学園襲撃、レムの真実と封印解放2
「復讐…?人のいない学園に何ができる!?」
「それができるんだな。…そうだな、教えてやろうか。この学園はアウレスとやらの魔術で作られている。魔術の維持には当然魔力が必要だ。…その魔力がなくなるとどうなる?」
「…学園が、消える…?」
「そんなとこだ。その魔力の核が学園内にあるのさ。さて…おれはもう行く。お前たちも、早死にしたくなかったらさっさと逃げるんだな」
三人にくるりと背を向け、歩き始めるギース。
「んなこと…させるかよぉ!」
後ろからテムダが殴りかかる。
ギースは振り向く事もせず、後ろに向かって手を突きだした。
「邪魔をするな《死骨よ》」
「なっ…?」
テムダの拳はギースには届かなかった。当たる直前に、骸骨に阻まれたのだ。
「進ませない!」
カティが火の矢で骸骨を焼きながらギースを狙う。
「《霊の加護を》」
霊体になったギースを矢は通り抜けてしまった。
「アズラ、どうするよ。奴はかなりの腕前だぞ…」
「レム!?」
騒ぎを聞き付けたのか知らないが、レムがどこからともなく現れた。
「もちろん…学園を、守る!《祓え!》《ライトニング!》」
「《メガ・シルド》…うるさいな…やはり、殺るか…」
ギースの歩みが止まる。それは三人を邪魔者と認識し、戦闘体勢に入った事を意味する。
「逃げればよかったものを…あぁそうか、逃げられないのか」
「黙りなさい!二人とも、守って!」
そう言うと術歌を開始するカティ。テムダがカティの周囲を守り、アズラがギースの隙をうかがっている。
「無駄な真似を《幻影を》」
(いまだっ!)
手を突きだし、異世術を行った瞬間に、アズラが駆ける。
水色の霊の騎士は一直線にテムダに向かう。
「甘いな《呪縛霊》」
再び異世術を行うギース。するとアズラの足が止まる。
「お前には霊がとりついた。動けないし、魔力も減る。さてと…あっちは…」
「《祓え!》」
駆ける騎士に対して護法を放つテムダ。
しかし…
「なにっ!?」
霊は当たる直前に姿をくらました。
次の瞬間…
「キャアーッ!」
テムダの後ろの、カティが悲鳴をあげた。
霊がカティを斬ったのだ。
「カティ!!」
「よそ見とは、余裕だな?」
「なっ!?」
「《霊撃》」
暗い幽霊弾が飛ぶ。それはテムダを捉え、とりついた。
「ぐわぁっ、ああっ、がぁっ!」
数秒も持たずにテムダも倒れてしまった。
「テムダ!カティ!」
なんとか幽霊を追い払ったアズラ。
「さてと、最後はお前だ。覚悟はいいな?」
「…仕方ないか。おい、アズラ!最後の手段だ!」
レムが叫ぶ。
「なんだと?」
「えっ?」
「いまからお前の魔力を解放する!それで中級や上級が使えるようになるはずだ!それで…召喚術をやれ!」
「何かと思えば召喚術か。驚かせてくれる」
「無理だよ!第一、誰を呼べば…?」
「オレを召喚しろ!大丈夫だオレがお前に合わせる」
「えっ…?レム…?」
「やり方はわかっているな?あと、オレの名前だが…」
「レムじゃないの!?」
「それは偽名だ。真名は…
『レンドラーク=ムスペイル』だ」
「なんだと!?」
「えっ…?」
―最後の手段、発動―
ちょっと今までやり過ぎたので、ここまでの段階で気づいていた方も多いと思いますが、そんな事実です。
アズラくんの魔術封印の理由も後で説明します。
次回はレム改めムスペイルが大活躍します。その強さは異常です…あっさり終わります…。