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ファンブル特攻隊 in Fantasic Wonder World  作者: ニリとん
00 わんわんを、拾う。
1/50

ある種の運命的邂逅~わっふわっふ~

わっふ!わっふ!(何も考えずに上げた!)

わふ!わふ!(他の作品が安定してないのと同じで)

わっふ!わふ!わふ!(全く安定しない連載になります)

わっふ!わっふわふ!わふわふ!(あと初VRMMOです)

わふ!(そこよろしく!)

 昔々、あるところに、とある少年がいました。

 彼は人付き合いがそんなに上手くなく、しかし不幸にも都会の人だった彼は、渋々多くの人々とそれなりの関係を構築せざるを得ませんでした。人見知りの彼には、それはとてつもなく精神が磨り減るモノでした。まあ、僕にもげふんげふん、彼にも気の合う友が沢山出来たので、必ずしもその行動全てがそうだったとは言えないですね。

 そして彼は、高校進学の時、遂に田舎に行って独り暮らしを始めました。親にも監視されず、楽しく過ごすことのできる私服…いや至福の日々が、ようやく始まろうとしていたのです……!


「それが今の私だ」

「成る程」

「そう。……で、何故君はここに?」

「楽しそうな人がいたら話しかけるじゃあぁん?」

「ふーん…」

「うわぁほぼ無表情!やめてよそれぇ!」


 そんな僕、船坂(フナサカ)(カズ)はおうちへの帰り道に、クラスメイトに絡まれた。ちょっと奥様聞いてくださいませ、これ初日の帰り道ですわよ?何故こんなに馴れ馴れしいんですわ?

 彼の名は…あれ?あ、忘れてら。


「ところでそのー…お名前は?」

「ヌッ!?さては君、自己紹介とか聞いてないな!?」

「できれば1人の方が楽しいからね、しゃーないしゃーない」


 はぁ、と溜め息を吐き出すと彼はぴしっと敬礼する。……うーん、どうだ、中々に様になってて良い。


「ユーと一緒のクラス!我輩、東郷(トウゴウ)(テル)!一応ですが()()()()()!」

「あ、そう」

「そんなに反応薄いなんて、さては君覚えてたな!?」

「いやいや」

「ほら反応薄い!」


 彼自身が『付いてる』と言ったように、彼はとても中性的である。なんなら美少女の類いだろうか。男装してる女子がいる!とか思った連中も多かったが、なんか、そう、えっとね、隣の席の前が彼だったんだけどね、チラッとね、その……象徴的な部位が明らかに盛り上がってたからね……。

 いやまあこれはこれでアリだと言う猛者もいたが。


「それで、美少女サマが僕に何か用かい?」

「男だっつーの!えっとね、君の鞄見てさ、この人は多分こういうの好きなんだろうな、って」


 彼がごそごそと鞄を漁ると、出てきたのは最近話題のゲーム。……さてはコイツ、高校生活をコレに捧げる気が……?


「あー、……何だっけそのソフト」

「ファンタジック・ワンダー・ワールドだよ!通称は最初の文字とって、『ふぁわわ』」

「ふぁわわ」


 なんともほのぼのしてそうな通称。しかしこれはVRMMOで話題の新作なのだ。多分ほのぼのかどうかは……プレイする人々のスタイルに依るな。


 そもそもVRMMOというのは、数年前にアメリカと日本の共同研究の末に発表された、ゲームの形態の1つである。脳波を測定してなんじゃらかんじゃらしたりするらしい。そんなのは良いんだ。この形態の最大の特徴は、そのゲームの世界にそのまま『入り込める』ことである。

 やれダイヴだとかリンクだとか色々言われているが、接続とか起動とかいうのが正式な名称だ。その過程を経ると……うーん、理解が及ばん。つまるとこは楽しいことになる。言い方がアレだが許しなさい。


 そして数年の間に様々なタイプのゲームソフトが発売された訳なんだが……。今は置いておこう。やけにリアリティーのあるグラフィック、モデルがいるかのようなモンスター。恐らく知ってはイケナイのだろう。


