放課後
どうも、千風木 快天と申します。新たに作品を書き始めることにしました。千風木自身、書くことが好きなので半分自分のために書いてるような感じなのですが、その上で読んで下さった方が少しでも楽しいと思って頂けるものを目指していこうと思っております。
強力な敵が目の前に立ちはだかっているにも関わらず、俺は現在何人もの女子に同時に抱きつかれて身動きが取れなくなっている。
…もう正直に言うか。
「正義のヒーローはモテすぎて、平和を守る余力がございません!」
あーもうホント、何でこんなことになったんだっけ…
「危ない!!」
突然、グシュッ!! というグロテスクな音がした。
下を向くと、隣を歩いていたはずの光介が死んでいた。胸部から大量の血が溢れ出ている。
え? 何が起きた…?
突然光介が目の前に現れて…
するとどこかから、
「この世界の生物はこんなものか。殺すのが楽でよかった。」
そんな声が聞こえてきた。大人の女性の声。
視線を上に向けると、目の前の電柱の上に紫の露出度の高い衣服に身を包み、誘惑するようなツノとしっぽが生えている女性が。顔はよく見えなかったが、明らかにいわゆる「サキュバス」が立っていた。
そして彼女は
「近いうちにあなたも殺してあげるから、楽しみにしててね。」
そう言うと大きな翼を広げ、薄紫色の長い髪をなびかせながらどこかへ去っていった。
何が、起きてるんだ…!? いやちょっと待て、
「光介は…俺を庇って死んだのか」
本当は、俺が殺されるはずで…
「うわああああああああああああああああァァァ!!!!」
この瞬間、俺の中の大切な何かが…壊れた。
***
「光介ーーー!!!! …ん?」
気づくと俺は切なく輝く夕日に照らされている公園のベンチに、制服を着てバッグを持ちながら座っていた。学校付近の公園だ。そうか、またあの時の夢を見ていたのか…
何だか右肩が重い。隣を見ると、ミナが俺の肩に寄りかかって寝ていた。
「あ、霜太起きた?」
彼女も目を覚ました。
「悪いな、また寝てしまっていたか。」
「気にしないで! 大好きな霜太の隣で寝れて幸せだったから。」
「俺への告白、これで本日七回目と。さて、今日はあと何回言うかな?」
あれから三年、俺、村永 霜太は高一になった。特に何も無い三年間だった。
光介が死んだから生きてる俺。俺に生きる資格などあるのか…
もう何にも熱中出来なくなってしまった俺は、今日もこうしてテキトーに生きている。
「霜太、もうすぐ文化祭だねっ!」
「もうそんな季節か。今年の夏は一瞬だったな。」
「夏は夏でちゃんとあったよ! って言うか、もうすぐ九月も終わるよ!!」
俺はちょうど一年前、学校は違ったのだがとあるきっかけでこの光田ミナと出会った。
腰まである白っぽくて黄色い長い髪で、身長は165センチ。顔もすごく整っていてめちゃくちゃ可愛い。綺麗と言うより可愛い。そして…デカい。胸が。
まぁそんな彼女が去年のある一件以来ずっと、こんな俺を好いてくれているのだが俺はつくづく「俺にそんなに価値は無いぞ?」と思う。ちなみに現在俺は168センチ。ミナにギリギリ勝っている。見た目に関しては、普通の人をよそおえていると勝手に自負している。え? 誰も聞いてないって? そーですか。すいませんねっ…
ミナが立ち上がった。
「帰ろう、霜太!」
「そうだな。帰るか。」
俺達は公園を出た。
俺は下校中によく、この公園に寄る。特に意味は無い。ただ、何となく寄るのだ。静かで誰もいない、滑り台と鉄棒だけのこの公園に。
「霜太、明日お弁当作ってきてあげる」
「どうしたんだよ急に?」
「実わね…」
突然ミナは右をグーの手にし、胸にあてて
「私! 料理得意なんだっ!!」
と、ものすごいドヤ顔で言ってきた。俺は、原稿に書いてあるセリフを読み上げるように返す。
「へ、へえー、凄いね! 何を作ってきてくれるのかな?」
「それはお楽しみ。」
「え?」
するとミナは、駄々をこねる子供のように両手を左右に振り出した。
「だってー、霜太の好きなもの知らないんだも~ん!」
あ、あれか。これは俺に好きなものを言えと。
そう感じたので俺が好きな食べ物を言おうとした途端、
「だ・か・ら! 何を作ってきてもしっかり食べてね!」
と、言われた。と、同時に謎の圧を感じた。
まぁこんな感じの会話が、いつもの俺たちの通常運転である。
俺たちはこんな会話をしているうちに、公園からの静かで細い道を抜け表通りに出た。すると、すぐにバス停が見える。ミナは毎日登下校の際、あそこで乗り降りをする。要するにバス通学だ。
と、その時後ろから、ガタガタガタ…というバスの走行音が聞こえてきた。
俺が
「じゃあ、また明日。」
と言うと、ミナは
「はいば~いっ」
と、手を振ってバスに乗って行った。
俺は歩きなので、そのままただひたすら歩いて帰るだけだ。ただ、それだけ。
なのに、毎日スムーズに帰れない場所がある。それは両側に一軒家が並んでいて、いつも光介と一緒に通っていた道。
光介が死んだ道。
俺はあの道を通らないと家に帰れない。毎日、あの道に入る度に足が止まる…
そして、無論それは今日も。
「よし、今日も駆け抜けるか!」
道の前まで来た俺はそう自分に言い聞かせ、深呼吸をし…
走り出す。
毎日全速力で駆け抜けていく俺のことを各家の住民がどう思っているか知らないが、そんなことはどうでもいい。
当然のことだが、ここを走っていると光介のことが何度も頭をよぎる。その度俺は、さらにスピードを上げる。
もうすぐあの時の場所だ…。
と、思ったその時―
ドンッと誰かにぶつかった。誰もいなさそうだったので、あまり正面を見ずに走ってしまっていた。
「す、すいません……………ぁぁ」
視線を上げた俺の目の前にいたのは、人間では無く、言うなれば…
怪物だった。
怪物は俺に襲いかかってきた。反射的に走って逃げる。
俺は、三年前に光介を殺したあのサキュバスを思い出した。サキュバスと今俺を追いかけてきている怪物は見た目は全然違う。だけど、なにか同じものを感じる。
―近いうちにあなたも殺してあげるから、楽しみにしててね―
奴の言葉を思い出した。もしこの怪物があのサキュバスの手下か何かなら…
俺は、殺されることを選ぶことにした。
最後までご覧頂き本当にありがとうございました。
万が一、この小説を少しでも面白いと思って頂けた方がいらっしゃいましたら、ブックマークや広告下にございます
【☆☆☆☆☆】を押して応援して頂けましたら幸いです。作者のその日のテンションが上がります。
また、感想等もお待ちしております。どんな感想でも、作者のその日のテンションが上がります。




