表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
24/35

第24話 やっぱり、この流れ。

東の窓から差し込む柔らかな朝日――――

いまだベッドで寝ているディセルネを起こそうと、ヤーナが女神の頬を舐めた。


『おい、ディセルネ、起きろ。みんなとっくに起きてるぞ』


掛け物から覗く小さな鼻は、スピスピと小さな寝息を立てている。

ヤーナは掛け布団の端を咥えると、足元へ向かって引っ張った。

 

「……ん、ヤーナかぇ?」

半分だけ開いた目を擦りながら、ヤーナに持っていかれた掛け布団を手繰り寄せはじめるディセルネ。


『もう寝るんじゃないぞ。ほら、朝ごはんだ。行くぞ』

ディセルネの体にフワフワの頭を押し付けて、必死に起こそうとするヤーナ。


「わかった、わかった。もう起きるぞよ。

こら、押すでない……、

うわぁ‼︎

おっ、落ちるぅ」


ディセルネの小さな体がベッドの端へと追いやられ、上半身が床めがけて傾いだ――その時。


スッと伸ばされた逞しい腕。

 

「おはよう、ディセルネちゃん。危なかったね、ベッドから転げ落ちるところだったよ」

間一髪でレオンに受け止められたディセルネ。

 

「レオン……、ありがとう、なのじゃ」

「ディセルネちゃんは、寝相がわるいんだね。まぁ、子どもって寝てる時はよく動くって言うし、そんなもんなのかな?」

ディセルネを抱えたレオンは、ダイニングへと足を向けた。

 

「妾の寝相がわるいんじゃなくて、ヤーナが押したから落ちそうになったのじゃ。それに妾は幼子ではないぞよ」


「あはは!そうだった、ディセルネちゃんは子どもじゃないね。


……このくらいの歳の子どもって、子ども扱いされるのが嫌な年頃か?」


「レオン、心の声が口から吐き出されておるぞよ。それに、何度も言うとるがのぅ……幼子ではないと」


口を尖らせて抗議するディセルネの頭を、レオンは宥めるかのように撫でる。

「はいはい、そうだった、そうだった。ごめん、ごめん」


「レオン、其方全く信じとらんし、ごめんとも思うとらんのじゃないのかぇ?」


「そんなことないよ」

「それじゃ、なぜ其方の口の端はピクピクしとるのじゃ?

笑いを堪えとるのが、妾にもわかるぞよ」


賑やかなディセルネとレオンに、エプロン姿のマルタから声がかかる。

「おはよう、ディセルネちゃん。よく眠れたかい?」


「マルタおばちゃん、おはようなのじゃ。快眠じゃ」


ディセルネの返事に、すかさずレオンが返した。

「快眠を通り越して、爆睡だよね。ベッドから落ちるくらいに」


ぷぅっと頬を膨らませたディセルネが、レオンを見上げて一言。

「妾、意地悪を言う者とは、仲ようなれんかもしれんぞよ?」


「うわぁぁ!

ごめん、ごめん。揶揄いすぎた。本当にごめんなさい」

慌てたレオンがディセルネの両脇に手を添え、彼の目の前に持ち上げる。


『良かったな、ディセルネ。“高い高い”だぁ』

両足をプラプラさせながら、ディセルネはチラリとヤーナに視線を向けた。


『其方も妾を揶揄うて……。それより、助けてくれんかのう?』

『いや、クマには勝てん。諦めろ、ディセルネ』


ディセルネがヤーナと念話を交わしていると、さらに焦った様子でレオンが話しかけてくる。


「ねぇ、ディセルネちゃん。こっち見てよ。もう口きいてくれない?」


「……レオン、妾は地面に足をつけたいんじゃが。いつまでも足が宙ぶらりんじゃ、心許のうて」


さっとディセルネを床に下ろすと、勢いよく膝をついて両手を組んだレオン。

まるで祈りを捧げるかのようなポーズで、ディセルネを見つめる彼。


「レオン、何をしておるのじゃ?妾は神じゃが、今祈られてものぅ」

眉を八の字にしたディセルネは、首を傾げた。


「ディセルネちゃんに許して欲しくて、懺悔してるところ。

……あぁ、今度は“神様ごっこ”か。よし、わかった。その遊びもやろう!」

 

「妾も冗談じゃよ。そもそも、怒ってなぞおらん。

……ん⁇

“神様ごっこ”とな?

あぁ、もうよい。幼子でも、“ごっこ遊び”でも」

はぁっとため息を吐いたディセルネに、ヤーナが言う。


『何か、前もこんな場面あったよな』








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