即刻の拠点決定~わふぁ?~
わふ!(最近見つけたシュトロハイムのBGM)
わふ(聞いてたらなんかグロい表現ばっかになっちゃん)
わふぁ!(できればご飯前はやめといた方が良いかな)
わっふ!(ようやく特攻隊し始めた主人公ヤバい)
「あ、もしかして……カズ?」
わふと戯れている間に照もログインしたらしい。『てるる』とかいう頭のぽわぽわした(当社比)名前の…おい、女子アバターじゃねぇか。
「照か。ほーらわふ、この女の子がてるちやぁんだぞー」
「わふ!」
「ファッ!なんて可愛い!あ、一応これ男性アバターなんだけど?」
「え?」
「ほんとほんと。付いてる。見る?」
「いらん!」
「えー」
完全に女の子にしか見えない照――――てるる。わふを見て目を輝かせてるその表情、完全に美少女ですどうもありがとう。ちなみにこのゲーム、全身のデータを読み込むので顔、身長はほぼそのままだ。流石に変えたければ変えられるが、面倒だからそのまま、という人が多いらしい。実際どうかは知らないけど。ここでもそうなんだが美形多すぎか。
「それじゃ、行きますね」
「おぁ、どうも!」
「また連絡してくれ」
周りの人に退いてもらって2人で進む。わふは抱っこ。もふもふだ。もふもふだぞ、幸せか。さっきまで痩せてたのが嘘みたいだな。まあゲームだし。
このゲーム、ファンタジック・ワンダー・ワールド、面倒だなふぁわわにしよう。ふぁわわでは、プレイヤーは様々な場所で探索、戦闘、商売などを行える。その際、拠点があると行動しやすい。
「いらっしゃい。拠点不動産、ビギム支店だよ」
「「どもぉー」」
「わふ」
「お、可愛いな!こりゃ大きい拠点のが良いかな!元気な子はその方がのびのび育つぞ!」
僕等は拠点不動産、まあ拠点を提供してくれるお店にいる。街中や高原、湖畔、港町にも拠点が作れるんだが、それはその時。最初の拠点だけ決めておこう。
「で、なんだが……どこがいいか、希望は?」
店のおっちゃんが話すには、高い金額の所はそれなりの土地、特に市街地。反対に安いのは郊外らしい。
まず、2人の所持金は……合わせて2000ロット。ここでの通貨はロットというらしい。実際のロットという言葉は他の意味があるらしいが、それはそれ。初期金額は1000ロットだった。
「2000ロットでいける所はあります?」
「2000ね…郊外でも良いなら、広めのがあるよ?」
「もしかしてジャスト2000です?」
「お、正解」
「…どうするかな」
腕を組む…というかわふを見て考える。こてん。わふがでかくなるならそれで良いんだが…。こてん。うん、首をそんなに傾げても何も出ないぞ?うりうり。
そんな風にわふと一緒に悩んでいると、どさっ!と音がした。
「即決!」
「おい待て」
2000ロットの入った袋を置いたてるるは、此方を向いてニコニコしている。ちょっと待って、馬鹿かてめえ。
「毎度!」
「いや待って」
「ははは、冗談じゃないか。相談は大事だぞ」
おっちゃんも悪乗りした。やめてよ…。
さて、そこの馬鹿。
「何故所持金全てを出そうとする?」
「え?稼げば良いじゃない。このあと早速実戦してみたいし」
「……」
そう言われればそうなんだが……。いや、先行投資は大事だからな。良し!広いところ!
「おっちゃん、そこで」
「お、決まったか」
袋ごと渡すと、おっちゃんは1枚ずつ確かめてくれる。硬貨については、100ロット以降は100枚毎に変わるらしい。それまでは大体日本と同じ。ちなみに初期金額の1000ロットは、100ロット硬貨10枚になっている。いきなり大きいの渡すと嫌がる人もいるから、ね?そこんとこ運営はすごいね。
「ほい、丁度。住宅自体は既にあるから、この地図を頼りに行ってくれ」
「はーい!おっちゃんありがと!」
「どうも」
「おう!頑張れよ!」
おっちゃんに見送られ、拠点のとこに向かう。てくてくと歩いてく内に市街地を抜け、牧草地帯というかなんというか、割と広い場所に出た。あー、何て言うんだこれ。北海道?
