下校
俺はミナといつも通り下校していた。
「文化祭お化け屋敷やることになったね。霜太はどっちやるつもり?」
「どっちとは?」
「そりゃお化け役と裏方のことだよ。」
正直に言うと、今お化け屋敷をやることを知った。
クラスでお化け屋敷にするかメイド喫茶にするかで話し合いがあったところまでは覚えているが、興味がなさすぎて途中で寝てしまったのだ。
でもまぁ、俺はお化けのコスプレなんてしたく無いので
「俺は裏方かな。」
と、返答するとミナはつまんなさそうに言った。
「やっぱりね〜、分かってましたよー」
「すまんな。俺に脅かす才能は無いんだ。」
「何? 脅かす才能って〜?」
「それはだな…」
気がつくともう、公園の前まで来ていた。
「霜太、今日は寄ってく?」
「うーん、少し寄ってってもいいか?」
「オッケー全然いいよ〜、霜太と寝れるし。」
「おいおい言い方…」
俺たちが公園に入ろうとしたその時−
「きゃああぁぁぁぁぁぁぁーー!!」
突然後ろから、おそらく女子の大きな悲鳴が聞こえてきた。
まずミナが振り返った。
「何だろう!?」
取り敢えず俺も振り返ってみた。
「どうせ友達と遊んでるだ…」
俺は驚きのあまり言葉を失った。
「霜太…」
ミナが俺の腕を掴んできた。かなり震えている。
「ねぇ、あれ…何?」
どうしよう…どうしようか…
俺も予想をしてはいた。
だって、サキュバスは倒していないのだから。手下しか倒していないんだから。
「やっぱり現れたか…」
人気のあまりないこの通りで、人間に襲い掛かろうとしている怪物を前に俺は動揺してしまった。
でも、このまま動かずにいてどうする!
恐らく襲われているのはうちの学校の女子生徒だ。彼女は怪物に腰を抜かしてしまっている。
「これは、賭けるしか無いな…!」
「ちょっ! 霜太!?」
「ミナはここで待ってて、俺を信じて!!」
ミナを公園に残し、俺は公園から学校へ続くこの細い道を全力で走り出した。
昨日はよく分からない光の鎧の力があったから怪物を倒せた。しかし、あれを俺は自由自在に呼ぶことは出来ない。
怪物が今にも女子生徒を殴り殺そうとしている。
あれが来なかったら俺は死ぬ。だけど、やってみるしか無い!
「来い!光の鎧!!」
そう言って俺は、女子生徒の前に立ちはだかった。
その瞬間、グサっという何かが刺さったような音がした。
気づくと俺の目の前の怪物は、消滅していた。
「来てくれたか…」
もう自分の体を見なくても、感覚で分かった。こいつをまとうと、とても暖かい感覚がするからだ。
俺はあの黄色に輝く鎧を全身し装着し、鋭く長い金色の剣を持っていた。
恐らく怪物は、俺が鎧の装着と共に手に握った剣に、自分から刺されて死んだのだろう。
光の鎧は光の玉に戻り、またどこかへ飛んでいった。
俺は後ろにいた女子生徒に手を差しのべた。
「大丈夫、立てるか?」
すると何故か彼女は俺に顔を見せず、小声で
「ありがとうございます…」
と言って帰ってしまった。
俺もミナのいる公園に戻った。
「すまんなミナ。今日はもう帰ろう。」
そう言って俺は表通りに向かって歩き出そうとした。
しかしミナに手を握られ、止められた。
「今の、何…?」
正直に言った方がいいのだろうか…でも今更誤魔化すのは不可能か。
「あの鎧は光の鎧と俺はかってに呼んでいる。昨日家の近くで…」
光介に関してはミナに説明していない。よって俺は3年前のサキュバスの件は話さず、光の玉が突然現れて怪物を倒せた、昨日のことだけを話した。
「…信じれれないかもしれないが、それならそれでいい。」
「いや、疑ってるとかじゃなくてね…、なんで! 朝私に話してくれなかったの!」
ミナに怒られた。
まぁでも、ここは適当に謝っとくしか無いだろう。だってミナを巻き込みたくなかったから話さなかったのだから。
***
【次の日】
昼休み、俺は今体育館裏にいる。と言っても今日はミナはいない。なんかここで静かに食べたいという気分だったから、一人座ってぼっち飯を食っている。
すると突然、
「あの、村永霜太君ですよね…?」
上を見上げると、赤髪のポニーテールで身長はミナより小柄な女子が。
「そうだけど…」
まぁ小柄と言ってもミナ基準なので大体159cmくらいはあるだろう。
でも、そこまで劣ってない部分がある。胸だ。
仲良くしてくれる人がミナしかいないので何でもミナ基準になってしまうが、ミナがFカップらしいのでそれだとこの人はDくらいだろうか。
誤解しないでくれよ。ミナに関してはどっかでたまたま聞いただけだからな。ほんとにたまたま。
そんなことよりこの人、昨日俺が怪物から助けたあの人だ。
「良かった〜! ウチ、B組の陽高レイっていいます!」
「は、はあ。」
ふ〜んB組か。俺とミナはA組だから隣のクラスだな。
すると彼女は急に、俺に頭を下げてきた。
「昨日は、本当にありがとうございましたー!」
…俺は何だか嬉しかった。あ、頭を下げられたことがじゃないぞ。感謝されたことがだぞ。
「いや、いいっていいって!」
これで会話は終わると思った。しかし、全くそんな気配が無く…
彼女は突然俺の横に座ってきて、
「霜太君は、彼女とかいるの!?」
と、堂々と質問してきた。
その時、
(は!)
誰かの気配を感じた!
その直後、俺の座っている体育館裏のすみの方から、白っぽくて黄色い長い髪が見えた。
ミナだ。あそこに絶対、ミナがいる。
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