「ねぇねぇ一緒にやろぉよぉ!ソレ付けてるってことはおうちに機体あるんでしょ!?」

「やぁだ」

「ぶぅーーー!」


 男子にしては変声期が無いような気がする照のことは放置だ。


 僕が機体、まあVRMMOをするときに装着する奴なんだが、これを買った時にオマケとして何故かチェーンストラップが付いてくるのだ。水龍、大鷲、そしてシークレット―――――変なポーズをしたサイボーグなエルフ。シークレットだけ謎に属性盛りだくさんだがそれはお遊びらしい。僕は水龍だった。


 それを目敏く見つけた照は、何故か帰り道に引っ付いてきた。ええい離せ離せ。


「ねぇーねぇー!」

「金が無いから出来なくて…」


 咄嗟に嘘を付いた。すると彼はニヤァと笑い、もう一度言う。


「ねぇねぇ一緒にふぁわわやろぉよぉ!お金ないなら出すって!」

「いやだから…金が無いからやらないってのもあるが、そんな、あのさぁ」

「お金があればやるんだね?」

「え、あ、やりたいっちゃやりたいけど…」

「ぃよぉし言質録ったぁ!録音したかんね!」

「え?」

「実はボクお金はあるんだ」


 彼は鞄から紙を出す。


 ……ん?小切手かこれ?


「ほぉら!ついてってあげるから!一緒にやろぉ!」

「強引過ぎか?」


 僕が小切手っぽいのを受け取った瞬間、彼は後ろからぐいぐいと押してくる。何だよ、力すら女子か。ぽすぽす突っ張る照に仕方なく了承し、ファンタジック・ワンダー・ワールドを買いにいくことになった。


 何故だ。


 ちなみにその道中、周囲にはカップル扱いされた。どうせコイツを男って知ったら……あれ、それはそれでアブナイ人々が反応するか?






 家に帰り、そのパッケージを眺めてみる。


『貴方はこの世界の住人になって大いなる謎を暴きに行く…』

『しかしその前に立ち塞がるのは狂暴なモンスター達!』

『その旅の、そして戦いの果てに辿り着くのは…!?』


 んー、成る程。まあ普通か。

 しかし話題になってるのはコレか。


「プレイヤーにレベルの概念はありません、パワーアップしても数字として表すことは無いです、と」


 レベルが無い。

 何だろうな、武器とかでなら強化出来るのか?それとも……うーん。中々考えるな、これは。


「百聞は一見にしかず…とりあえずキャラメイクするか」


 ソフトを読み込ませて、ゲームの世界へと入る。まあ個人個人でその時の台詞は決められるし、デフォルトのままっていう人も多いし。


 とりあえず、ごー。


「起動」


 あ、これデフォルトです。しんぷるいずべすとだと思うよ。





『キャラメイクをしてください』


 ざーっと説明を聞いて、キャラメイクに移行する。職業があるらしい。いや知らんけど。


 あと、先に言っておきますと。


 僕、ゲームでは結構はっちゃけるんで…。


「職業も適当にやるよなぁ!」


 目を隠し、腕と身体をぐるんぐるんと回す。程よくふらついてきたら……、


「ここっ!」


 ⇒傭兵


「ぬぁあああ!割と平凡!」


 傭兵って……。いや、別に魔術師とか剣士とか、なんかまあ、よくありそうな職業しかないけど。


 とりあえず詳細チェック…出来るかな?ヘルプを見ようか。


 ・傭兵について

 いわゆる軍隊の兵士。武装があれば強い。サブでその武器を作れる。


「……そんだけ?」


 ちょっとしかない説明。えー、これだけ…?


 他の職業のヘルプを見る。


 ・剣士について

 おおよそ中世くらいの兵士。装備によって重装歩兵や侍などの職業が派生として存在する。剣の性能、種類で分けられるが、基本的に攻撃が強い。


 ・魔術師について

 杖を媒介にして様々な魔法を扱う。魔法の種類、威力によって攻撃特化型や妨害特化型の魔術師となる。魔法の数だけ自身のカスタムが出来るが、正解となるタイプは人による。




「……同じぐらい?いや傭兵の方がちょっと短い?」


 つーか派生って何だよ、傭兵には派生なんて書いてにゃーぞ?


