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世界を×××、小悪党ども  作者: つちのえーたつ
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地理の話

書き溜めのため、1週間ほど潜ります。1年も潜りません。時間帯はこのままです。ブクマしてくれいる方、ありがとうございます。

 船に戻り、することもないのでマユさんに商品の置き場所や使い方の説明をする。

「魔法カードは手前、高威力のカードはクヨンさんに確認してから奥の保管庫、雑貨は……あっちで、武器は壁際で」

 確認しながらメモを取っている。文字は終着点のものだった。

「そういえばさ、終着点に勇者とか魔王っている?」

「勇者って、お話によく出てくるドラゴンを倒すのですか」

「うん。その聞き方だと、いなさそうだね」

「はい。勇者はいませんが、魔王と称されるモノはいます」

「えっ、終着点ってそんなヤバい場所なの?」

 魔王がいたらヤバいのだろうか。

「魔物の王という意味でなく、他国を侵略・征服しまくるという意味で呼ばれています」

「おお……、どっちかといえば覇王な気がする。などんな人?」

「ヴィラン帝国初代皇帝ヴィラン。300年間揺るがぬ力を見せ続けています。世界で最も強いと言われている人間の1人です」

「長生きだね。『世界で最も強い』って、ちょっとカッコいいかも。でも戦争もの好きじゃないんだよね」

 実在の人物の話をしているのに、物語の主人公のように捉えられている気がする。戦争か。

「確か最近は果ての三国にすら手を出そうと画策していると聞きました」

「果ての? ごめん、わからない」

 地理の説明は全然していなかった。彼のメモ帳に、簡単な地図を書く。

「絵めっちゃうまいのに、字がヤバい……」

 わざわざ言わなくていいだろう。気にしているのだ。

「形のいびつなクロワッサンみたい」

 そういう見方もあるのか。確かに、中心が左にずれて太く、右に行くほど細くなったクロワッサンに見える。私はずっと西向きの下弦の月みたいと思っていた。

「果ての三国は極西、最南、極東にある島国のことです。極西は左のわちゃっと小さいの」

「わちゃっと」

「わちゃっと」

 なぜ繰り返す。

「極東はこの細長い竜の落とし子で、そのぐーんと下の台形が最南です。ほぼ同じ緯度ですが経度が違いますので」

「説明するとき、擬音語多いよね。ヴィラン帝国はどこ?」

 いびつなクロワッサンの上部をぐるりと囲む。

「ここです」

「でっか! 5分の1位あるじゃん。これ皇帝1人が?」

 マユさんは目を丸くする。改めて見るとでかい国だ。影武者に政治を任せて皇帝は諸国をプラプラしていると噂に聞くが、遊ぶ暇はなさそうだ。

「だと思いますよ。逆らったら1時間もしないうちに何千何万という住民を虐殺出来るとか、その気になれば世界中の人間を殺せるだとか言われてますし。そうそう、三国は極西はダグザ、最南は虹の蛇、極東はアマテラスという3人の王がそれぞれ治めていて、絶対不可侵と言われています」

「侵略云々以前に、普通に魔王じゃん。え、なんで不可侵なの? 」

「異世界への扉があるでしょう。あそこ、たまに魔物より上位の幻獣と呼ばれる害意ある生物の巣窟に繋がるんです。そしたら、尋常じゃない被害を与えるとか。それを防ぐため、王が祈らなきゃダメなんです」

 ヴィランより幻獣に襲われた方が助かる可能性が高いと聞いたことがある。ますます魔王っぽい。

「祈りって……効くの? 効いたとしても、王のおかげってわかるの?」

「さあ。でもヴィランが極西にちょっかいを出すようになってから、幻獣だけでなく新種の魔物が増えたとかなんとか。例えですが、祭壇をぶち壊して悪いことが起こったらそのせいと思いませんか」

「3人の王様は神様的な扱いですっごく偉いんだ」

「ええ」

 しっかりうなずく。その偉い奴の妹に「呪いを解け」とこのナリで迫ったからバカみたいな額の懸賞金をかけられた。

 10億という額を見たとき、本気でお茶を拭いた。

 アマテラスは相当なシスコンらしい。「明日の月はキレイだと思いますか?」と、ツクヨミの胸ぐら掴みながら聞いただけで傷一つつけてないというのに。

「サンさん、どうしたの?」

「少し、嫌なことを思い出しただけです」

「嫌なこと?」

「大したことじゃないので。キリがいいので今日はおしまいにしましょう。わたしは昼寝します」

 理不尽だと腹が立ってきた。こういう時は寝るに限る。

ヒロインに字が汚いと言われる系主人公。

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