そして更に歩き。
「「普通に森じゃん」」
「わふ」
森の少し手前ぐらいの土地がそこだった。庭もついてて良いとは思う。だけど森と繋がってるのはどうなの?
とりあえず中に入る。
「「めっちゃ広い」」
「わふ」
中には様々な家具があり、住居としては申し分ない。場所はちょっと……うん…。
わふを下ろすと、興味津々な様子で嗅ぎ回り、尻尾を千切れんばかりに振って吠えてくる。
「わっふ!わっふ!」
「おー、気に入ったか?」
「わふ」
「ねえ何なのこの子、めっちゃ可愛いんだけど!」
「拾った」
「拾った!?」
とりあえず一室をリスポーン用の部屋にし、探索に行く準備だけする。このゲームでは、死亡した場合は登録された地点で復活する仕様になっている。つまり今の時点ではこの部屋に戻ってくることになる訳だ。
…あれ、わふはどうなるんだ?
「なあてるる」
「はいはい!」
「この子のリスポーンはどうなるんだ?」
「まずリスポーンさせるという考えが間違いなんだよね?この子よりもカズ…ファンブルが盾になった方が良いっしょ?」
「僕は肉壁か」
「正解!100点!」
軽く装甲として扱われた事実は置いといて、てるるとヘルプを見る。なになに、テイム等をした場合、その主人が死なない限りはそこで蘇生が可能です、逆に主人が死亡してしまった場合、纏めてリスポーンとなります、蘇生を行わず放置した場合、3分経過で自動的にリスポーンします……。
「「ゾンビ戦法の推奨かな?」」
「わっふ」
だからわふは僕が蘇生させる限り不死身って訳だ。で、蘇生アイテムとかはあるんだろうか?もっかいヘルプで……え?
「主人の血液……だと?」
「よしファンブル、採血するから横になって!」
「なあちょっと待てよ」
「はいちょっとドシュッザクッてしますよー」
「それ死んでないか?」
突然腕を掴んで絞ろうとしてきたてるるを振りほどき、ついでにヘルプで色々見ていく。
「へー、工作兵って色々作れるんだな」
材料を揃え、設置型アイテムの『工作兵のミニ工房』に突っ込むと兵器が作れるらしい。トッププレイヤーの工作兵ではガトリング系の銃や戦車を作って突撃したりするらしい。
「材料ねえ…」
「おーん?どしたのふぁんぼぉう?」
「僕は職業傭兵にしたんだけど、武器を作れるらしいのよ。戦車とか」
「マッ!?!?え?ほんと?」
「らしいぞ」
「よぉし材料を集めるぞファンブル!」
「急に気合い入れたな」
手をぐっと握り締めて吼えるてるる。あの、トッププレイヤーの話だから……。
ということで、拠点の広い部屋に工房を置くことにした。まあ持ってないんだけど。3000ロットらしいし。
で、そんなこんなで拠点の中を綺麗に整えた僕等は、森の入り口に立った。
「さあ、初めての冒険!行こぉ!」
「わっふ!」
「楽しそうで何より……」
そしてザクザクと落ち葉を踏み締め、森へと突入した。頑張れるだけ行こう。
「…わふ」
色々見ながら進んでいくと、わふが静かに鳴いた。尻尾をぴんと立て、歯を剥いているので……威嚇。つまり!
「てるる、戦闘準備!」
「はいさ!っへへ、何が来るかな……!」
ガサガサと音を鳴らして出てきたのは、鼠。しかし大きさが異常である。最大の鼠であるカピバラや、鼠の捕食者である猫、それらよりも大きい。
警戒しながら見ていると、その背中の上にウインドウが表示された。
<ビッグラット Lv.3>
ビッグラット……まんまだな。大型犬サイズの鼠だ。あ、レベルある。プレイヤーには無いってのはこういう事なのか。
「わふは威嚇、てるるは左からゆっくりと接近。僕は右から行く」
「らっじゃ」
「ぐるるるる…!」
わふが威嚇をするのと同じように、ビッグラットも威嚇を始めた。口を開け、毛を逆立たせる。滴る涎がわふに向かって飛び散る。
「キィヤォアアアアアアア!」
「ぐ、ぐるる!」
「「うわっ鳴き声キモっ」」
気色悪い声で鳴くビッグラット。キモ…とか率直な感想を思わず言ってしまった。しかしまあ実際気持ち悪いのは確かだから……。
視線を上げててるるとアイコンタクトする。小さく頷き合う。タイミングを合わせて両側から身体を持ち上げ、そのまま叩き付ける!