 そこまで思考が至った所で気付く。軍隊の兵士。つまり、そこの先に選択肢があるんじゃないか?海軍、陸軍、空軍…はあるのか?まあそうなんだろう。


 検証も兼ねて傭兵にする。


『兵種を選んでください』

「おっ、ビンゴ」


 なんか一気にぶぁあ!って選択肢が表示された。成る程。見たところ、空軍は無いようだ。そりゃまあ、そんなんあったら、ねえ?


『おるァどけ剣士の雑魚野郎ォ!』

『アバーッ!』

『機銃掃射ァァァアアア!』

『ンアーッ!』


 だよな。殺し合いになるし、過疎るな。納得。


 んー…海軍の方が好きだけど、海上以外でどう戦うのか分からんし…。


「陸軍で行こう。それで兵士としては?」


 ゲリラ系なんてあるのか。強そう。でもまあ、ここは…。


『陸軍工作兵でよろしいですか?』

「いえっさ!」

『では、名前を決めてください』


 名前…名前ねえ…。適当に。


「ファンブル、と」


 まあ…仲良かった友達とやってたTRPGで、やたらファンブル連発してたから、さ。いやお前、敵の目の前で転けて撃たれて、挙げ句の果てに気絶したんだぞ?

 そんな状況があったから、それ以降はキャラの名前はファンブルにしてる。いやアレは忘れられんわ。結果全員死んだ訳なんだが。


『ファンブルさん、これから貴方の探検が始まります!』

「おう」

『何をするにも自由なので、精一杯楽しんでください!』

「うっす」


 そこまで声が響くと、背後からトン、と押される。女神様的な人なのだろうか。だとしたら人じゃないか。


『いってらっしゃい!』

「はいさ!」


 そして、『ふぁわわ』に於ける、特攻爆発伝説が始まったのだった……。









「あ、そうだ。アイツと会うのか。待ってればいいか」


 照と合流するのを思い出し、周りを見渡してみる。新作ゲームとあって、同じような装備の人が多い。新人なんだろうな。

 広場っぽい所ではあるが、そこまで広いわけではない。端に寄って待つか。


 人が少ない所へと進み、腰を下ろす。後ろは茂みで、なんか…そう、出てきそうだった。


「まあ、そんな街中でなんて……お?」


 少し小さい呼吸音が聞こえた。辺り一面はプレイヤーである。……まあ、そうだろうな。


「本当に出てくるのか…」


 よく耳を澄ますと、小さな鳴き声も聞こえた。…この鳴き声からすると、……命が危ない?


 急いで茂みの下、中と調べてみる。下…はいない。中…もいない。じゃあ何処だ。


「…ぅー…」

「っ!壁際か!?」


 微かな鳴き声を頼りに茂みを掻き分ける。ここか?違う、こっちか?…いない、じゃあ、「くぅー……」そこか!


 少し奥に白っぽいモノが見えた。恐る恐る突くと、ぴくりと震える。よし、ゆっくり出すぞ…!

