人のモノを盗ってはいけません!
第四章通常編最終話です。
「ごめんなさいね、変な授業受けさせちゃって」
帰って教室に戻ると魔装具1の時の教師がいた…。
「あれ、どうして先生が?」
「あのね、さっきの先生なんだけど実は私の授業乗っ取ってたの。今はミランダ先生にお仕置きされてるわ」
「ひぃっ!」
テムダに悪夢が蘇ったようだ。
「で、戻ってきた子は…駄目だった子ね、軽く本当の講義をして課題を出したんだけど、あなた達は採取完了しちゃったから続きをするわね。魔装具の制作ね、じゃあ始めましょう」
制作といってもカケラの形を整え、適当にアクセサリーにするだけだった。
「今回のカケラは頑丈だから多少いい加減でも大丈夫だけど、世界には貴重で壊れやすい素材もあるから気をつけてね」
結局、アズラ以外はブローチを作り、アズラは指輪にはめる石の形にした。
「うん、合格ね。………はいハンコ、じゃあまたね」
「先生?」
「はい?」
「思ったんですけど、十字架のカケラとかってなくならないんですか?」
「えっと、この学園の創始者…アウレスさんの力で素材とかは勝手に現れるの。けどその力が何なのか誰もわからないの。その効果がもっとも大きいのが『アウレスの宝物庫』ね。俗に言う不思議のダンジョンみたいになってて、入るたびに構造や道具が変わるの。あなた達ももっと強くなったら行ってみるといいわ」
「…そうなんですか…ありがとうございました…」
カティは納得したようだ。…残りの四人は不思議そうな顔をしているが。
「えぇ、質問はいつでもいいわよ」
「この学園って…密かにすごいところ…?」
「えぇ…。そもそもそんな魔術ってあるのかしら…?古代禁術とか?」
古代禁術―あまりに危険なため魔術協会によって習得を禁止された魔術―最上級魔術。
「そうかもね。でも古代禁術なら誰かが解析できるんじゃないの?」
「きっと、今では考えつかない方法なのよ」
「そっかぁ…」
「今さらだがもうすぐ一年も終わりだな」
「急に変えるわね…。まぁ、長かったようで短かったわね」
「うん~、新しい一年生に面白い子いるかな~?」
「そうだな。お、もう寮だ。じゃあな」
「えぇ」
「またね~」
結局、変な教師に振り回された一日は、無事幕を下ろしたのだった…。
次回より章末イベントです。学園の春、入学式!新キャラ参入の予感!
お楽しみに!