「しゃおるぁあ!うわあああ触っちゃった!」
「逃げんな馬鹿、無力化するぞ!」
このゲーム、実に興味深いのが、『HP等の体力の表示が無い』ことだ。今の叩き付けでいくらダメージが入ったかが分からない。だから生物的な観点から無力化する事が推奨されている。このビッグラットの場合は……!
「脚を折る……!」
「え?」
べぎゃっ
後ろ足の関節をパキッとへし折り、逃走を困難にする。これだけでだいぶ違う。頭部は噛まれる可能性が高いから止めておいた方が良い。
「これ、実は攻略サイトに乗ってた…!」
「えぇ…」
ちょっとだけ調べてみたらこういうのが書いてあって引いた!丁度今のてるるみたいにな!
もう1本!くたばれ!
「ギャジュアアアアアアア!」
悶絶したビッグラットは悲鳴を上げる。…まあ、その、気色悪いのは分かる!だが攻撃しないのはどうかと思うぞてるる!
すると、わふがビッグラットの尻尾に飛びかかり、噛み付く。蚯蚓のように蠢くその尻尾をわふはしっかりと噛み、首を振って尻尾を引き千切る。……わぁーお。
わふぅ!と噛み千切ったソレを吐き出すと、わふは全体重をかけてビッグラットの腹部に乗る。ワイルドですね…わぁーお。そしてわふがビッグラットの首筋に牙を突き立てると、ビッグラットは微かに鳴いて動きを止めた。最終的に仕留めたのはわふでした。
ビッグラットの身体がポリゴンになって爆散し、わふが地面にべたっと落ちる。その表情はまさにどやぁ!であった。
「わふぅ!」
「おお!よしよしよしよし!強いなわふ!やったな!」
「わふわふわふわふ…わっふ!」
頭を擦り付けて甘えてくるわふを撫でくり回し、それを端から見ていたてるるは地団駄を踏んで悔しがる。どうやら、戦闘の詳細は聞いてなかったらしい。
「ぐぎぃー!そんな、えー!わふちゃんに負けるなんて!貢献度が桁違いじゃん!」
「…わふ、アレが負け犬っていう奴だぞ」
「わふ」
「負け犬なら吠えろってか!わおおん!ちくしょおおん!」
勝ち犬?のわふはてるるを見て鼻を鳴らした。最近のAIはすごいなあ、ここまで感情を作れるなんて。もしかしたら偶然タイミングが良かっただがかもしれないけど。
で、まあ当然の事ながら。
「…わっふ!?」
「うわぁなんか来たぁ!?てめぇ大声上げやがって!」
「ひぎゃあ!これは絶対無理ぃ!」
わさわさ、と巨大な百足が這い寄ってくる。そりゃあ、敵地で大声上げたら集まってくるわね。そしてその後ろには…どこか見覚えがある猫サイズの芋虫が…うわぁ足キモいキモいキモい!
<ポイズニックセンチピード Lv.10>
<キングワーム幼体 Lv.4>
<キングワーム幼体 Lv.5>
<キングワーム幼体 Lv.5>
<キングワーム幼体 Lv.7>
「「無理です!退却ぅ!全速後退!」」
「わふぁ!」
そうしてトレインと呼ばれる状態で拠点まで戻っていった。いやまだついてくるん!?
「振り切った!?」
「まだ!とりあえず地形を上手く使う!わふ連れて中行ってろ!最悪特攻してリスポーンするから!」
「わ、分かった!」
2人でバラけ、てるるにわふを持たせ、拠点まで行かせる。ちょっとした丘の上で立ち止まり、地面の土を投げつけると、奴等は速度を上げてこちらへと接近してくる。
「……お。成功したか」
「がんばえー!」
「わふ!」
ふと見上げれば、窓から顔が出ていた。なんだか観戦してるみたいではあるが、その顔は必死だった。そりゃね、向こうは5倍いるんやぜ?