 そんなことをしていると嫌でも目立つ。1人のプレイヤーが声をかけてきた。


「……何してるんすか?」

「何かいるんだよ!瀕死みたいだ、引っ張り出す!」

「え、あ?手伝います!」


 ちょっとでかい声出しちゃった。てへへ。いらんかそんなサービス。

 親切な…恐らく騎士だろう男性プレイヤーが加勢してくれる。有難い。


 そして更に2、3人集まり―――


「「「「出てきた!」」」」

「…くぅー…」


 白い毛の犬だった。かなり痩せてて泥だらけである。まああの中性系男子は後だ、とにかくこの子に処置しよう。

 野次馬のプレイヤー、そして近くにいたNPCに水と桶を頼み、犬をゆっくりと抱き上げる。


「「「「…」」」」

「……きゅぅ……」

「「「「「「ッ!」」」」」」


 さりげなく鳴いたわんわんにハートをぶち抜かれる。瀕死だし保護したい気持ちはあるが、それを倍増させられた感じだ。早く水早く。

 水が到着すると、リアルで獣医師の人が診てくれた。ゴッリゴリのムッキムキだったので僕としては絵面をどうにかしてほしい。


「多分まだ生後1年…未満か?ラブラドール系統だろう。あればミルク、無ければ粥状のモノを持ってきてくれ!」

「ミルクっす!」

「仕事が早い!ありがとう」


 さっき手伝ってくれたプレイヤーがミルクを持ってきてくれた。凄い早いし、しっかりと温めのミルクを持ってくる辺り、心得てる。こういう大人になりたいね。

 早速獣医師、カキさんがゆっくりとミルクを飲ませていく。こくこく。こくこく。しっかり飲みなさい。…あれ、この状況かなり面白いことになってる?周りも凄く人がいるし。


 数分後、寝てしまったらしい子犬を抱っこして少しずつ泥を落としていく。泥まみれだからしっかり、でも優しく…よしよしだいじょーぶだいじょーぶ…。


「ファンブルさん、パパみたいですね」

「!?……そう、っすね…急に恥ずかしくなってきたな…」


 手伝ってくれた彼、しさみんさんは突然そんなことを呟いた。やめてよまだ高校生だぞ。思わず反応すると、腕の中から鳴き声がした。


「おっと、起こしちゃったかな…すいませんね、突然変なこと言っちゃって」

「いえいえ」


 ぱっちりと目を開けたわんわん。可愛い。地面に下ろすと、嬉しそうに尻尾を振る。


「「「「…可愛い」」」」

「というか、もう大丈夫なのか?流石と言う他無いが…」

「わふ!」

「「「「「大丈夫だな!こんなに可愛いし!」」」」」

「?」


 こて、と首を傾げるわんわん。ダメージが凄く高い。これが即死効果ですね。


 すると、わんわんは此方を向いてお座りする。おお…偉い…。そして目の前にはウインドウが出現。


『子犬に名前を付けてください』

「名前?」

「「「「「やっぱりパパじゃないか」」」」」

「おう覚えとけよ?この子は僕を選んだんだからね?」

「「「「「「「は?」」」」」」」


 集団に一斉に睨まれ、圧力がかかる。やめて、こういうの慣れてないから羞恥で死んじゃう…!


「とりあえずまあお名前…」

「わふ!」


 わんわんに名前…まあなんだ、そのまんまで良いよね。下手に考えると逆に空回ったりするし。屈んで目を合わせる。


「わふで」

「「安直!」」

「「「「可愛いから良い!」」」」


 見事に割れた。というかさっきから羨望の視線が刺さる刺さる…。わふ(お前)のせいだかんなー、後でもにもにさせなさいよー。

 そんな中、全員に聞こえるようにアナウンスがかかる。


 《わふ はファンブルさんが取得しました。以後、従魔枠として従うようになります》

「お?なんか流れた」

「今のが全体への通知なんじゃ?」

「成る程…。あ、皆さん色々ありがとうございました。なんか成り行きで色々ご迷惑かけちゃって…」

「いえいえ。あ、フレンド申請しましたー」

「獣医として、その子を診てみたいのもある。私も頼む」

「了解です、お二人ともありがとうございました!」

「わふ!」

「「…」」

「さてはこの子に構ってみたいんだな?」


 全体アナウンスか。よく見てみればNPCには聞こえていないようだ。何も気にせず農作業をしている人がいるし。

 とりあえずわふを抱っこし、よしよししたがる2人へと向けた。


「「待ってた」」

「わふ!?」


 ギラついたヤバい目で、2人はわふを…いや獲物を見る。直感的に危機を察したわふは猛烈に暴れ出したが、頭をぺふっと撫でると大人しくなった。


「そんじゃ下ろすぞ」

「わっふ!わっふ!」

「やっぱ怖いか」

「「…」」


 わふを下ろそうとするも、じったばったして下りようとしない。終いには服を噛んでぶら下がった程だ。これには2人も堪えたようで、沈んだ表情をしていた。

基本的に考え付くのは主人公の能力と戦闘シーンだけなので、個人的な感覚として『第1話が一番難しい』ってのがあります。

それもあってぐっだぐだですけど、良ければ応援して下さい。


あ、ヒロイン?なにそれー?

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