固有魔術についての概説
魔術学4編…ですがほとんど説明で面白くない話です。ご了承ください。
「ふむ、皆さん進級おめでとう。今年も魔術学はわしが担当する。よろしく頼むぞ」
今年も一年、魔術学はこの年老いた男の教師が担当するようだ。
「よろしくお願いしまーす!」
「元気な子たちだのう、よいよい。じゃあ進級の祝辞に挨拶もすんだところで、授業に入ろうかのう。」
…変な教師が多いこの学園には珍しい至って普通の教師だとつくづく思う。
「ほっほっほ。当たり前の事を言うでない。星月。」
〔話しかけないでください…〕
「そりゃあ悪かった。あいわかった。それじゃあ授業に入るぞ」
〔…教師には私の存在がバレてる?そんな設定なかったはず…だよね…?〕
「また星月だね…」
「魔術界の偉い人とかかなぁ…」
…一般人です。
「今日の授業は『固有魔術』…通称『オリジナル』だな。聞けば終わりの簡単な授業だからしっかり聞いておきなさい。」
「固有魔術とはその名が示す通り、その人しか使えない魔術のことだな。一応、魔術師なら全員がひとつ持っている。固有魔術が使えるようになることを『発現』と言うが、発現は人によってまちまちだな。
まぁ普通この段階で使える奴はおらん。
発現するタイミングも様々だな。
単に魔物の集団に囲まれたときに発現する奴もいれば、何かを成し遂げたいと願ったときに発現する者、もっとも極端な例なら死に際に発現する者もおるな。効果も当然バラバラだな。単純に強力な攻撃魔術を操るものもあるし、他人を妨害するもの、自分や対象に特殊な能力を付与するもの、そんなものに当てはまらない新しいものも多い。あと効果だが、その者が育った環境に依存する場合が多いな」
「例えばどんなのですか?」
生徒の一人が質問する。
「ケンカに明け暮れていた者なら攻撃系。特定の物を嗜好する、嫌悪するなら特攻系。人を思いやったりすることが多いなら回復系といった感じだな」
「じゃあ発現した後にその真逆のことをし続けるとどうなるんですか?」
「それはいい質問だな。固有魔術は発現した段階で、一生変わることはない。故に発現してしまった固有魔術を変えることは不可能だ。ただ性格や境遇を映す鏡と言っても過言ではないからな。よほどめちゃくちゃをしない限り自分の本質に見合った固有魔術が発現するな」
「わかりました。ありがとうございました」
「うむ、考えることはいいことだ。質問はいつでも受け付けておる。…おっと、今回の授業はこれで終わりだな。各自生徒手帳を持って前に来なさい」
「固有魔術かぁ…どんなのになるかな?」
「私は飛び道具が絶対に当たるとか?」
「俺は金のまわりがもっとよくなるとか?」
「アタシは~…もっと元気になるとか!?」
「……サクヤ…テムダ…バカ言わない……」
いずれこの五人にも固有魔術が発現する日が来るのだろう。その時に納得するものが現れるのだろうか?
「じゃあ解散だな」
そんなこっちの気持ちは露知らず、寮に戻る五人だった…。
こんな説明みたいな話は極力避けようと思いますが、今後ももしかするとやるかもしれません。その時は、ご了承ください。