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禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
一章
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序章

「はっ、はっ、はっ.....!」


 暗い路地の中。アタッシュケースを手に持った黒服は、息を荒げながら何かから逃げるように走っていた。

 耳に付けたインカムのボタンを付けるが相変わらず応答はない。舌打ちをしつつ走る事に集中する。


「見ーつけた♪」


 何処からか声が聞こえ、黒服は立ち止まり腰のホルスターから銃を取り出す。

 構えながら辺りを見渡し、黒服は嫌な汗を掻きながらアタッシュケースを強く握りしめる。

 ドキドキと心臓の音が煩いくらいに聞こえていた時、自身の頭上に影がさした。


「何処見てるの?コッチだよ」


 体の芯から凍える様な声が聞こえたと同時に、一発の銃声が響く。

 黒服は、自身の身に何が起きたのかも分からないまま地に伏した。ドクドクと黒服を中心に血溜まりが広がる。彼女はそんなものを気にする様子もなく、アタッシュケースを手に取ると中身を確認した。


「はぁ、今回もハズレか」


携帯を取り出し、電話を掛ける。数コールの内に相手が出ると、彼女は報告と今後の指示を仰いだ。要件が済むと電話を切り、アタッシュケースの中身を破壊してその場を後にする。


「さてさて、いったい何処あるのかな。インディットナンバーズは」


ーーーーーーーー


 「はぁ〜...何で私が...」


 商店街。その中を、ブツブツと文句を言いながら目的の場所へと向かう。その手には小さ目だが黒のアタッシュケース。

 先程兄から電話でお願いをされ、わざわざ学校帰りに届けに行くハメになってしまった。


 「それにしてもコレ、何だろ?」


 小さいとはいえアタッシュケース。こんな厳重に運ぶとなれば高価なものかもしれない。兄からはくれぐれも中身を見ない様にと釘をさされているが、そんなことを言われたら余計に気になってしまう。


 「少しぐらいなら....」


 好奇心に負け、開けようと手を伸ばすと背中に衝撃が走った。

 いきなりの事で反応できず、前につんのめりコケてしまった。


 「いてて....ったく、誰よ!ぶつかったのは!」


 顔を上げて辺りを見渡すと、走り去るスーツの後ろ姿が見えた。ムカついて追いかけようと立ち上がった時、先程の衝撃で落ちてしまったアタッシュケースが目に入った。

 

 「あっ.....むふふ〜コレはしょうがないよね〜」


 アタッシュケースは落ちた衝撃で鍵が開いてしまっていた。

 これは事故、だからたまたま見えてしまっても仕方ないと自己完結すると、蓋をスッと持ち上げた。


 「何コレ?銃?」


 そこにはNo.0と彫刻された一丁の銃が入っていた。


 「これも機導銃?何か変な形」


 そこには、一般に出回ってるものとは違った形の機導銃が大事そうにしまってあった。

 また兄の趣味なのかと、内心文句を言いながら鍵を閉め再び兄のお店へ向かった。


ーーーーーーーー


 「こんにちわー」


 十分後。路地を一本裏に入り、露天が並ぶ一角。そこでいろんな部品を売っているお店の前に立った。

 誰もいない場所に、お店の奥に届く様に少し大きめの声を出す。すると、ボサボサの茶髪にダルダルのパーカー、『我、店主なり』と書かれたエプロンを着ている男性が出てきた。


 「はいはーい....って、夏楽ちゃん。どうしたの?」

 「あ、柳瀬さん。こんにちは。あの、バカ兄って居ます?頼まれてた荷物持ってきたんですけど」


手に持ったアタッシュケースを見せる様に持ち上げると、柳瀬は「あぁ」と納得した様に返事する。

 柳瀬は、夏楽に「ちょっと待ってて」と一言残し、お店の奥へと消えていく。すると、ものの数分もしないうちに、奥から兄が勢いよく飛び出してきた。


 「夏楽、良くやった!さぁ、早く例のブツを!」


 目を輝かせながら近づく兄に若干引きながら、アタッシュケースを渡す。兄は新しいおもちゃを買ってもらった少年の様なはしゃぎ様でアタッシュケースを開ける。

 そう言えば、中身の詳しい事を何も知らないので兄に聞こうとすると、その顔が怪訝な顔持ちをしていた。


 「なあ夏楽、この中身ってイジってないよな?」

 「そんなの当たり前じゃん。キチンと言われた場所にあった物を持ってきたよ」

 「中は見たか?」

 「み、みみみみみてないよ?」

 「.....見たな」

 「う〜...だって、見るな、何て言われたら誰でも気になるじゃん」

 「まぁ、それは分かる。っで、中身って初めからこれだったか?」

 「え?うん、そうだよ。でも、それって機導銃なの?何か見た事ない形だけど」

 「ん....あぁ、機導銃だよ。結構昔、初期タイプに近い形だ。でもこれは....」

 「そう言えば、その持つ部分、グリップだっけ?そこにNo.0って書いてあったけど、それって何なの?」

 「なに?そんなわけ....」


 グリップ部分に目をおとす兄。するとその表情は驚愕と混乱が浮かび、慌てる様に奥にいる柳瀬を呼び出した。

 滅多に見ない兄の姿に異変を感じる夏楽。もしかしたら違う物を持ってきて、それがヤバい物なのではないかと不安になる。


 「柳瀬さん!すぐ来て下さい!」

 「なんだよいきなり」


 少しだるそうにしながらのそのそと奥から出てくる柳瀬。しかし、尋常ではない牧人の様子に何かトラブルが発生したのを感じた。

 

 「柳瀬さん、これ見て下さい」

 「何でここに機導銃が?」

 「夏楽が持ってきたアタッシュケースに入ってたんです。それよりここ、グリップの下の方見て下さい」

 「これは、No.の彫刻...だがこれは...」

 「どうしましょう?流石にヤバいですよね」

 

 2人で一丁の銃を見ながら真剣に話している様子に、流石の夏楽も何かよくない事があったのを確信した。

 何かを考えている柳瀬がこちらを顔を向け、夏楽が持ってきたアタッシュケースについて質問をした。


 「夏楽ちゃん、もう一度このアタッシュケースを持って来た時の事、教えてもらえる?」

 「え?あぁ、はい。うーんと、まず牧兄から連絡が来て、指定された駅のコインロッカーからアタッシュケースを取って、歩いてこっちに来ました」

 「ここまで来る途中で何かなかった?」

 「何か?....あっ!そう言えば、人にぶつかられてコケちゃいました」

 「コケた時、アタッシュケースはどうしてたの?」

 「手放しちゃいましたけど、近くに落ちてました。で、その拍子に鍵が開いてたので中を見ました」

 「夏楽...」

 「えへへ...ゴメンなさい☆」

 「ふむ...その時にケースが入れ替わった?夏楽ちゃん、そのぶつかって来た人は同じケースとか持ってた?」

 「うーん、分かんないです。すぐに走り去って後ろ姿しか見えなかったんで」

 「その時に....」


 再び何か考え出した柳瀬に、夏楽は兄に視線を向け何が起きているのかを聞く。


 「牧兄。その銃って、そんなにヤバい物なの?」

 「夏楽、これはーー」

 「突然失礼。少しよろしいでしょうか?」


 一人のスーツ姿の男が突然に声を掛けてきた。

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