その手に宿るは、黄金の炎
更新が遅れてすみません。
錬金術1編、戦闘パートです。
命の洞穴の前に着いた五人。アズラを除く四人は錬金術で造った武器を持っている。維持には魔力が掛かるが、分解すると材料は消える。妥当な判断だ。
「それじゃ、入ろうぜ」
「そうね…気をつけて行きましょう」
洞穴に踏み入る五人。
洞穴といっても真っ暗ではなく、昼間、電気を消した部屋ぐらいの暗さだ。
入っていきなり、
「キッ、キキッ」
洞穴内に多く生息している魔物、バットに襲われる。小さく、素早いので大振りの武器のテムダ、エンカ、中途半端な使い手のサクヤには不利な相手だ。
「……フッ!」
息を吐くと同時に、弓を射るカティ。矢はバットに吸い込まれる様に飛び、地面に亡骸を落とす。だが相手は完全に質より量。
こういう時はウィンドが便利だが、相手は空の魔物なので効果は薄く、さらにカティの邪魔をすることもあってファイアやサンダーで一匹ずつ倒していくしかない。
苦戦していると《キインッ!》と金属音がする。そんなものなど気にせず、落ちなかったバット数匹がカティを襲うが……
「ハッ!」
美しい剣を持ったアズラが斬り落とす。相当な魔力を練り込んだのだろう。青銅にはあるまじき輝きを放っていた。
アズラが剣を造ってからは早かった。近距離の心配をしなくて済むカティは的確に遠くのバットを狩り、寄ってきたのはアズラが落とす。近くにいたバットは消えた。
「ふう〜、終わった〜」
「……鉱脈は…この先……」
「よし、さっさと片付けようぜ」
銅の鉱脈に着いた。表面は錆びているが、内部は問題ないだろう。だが……
「おかしいわ…掘られた後がない…」
「?ただ俺たちが早かっただけだろ」
「いいえ、消えかけてたバットやリザードの死骸があったわ。先客がいたはずよ…」
「ってことは…?」
「ギシャシャシャ!」
「はぁ…やっぱり…」
後ろを振り向くと炎を纏ったリザードの変異種、フレアリザードがいた。かなり強力な炎で、弱い魔術は無力化し、低級金属なら溶かす厄介な炎だ。
「やっぱ相場は……《ウォーター!》」
水の玉が飛ぶ。しかし届く前に蒸発してしまった。
「なに!?」
何事も起こらなかったフレアリザードは、口に炎を貯め、吹き出す。
ブレスだ。アズラやエンカの防御魔術で大事には至らなかったものの、反応が遅れた。
高速で接近して鋭い爪で切りつけるリザード。とっさに槍を盾にするも一瞬で折られ、弾き飛ばされる。追撃を受け、吹き飛ぶが、なんとか受け身をとってダメージを減らす。
「ちっ、こいつっ!」
「いけっ!」
隙を見てカティやサクヤが飛び道具を放つが、炎に無力化される。
「あぁ、だめ…」
「やぁっ!」
青銅の剣で斬りつけるアズラ。しかしジュウッ!と音を立てて剣が溶ける。
後ろに跳び、攻撃範囲から離脱するアズラ。
(どうすれば…このままじゃ…)
まわりを見渡す。すると鉱脈の近くに折れたテムダの槍が刺さっていた。
(青銅は無理でも…銅ならあるいは…)
槍を持ち鉱脈を砕く、欠片を拾い、魔力を貯め、錬金術を行う。
―何故か不思議な力が湧いてくる―。その様子を黙って見つめるレム。《キインッ!》と錬金術の音がしてできた武器は……
「え……?」
刀身は紛れもなく銅だ。しかし金色の炎を纏っている。溶けるのも時間の問題のはずだが、一切その様子を見せない。
「何をボーッとしている、行け!」
レムの一喝でハッと動くアズラ。炎の剣を持ち、フレアリザードに斬りかかる。四人は、その剣に驚き、見惚れつつも、スロウで援護する。
四人の妨害で満足に動けない敵に刃を当てる。『斬る』ではなく、刃が触れたところから相手を『溶かす』。死骸は跡形もなく消え去った。
剣も魔力を失ったのかスウと消えた。
「何だ…今の…」
「わからない…レム…?」
「さあな…ここの生命力でも関係してるんじゃないか…?」
「確かに先生は『大気中の魔力を使う』って言ってたけど…」
「まぁいいだろ?無事に倒せたんだし?」
「うん、じゃあ採掘しよ〜」
採掘を始める五人。
「…少し、やり過ぎたか…?」
たまに聞こえる声がまた、聞こえた気がした…。
一時間目、現代文。三時間目、物理。二時間目、生物(履修していません)故に自習といった混沌とした時間割です。自習の間に更新しましょうと思い、更新しました。
…物理大丈夫かな…?