」

「だってさー、同時接続数が一桁なんだよ? ゼロの時だってあるしー」


 気持ちは分かるんだけど、配信ってそういうもんじゃない? デビュー前から登録者数万人、デビュー当初から同時接続一万人前後いる大手企業のVTuberがおかしいだけで、普通はそうなるのよ。


「大手事務所入ろうかなぁ」

「もう遅いと思うよ」


 配信業界の旬という意味でも遅いし、実年齢的にも遅い。仮に十年早く行動を起こしてたとしても、無理だったと思うけどね。


「そうかな? 三十五歳越えてるのにエロ釣りで稼いでる人とかいるよ?」

「それは若いころに積み上げたものがあるからでしょ? グラビアだのMCだの、そういう活動をやってたからこそで」

「私も大手事務所さえ行けば、超新星的な感じで行けると思うんだけどなー」


 世の中を舐めすぎなんだよなぁ。そりゃそういう人もいるだろうけど、それは特殊な例だよ? 成功者の陰には、無名のまま消えた人の屍が積みあがってると思うよ?


「同時接続一桁のお姉ちゃんを雇ってくれる事務所なんて、まともなところじゃないと思うよ」

「まずは実績作りかぁ」


 実績の前にトークネタ作った方がいいんじゃないかな。誰よりも時間あっただろうに、何も蓄えてこなかったのはまずいって(まあ自分を磨けるような人はニートになんかならんだろうけど)。


「なんで人が来ないのかなぁ? 私って他の一般配信者より可愛いと思うんだけど」

「それはそうかもしれんけど、結局カメラ補正とかでそこまで差がつかないんじゃないの?」

「あっ……」

「誤魔化しが利かないリアルイベントならまだしも、ネット配信だからねぇ」

「そっか、そうだよね。SNSで無加工の可愛い写真上げたところで、加工したと思われちゃうのか」


 まあ、そういうの抜きにしても無理だと思うけどね。可愛いだけで食っていけるほど甘い世界じゃないんだって、知らんけど。今はもう、需要と供給のバランスが壊れちゃってるだろうし。


「俺的には何もしないよりは配信活動してくれる方がマシなんだけど、可能であればお仕事してほしいなぁって」

「安牌を求めるならそうなんだろうけど、十年後、二十年後厳しくない? 若いうちに大成功狙った方がいいと思うんだ」


 お姉ちゃん、ホームランってのは努力を積み上げたものにしか打てないんだよ。まぐれで打てることもあるかもしれないけど、大体は一発屋で終わるよ。


「やっぱり生足と谷間を出すべきかなぁ」

「それだけはやめて」

「あっ、嫉妬してる? 可愛いなぁ」


 んぐっ……。お姉ちゃん、相思相愛だったと発覚してからスキンシップ激しいんだよなぁ(最初の頃はお互い気まずかったけど、気付いたら昔みたいな距離感になっていた)。聞けば、今までは俺の方から手を出してくるのを待っていたらしい。


「バイトでもいいから挑戦してみない?」

「配信とかプライベートの時間減っちゃうじゃん」

「配信で月十万くらい収益出せるようになったら、即座にやめてもいいから」

「バイトしながら月十万は難しいと思うなぁ。結局長時間配信した人間が勝つ世界だしさぁ」


 資産がたんまりあるなら配信に賭けてもいいんだけど、いうて五百万よ? 機材とかその辺の経費を引いたらもっと減るし、そもそも贈与税だけで既に五十万程取られちゃってるし。


「短期バイトでもいいから頑張ってよ、お願いだから」

「なんで建志君は、そんなにお姉ちゃんを働かせようとするの? 一緒に過ごす時間が減っちゃうんだよ?」

「働かないと一緒に過ごせなくなるからだよ」


 俺の部署は夜勤がないし、残業も月によっては少ない、ボーナスも毎年出るなんて保証はどこにもない。物価もアホみたいに高いし、自炊すらできないニートを養う余裕なんてないんだよね。お姉ちゃんのご両親から貰ったお金なんて、そのうち尽きるだろうし(最低でも二年は顔を見せるなと言ってたが、多分二年後もお姉ちゃんは実家出禁な気がする)。


「えっ……? それって……つまりそういうこと?」

「そう! そういうこと!」


 お姉ちゃんが何をどう解釈したか分からないけど、とりあえず肯定しておいた。とにもかくにも働いてほしいからね。


「よしっ! じゃあ頑張ってバイトしてみるよ!」

「その意気だよ、お姉ちゃん」


 なんか分からんけど、やる気を出してくれたようで何よりだ。あの物臭なお姉ちゃんが急にやる気を出したっていうのはいささか不気味だけど、下手に水を差してやる気を損ねても困るし、とりあえず何も聞かずに応援しておこう。

 まあ、どうせ長続きしないだろうけどね、バイトも配信も。


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