第一章章末イベント〜肝試し、呪いの舘1
この話から三話、章末イベントになります。章末イベントはいつもの話とあまり変わりませんが、普通の魔物とかでないボス的な存在と戦います。期間は常に○休みの期間です。
六月の末――学園の夏休みが始まる時期だ。
で、五人はというと…
「夏休みと言えば!?」
「海〜!」
「学園内に海は無いよ?」
アズラが冷静に否定する。
「山〜!」
「火山か雪山でキャンプするの?」
カティが皮肉めいたことを言う。
「じゃあどうすんだよ?せっかくの夏休みなのに、なんかやろうとは思わないのかよ?」
「ねぇねぇ〜肝試しは〜?」
「無理でしょ…{……無理じゃないよ……」…え!?」
カティの否定に対してエンカが言う。
「……ハウルって人が言ってた…『深紅の舘』は肝試しに使えるって……」
「そういえば…」
「そうだったね…」
「じゃあ肝試しに決定だな!」
かくして、夏休みの思い出作りは肝試しに決まったようだ。
「決行は今日の午後八時半。学園西門に集合な」
そうして解散となった。
その頃深紅の舘の中では……
「えーっと、これで、できるはず。後はこの石を結界の中に置いて、と……。よし、準備は完璧ね!ふっふっふっ、これでみんなを驚かせられるわ!よし、《開け!異世の扉!》
……ってあ、あれ?」
怪しげなオカルト系の魔術――もっとも一つの魔術グループだが……
「キャ、キャーッ!」
「レムは部屋で待っててね」
「あぁ、行ってこい」
午後八時半、学園西門に集合した五人は、そのまま学園を出て、深紅の舘に向かう。幸い道中では魔物とは遭遇せず、無事に舘まで着いたのだが……。
「…なんだこりゃ」
紅い舘はなんともおどろおどろしい雰囲気に包まれていた。
「な、なんかとっても怖いね…」
「というよりなんか、怪しくない…?」
「いいじゃん、なんか本当のお化けとか出そうで」
「とりあえず入ってみようぜ。よくある勝手にドアが閉まるってオチは無いだろ?」
テムダを先頭に舘に入ろうとする五人。だが…
「……あ…」
何かに気をとられるエンカ。
「どしたの〜?」
エンカを気にして立ち止まるサクヤ。
気付かず入る三人。その瞬間……。
「ギギギギギッ…バタンッ!」
「{………」」
呆然とする外の二人。
当然、中の三人も……
「{{………」」」
固まっていた…
「ちょっと待て!何だこのベタな展開は!」
「えっと…冗談…だよね…?」
「ちょっと二人とも、扉開かないわよ!」
「{………」」
そして、まわりを見ればそこかしこで幽霊が徘徊している。完全に幽霊屋敷だ。
「{{ワアーッ!」」」
「うわっ、どうしよう本当に開かない!」
押す、引くではなく、殴る、蹴る+魔術で扉を破壊して開けようとしていたサクヤ。エンカも参戦するが壊れない。
「{{…ワアーッ!…」」」
「今のって…」
「……うん…仕方ない。一度学園に戻って助けを呼ぼう…」
幼き荒野に向かう二人。だがどうも悪い事は重なるようだ。
「あれ…リザードだよね〜?」
「……うん…厄介…」
荒野にはリザードの群れ。ブラッドウルフよりさらに強い魔物だ。ざっと見積っても五体はいる。無理だ。
「エンカ、廃虚から向かうよ!」
「……わかった……」
廃虚を目指す二人。
―三人の肝試しが始まった―
はい、王道の幽霊屋敷設定一直線です。使い古されても起きるものは起きる。心に留めておきましょう。