肝試し、呪いの舘2
廃虚を駆け抜ける二人。現在半分ほど。
「エンカ!後どれくらい!?」
「……この速さだと…後五分くらい……」
「よしっ!」
さらに加速するサクヤ。
「……サクヤ…待って……」
追いかけるエンカ。
しかしサクヤの方が圧倒的に速い。
さらに…
「えぇっ!」
サクヤの前に立ち塞がる石の人形が四体。ロックソルジャーだ。耐久性は低いが石なので固く、高い打撃力を持つ。また最大の特徴として再生能力があり、倒した後粉々に砕くか、切断して水をかけなければ復活する。
「邪魔っ!」
走っている速度のまま相手を蹴り飛ばすサクヤ。ダメージは凄まじく、一体を戦闘不能にした。そのままの勢いで二体目、三体目と倒していくサクヤ。
そして…
「とどめっ!」
最後の一体に踵落とし。そこでエンカが追いついた。
「行くよ!エンカ!」
「っ!危ない!サクヤっ!」
気が付けば一体目のロックソルジャーが後ろからサクヤに殴りかかろうとしていた。
「このっ…!」
サクヤを突き飛ばすエンカ。その瞬間……
ゴツッ!と鈍い音がした。その場で倒れるエンカ。
気が付けばまた三体の石人形に囲まれていた。倒れたエンカを置いていく訳にもいかず、対処法を知らぬまま延々と戦い続けるサクヤ。救助要請はかなり先になりそうだ。
「《祓って!》」
指先から閃光が走る。それはまっすぐ幽霊に向かい…
「アアアアァ〜」
直撃した幽霊を撃退する。護法3の『退魔』だ。舘の内部にいた霊は怨霊の類で、こっちを見つけると襲いかかってくる。
「はぁっ、減らないわね…」
「かなりの数倒したよね…五十体ぐらい?」
「そんなもんだろ。それよりもう一時間だぜ?サクヤたちが学園に助けを呼びに行ったんじゃないのか?」
「えっと…うん、普通ならもう戻って来てると思うけど…」
「何かあったと考えた方がいいわね…」
「じゃあいつまでもエントランスに居ても追い詰められるだけだ。きっと親玉がいるから、そいつを倒せばいいんだろ?」
そう言って手近な部屋から調べて行くテムダ。それに習う二人。
しばらくすると
カティが一つの部屋で…
「あら?これは…」
何かを見つける。
「二人とも!ちょっと来て!」
「どうした?」
すぐに来たテムダ。
「《祓え!》…どうしたの?」
少し遅れてアズラも来る。
「これを見て」
そう言ってカティが何かを見せる。
「何だこの石?何かあるのか?」
「…霊石だね?どうしたの、これ?」
「うん、ここに落ちてたんだけど、これ、ここの物じゃないわよね?」
ここの特産物は『紅石』といって、魔力拡大の効果がある。対してこの石は『霊石』といって、学びの木の遥か東、『死霊の大樹』という場所の特産物だ。
「確か霊石には、霊界に関わる力があるから、誰かがこの幽霊を呼び出したのかもしれないね…」
「迷惑だなぁ…出てこい、黒幕!」
「出て来る訳ないでしょ!…それで、この石三つに割っていい?」
「どうして?」
「確か一つのこの石を割って、分けて持つとほかの持ち主の意思が伝わるらしいのよ。もっとも、迷信みたいなものだから、お守りみたいなものね」
「じゃあいいんじゃないか?」
そう言うと石を受け取り、三つに割るテムダ。一つずつ受け取ると…
「じゃあ、行きましょ」
二階に上がった三人。アズラは西の部屋を、テムダとカティは東の部屋を探している。
テムダとカティがある部屋に入る。
その中には……
「ようこそ私の舘へ。歓迎するよ招かれざる客人、早くお友達を呼んだ方がいいんじゃないかね?」
西洋の貴族のような幽霊がいた。
「ッ!アズラッ…「ふっ、それではな…異次元で私の部下の相手でもしておけ」…えっ?」
変な光に吸い込まれる二人。
「キャアーッ!」
「ふむ、容量が二人とは…まだ本調子ではないのか。仕方ない、ではもう一人と会合といこうか」
「…キャアーッ!…」
「カティ!?」
悲鳴のした部屋に向かうアズラ。しかし、その途中で『奴』と出会った。
「どうも、最後の招かれざる客、お友達をお探しかな?」
「…アンタは…?」
「私はこの舘の主だ。もっともそうなったのは今日からで、君たちが最初のお客様だ。」
「カティとテムダをどうした…?」
「あの二人は私の部下が手厚くもてなしているよ。もっとも、あの部屋に入れるのは二人だけでね、君は私がもてなす事になるのだが…覚悟はいいね?」
―かくして、アズラと怨霊のリーダーの決戦が始まった―
はい、無事にボスが登場しました。今までの魔物なんかと違い、恐怖の能力を兼ね備えています。
ちなみに肝試し編、次回、決着です。




