依存された王子様
「ルミア!おいしっかりしろっ!ルミアッッ」
俺はすぐさま駆け寄って
彼女を抱き起こし、呼び訴える。
胸元で光るペンダントの光は薄くなりつつあった。
「っ”っう”--っ、リ、ォ・っぅ”リ、ォーー」
うつろな瞳で呼吸に苦しみ、俺を呼ぶ。
まるで俺を探しているかのように、俺を求める声で紡いでいた。
俺がいなかったからだ。俺が、朝顔を見ずにいったから・・--!
「ルミア!俺はここにいる。
ルミアッ、---」
彼女のつらそうな表情を見て
俺の存在が彼女の中でどれほど大きいか、知る。
必死に必死に呼びかけた、おれはそばにいると、--なのに、
「---っう、ぅく”ぅぁっ”-リ、オ、”--リォ・・っーー」
ルミアには俺の声が聞こえなかった。
俺がいるのに、どこかへ探そうと抵抗する。
「リオ様!ルミア様がーーー」
「あぁ、わかってる。
俺がいないせいで、こうなったんだろう?」
そういいながら、しっかりと彼女を抱き寄せ、体制を整える。
わかってる。
彼女が倒れて苦しむ理由も。
侍女ユラがそばにいてもどうしようもできなかったことも。
「は、はい。そうです。
ですが、リオ様がこうしているのにーー」
「あぁ。だから俺の宝珠と鎮静剤がほしい!
すぐに用意させろ、側近二人に!!」
「御意っ」
「お二方!リオ様の宝珠と鎮静剤をすぐに!!」
ユラはうなずいて、二人を呼び寄せ、命じた。
「御意」
「医者から鎮静剤をもらいにいってきます」
レルとルトは、うなずいて、それぞれひゅんっと姿をかき消した。
「俺は彼女を部屋に運ぶ」
ここでは人目を多く集めすぎる。
俺はそうつぶやき、彼女を抱いて立ち上がる。
「はい。お供します」
侍女も即座についてくる。
ルミアが倒れていたのは食事の間の近くだった。
そこからルミアの部屋まで行くにはそうかからないが、
「ッ”--リ、オーーっ、ぅぅ”リ、--ォッ”」
俺を探そうと求め動く彼女の抵抗を抑えながらは、少し胸が苦しくなった。
ちらりとみれば、息苦しい中俺を呼んでいるのがわかる。
力を入れたり抜いたりを繰り返し、深く単発な呼吸を肩でする。
助けたい。
そう素直に思う。
だが、俺がそばにいるのに気づかないルミアに胸が締め付けられる。
そして、俺をそこまで求めるルミアに対してうれしく思う。
矛盾も矛盾。
くるんしでほしくないのに、なんで歓喜する自分の心がわからなかった。
「ルミア・・--もう少しだ」
カツカツカツカツ・・カツン
ガチャッ
部屋についてドアが開けられる。
そうして、彼女の寝台に俺は腰掛け、
服越しに肌と肌を合わせるようにして密着させる。
そこまでしたところで
バタンッ!
「!」
「!!」
扉が強く開け放たれ、二人が入ってきた。
「リオ様、宝珠をお持ちしました」
「あぁ」
俺はすぐにうけとり、彼女の手の中にそれをにぎらせ、胸元に近づかせる。
「ルミア、俺だ。リオミヤだ。
俺はお前のすぐそばにいる。ルミア」
呼びながら、彼女を自分の鼓動の聞こえる胸まで頭ごとだきよせ、聞かせる。
ドクンッ”
俺の鼓動と、宝珠が脈打った。
「ルミア、俺だ。帰ってきた。だからもう大丈夫」
ゆっくりとそう言い聞かせるように言う。
「っぅ、”ぅ、--リ、オ?」
うつろな瞳に色が戻った。
顔を上げて俺を瞳に映し、理解する。
「そうだ。ルミア、リオミヤだ。
鼓動が聞こえるだろう?」
「っ!”ぅ”リオ!ッリ、オっ”リオッ!!」
俺を何度も呼びすがりながら、俺に抱きつく。
「もう大丈夫だ。勝手にいなくなったりしないから」
「っ、ぅう”っぅっくッ”うぅぁ、ぁっ、ぅぁ、ぁあああーーーー」
俺の背中に腕を回しながら彼女は泣き崩れた。
瞳から大粒の涙をこぼし始める。
ひくっ、--ひくっ、ぅう、ひゅっ、ぅくっ_”
「!」
のどが苦しそうに絞まる音が聞こえた。
まずい!
「ルト、鎮静剤を」
「は、はい!」
そうして渡された鎮静剤の液体を持ち、
「ルミア!」
叫んで、彼女の腕を俺からひきはがし、こしをぐいっと抱き寄せた。
「これを、飲め」
口にコップをあてがう。
しかし、
「っ、!う、ぅう”っっー!!」
いやいやと首を横に激しく振り飲もうとしない。
呼吸はさらに苦しくなっていく。
何かをまるではきそうなそぶりさえするほど、
音が単発に深く、何度もなる。
「チッ、ーーールミア!!」
強く叫び、俺はまっすぐにかのじょの瞳を捉えた。
「俺だけをその瞳に写せ!!」
そう強く言い残し、俺は自分の口に残りの鎮静剤を含んだ。
そしてーーー
「んっ、んんぅ!んぐっ、んぅ、んん」
唇を奪い、口をこじ開け、口伝えで液体を無理やり流し込む。
舌を器用に使い、後頭部に手を回して抵抗を抑えて飲ませた。
「んぐっ、んん」
ーーゴクンッーーー
のどが、なった。
「んっーーー」
唇を離し、俺は彼女を再び抱き寄せる。
泣き濡れた瞳からこぼれる涙をぬぐってゆっくり言った。
「ルミア、
俺はそばにいるから、今はもう寝てしまえ」
しっかり、手に宝珠を持たせて、胸元に頭を引き寄せ、
横抱きに抱きなおす。
「っ、んーー」
とろんとした瞳は俺を穏やかに見つめる。
素直に彼女はすっと眼を閉じた。
「----」
そのまま、気を失うように彼女は眠りに落ちていく。
「おやすみルミア」
安心できるように、魔力をこめて額に口づけをする。
服越しに身体を密着させて、寝るのを待った。
***
「眠り、ましたね」
しばらくして普通の呼吸に彼女が戻り深く眠り始めると
侍女ユラがいった。
「あぁ、そうだな。
レル、ルトよくやった、礼を言う」
「自分にできることがあるならいつでもおっしゃってください」
ルトが敬礼し、
「陛下があとで理由を教えるようにといってましたよ?」
と、ニヤニヤ笑ってレルは言う。
「!わかってるさ。--それよりも、ユラ」
今しでかしたことを思い出し、
カァッと頬が熱くなっていくのがわかった。
しかし、そんな暇はないと自分を叱って侍女に向き直る。
「はい」
「今日あった出来事を教えてくれ」
「はい、わかりました。」
俺の言葉に侍女はうなずいた。
「それはつい先ほど、ちょうど半刻前の夕方頃のことでしたーー」
真剣でどこか悲しそうに、彼女は語り始めた。