「…さて、虫さん達。遊んでくれよなぁ!?」
「ギィイイイイイ!」
「「「「ンブォアアアア!」」」」
「元気でよろしい!くたばれ!」
げんきいっぱいにおへんじをしてくれたみんなにぷれぜんとだ!拾った石をキングワーム幼体…の内の、最も弱い個体にぶつける。
「ビュッ!」
なんか紫と緑の混ざったばっちい体液を口から吐き出すキングワーム。うへぇキモいキモい。でもダメージは入った!こんのまま殺ってやるぜぇ!
「ギィ…」
百足さんが動いた。身体の前方を上げて…口から…
「ギィイイ!」
「っぶねぇ!何ソレ卑怯過ぎか!」
紫っぽいエフェクトの光線が照射された。ねぇそれ君自体はキモいけど色々カッコいいから撃つのやめて?チラッと照射された地面を見ると、ジュクジュクと音を立てて融けていた。うへぇ……。即死はしないだろうけど、ナブリゴロシの刑になりそうだな!
「逆に言えばぁ!?どうにかしてキングワーム達にぶつけりゃあ確殺!」
薙ぎ払ってくれたら強そうかな!でもそれ僕も入ってるよね、やっぱいいや!
とりあえずチマチマと石をぶつけてダメージを与えていく。ソフトインセクトのキングワーム幼体には良く効くから積極的に殺っていこう。段々動きも遅くなってはいるが、体液だらだらしててキモい。正直見たくない。でもそうしたら多分襲われるから…。
石を投げていった末に、遂にキングワームの1匹が動かなくなった。体液流しすぎって事なんだろう。惨劇になってて実際キモいがやりきった感じがするな。このまま!
「うっだるらぁ!食らえ石ィ!散弾バージョンンンオォアァ!」
5個ぐらいを両手に拾って一気にぶちまける。威力は無いけど回避は難しいんだよな?
「「ビュアアイアアッ!」」
なんだかキモい声で2匹が倒れた、上手くいったな!よぉし残り1匹。あと百足。
「よし来いムシケラァ!」
そう叫んで相対するが、しかしそこには百足しかいなかった。あれ?もう1匹…。と、そこで気付く。
いや、おぞましい光景に気付いてしまった。
「ヂュア」
生き残っていた1匹が、最初にお亡くなりになった個体の亡骸の近くにいた。そして一声上げると。
「うわあああいやぁぁぁああああナニアレナイアレうわあああああ!?」
口腔内から人の手のような捕食器官が伸び、そして口が避けて死骸を大きく包み込む。柔らかい体表に妙に鋭い牙が刺さり、グロテスクに体液が噴出する。
ぐちゃぐちゃと音を立てて同胞を咀嚼するソレは、少しずつ、確かに、傷を治して大きくなっていた。
「まっ……!?てめぇ回復すんのかよ!?」
「ギィイイ……!」
「ああ!?待って!ビームはあっちにぃい!よしきた僕があっち行くから!だからもう少し待て!」
直立体勢に移行した百足の射程距離に、果たしてあのクソキモイ芋虫もぐもぐクンのいるあそこが入っているのか。それは賭けるしかない。が、しかし、可能性があるなら…!
果たしてその時は来てしまった。
捕食を終了し、少しずつ頭から皮を脱ぎ捨てていくキングワーム。成る程成長したら脱皮はするであろう。しかし問題はそこではない。
口から細い糸を吐き出し始めた奴に思わず走る。やっぱり蛹になるのか!お前が一番強かったからねぇ!仕方ないかぁ!盾になりやがれェ!
「ギィイイイイイ―――――!」
「来たあああああ!?」
百足がビームを発射した。むぅおんっ!全力でスライディングし、百足が少しでも薙ぎ払ってくれるようにちょっとだけ待って…ここで横に待避ィ!
「―――ィイイイ」
「……ギュゥウ……」
予想よりも上手くビームはキングワームを貫通…貫通!?貫通し、その身体を融かした。うわぁ真面目にアレは見れない……すぷらった……あいえええ……。
そして1対1になった。お待たせ百足クン。今からできるとこまで粘らせてもらおう!
これからの戦闘は大体こんな感じです。血で血を洗うよりヤバい感じかな?
これからの展開とかも多分読むSANチェックになるかと。ちゃんとわふちゃんに回復してもらいますが。
余談ですがキングワームさんは蟲の王が由来、捕食シーンは第10の拒絶タイプの感じです。
ウリムシは絶対に許さねぇからな、今年も胡瓜食い荒らしやがって…




