アズラの苦労、マリィの幸福
魔術学4編、一応最終話です。
「……お邪魔するね…アズラ……」
魔術学の授業のあった日、その夜にアズラの部屋にエンカがやって来た。
「どうしたの?エンカ?」
「……うん…カティとマリィがクッキー焼いて…サクヤ→自分→アズラと渡すように言われた……」
「…→って何て言ったの…?」
「……気にしちゃ駄目…読む人がわかればいい……」
「…変なこと言うね…。まぁいいや、クッキーありがと。上がっていく?ジュースくらいなら出せるよ?」
「……うん…お邪魔してます……」
気がつくとドアの前で対応していたアズラの後ろ、つまり部屋の中にいたエンカ。
「…どうやって入ったの…?」
「……禁則事項です……?」
「自信がないなら言わない…」
結局どうやって入ったかは謎のままだった…。
「ふぅ…二人のクッキーおいしいね」
「……うん…。…自分の分はサクヤが全部食べて…なくなった……」
「何で僕の分は残ってるの?」
「……禁則事項です……!」
「自信があれば言っていい訳ではないよ」
「……どっち……?」
「言っちゃダメ」
「……そう……」
なぜかとても残念そうな顔をするエンカ。
「……そういえば…あの本…何……?」
エンカが示したのはしきたりの魔術書だった。
「あぁ、あれは学園に来る時に渡された魔術書だよ。…何書いてあるかまったくわからないけど」
「……読んでみていい……?」
「いいよ」
本の元に向かうエンカ。歩いている際、手が不自然に動いていたのは気のせいだろう。
「…………?」
「どしたの?」
「……読めるんだけど……?」
「え!?ほんと!?」
「……でも…歓迎されてない…。『主は我を読み解く者にあらず』…だって……」
「つまり、それは読む人を選ぶのかな?」
「……賢い…本のくせに……」
「あ…あれ?怒ってる…?」
「……別に…。…じゃあね…アズラ……」
さっさと出ていったエンカ。
「…あいつ…ずいぶん面白いものを残していったぞ?」
「…何?」
「…フッ、明日の朝にわかるさ」
「それって…とても怖いよ…」
で、翌日の朝。
「…アズラ様…起きてください…」
「………」
デジャヴュ。しかし今度は窓もドアも鍵がかかっている。いったい…?
「…どうやって入ってきたの?」
「お姉ちゃんとエンカさんが相互ワープ結界を張ってくれました。これでアズラ様とマリィの部屋はつながりました!」
「…解除は…?」
「マリィにはわかりません。それより…マリィが欲しくなったら、いつでもいらしてくださいね!なんでもしますから!待ってますよ!」
「…何の話…?」
「それは…そのぉ…、恥ずかしくて言えませ~ん!」
結界を通って逃げていくマリィ。
とりあえずアズラが誓ったのは…
「二人に文句言おう…」
だった。
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