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サービスの裏の努力こそ知る男

「おお、うれしい言葉だね、リオ君。

その理由を聞いてもいい?」


「シドさんの頭の辞書には諦めるって言葉がないですから」


長いカウンターに、その距離ある後ろには、

魔法を使用する上で必須のアイテムや珍しいアイテムなどが並ぶ

棚やテーブルが設けられている。


客が少ないその店の中、俺は堂々と言い切った。


「そのとおり^ボクは諦めが悪いから。

じゃあ、夜までかかるだろうけど、待っててね」


「はい」


にこっと彼は満足げに微笑した。

そうしてバーの奥に入って行く。


「--・・・」


音楽が店の中に流れた。

その中に混じって店内に会話が混じる。


静かで、そう声も響かないこの空間はとても落ち着いた。


俺は荷物の中からペンダントを取り出す。


「--ーー」


二つの値札を取って、一つは、

ペンダントをかちゃっと開けた。


ちょうど、小さい宝珠が入る大きさのくぼみがそこにはあった。


俺はポケットの中をごそごそ探り、ルミアの宝珠を取り出す。


「---」

ピカーー・・・


それは淡く輝いていた。

淡い銀色に輝き、奥に何かあるように思わせる色合いをかもし出している。


ルミアが、生きている証。


それをかちっと、その中にはめ込んだ。

サイズがぴったりで、しっかりペンダントの中に埋もれる。


俺はペンダントをしっかり閉じた。

そして、自分の首にそのペンダントを下げる。


ーールミア、お前の命、俺が預かった。

お前が自立できるまでーー俺はお前のそばにいる。


心の中でそう思いをつづった。

ペンダントを軽く握り締めて誓う。


もうひとつのペンダントには俺の宝珠を入れるつもりだった。


俺の宝珠は王がもっている。

理由は、王子である俺の安否を知るため・・のはずだ。


だったら、すぐに取り返せる。

俺の王位継承権は第三位なのだから。




***


バーで食べ物や飲物を注文して暇をつぶす。


そうして、シドさんが出てくるのを待つこと、数時間。


時計の針は夕方六時をさした。


「リオ君、できたよーー」


彼が、腕輪にクリスタルをはめ込んで俺に駆け寄ってきた。


「えらい大変だったけど、僕だから短時間でできたんだからね!」


そうして渡される銀の腕輪。


「ありがとうございます、シドさん」


そうお礼を言いながら、腕輪をじっと見つめた。


はめ込まれた無色透明なクリスタルには魔法陣が奥に刻まれていて

まるで中に埋め込まれているように見える。


そして、

その中にもうひとつ、魔法陣の中央に赤い何かがキラリと見えた。


魔法陣が魔力を隠す術式なら、赤いそれは、発信機だろう。


ずいぶんよくできている。

予想以上だ。


そして ぐるっと、銀の腕輪全体を見回した。

すると、他にも何か輪の部分に刻まれているのが目に付いて・・


「!シドさん、これ・・」


「あぁ、それ?僕からのサービス。魔力を隠したいって言ってたの思い出したから。

その子の魔力はそれほど大きいんだろう?」


そう苦労した様子も見せずに教えてくれた。


隠す魔法と、その場所を知らせる魔法 は、相反するもの。

それを混合させた挙句に、輪の部分に魔力の抑制をする術まで刻まれている。


どれだけの技術とそれを代償にする魔力の量を消費しただろう。


彼の親切と、その強さに眼を見開くしかなかった。


「あ、あと、そのサービス分は無料だから気にしないで」


「!!」


「僕の自己満足に過ぎないんだからさ。

これで君を助けられるならやすいもんだよ」


「これでも僕は君の信頼に値する人物でいたからね。

君にここを気に入ってもらいたいのさ。

こぅーでもしないと、また会いにきてくれないだろう?」


ふとさびしげに彼は問う。


「そんなことは、ない。

シドさんは、俺の信頼できる人間の一人だから。」


俺が、心を許せる相手は数少ない。

王子という身分でありながら

打算的な考えの持つ人ばかりが寄り付くことが多いからだ。


「だーかーらー!それだけじゃ足りないんだって。

ま、それはここに足を運んでくれた駄賃にでもしてチャラね。

けっこう君が来ることは大きなメリットなんだから。」


その打算的な考えを装って彼は言っているのがよくわかる。

本心ではないと見抜けてしまう。


彼は嘘は苦手だった。

でも、その中にときどき本音を混ぜてくる。


おれにサービスしたことで、

俺が感じる申し訳なさを取り払おうとしてくれるのだ。



「わかったよ、シドさん。

遠慮なくつかわせてもらう。

ーーで、注文とあわせていくらだ?」


「じゃんじゃん使ってやってね。

そーだね、注文含めて、こんくらいかな」


レジに値段が表示された。


「おつりはいらないから」


金貨を何枚かおいていくと、返される前に俺は席を立った。


荷物に腕輪やペンダントを入れる。


「えっ、あ、こんなにーーー」


「じゃあ、シドさん、またくるよ」


「あ、おい!」



ガチャッ


そうして、ドアを開け、階段を上がった。


もう、日は赤い。


ピカァアアアアア^


太陽は赤くオレンジ色に輝いて、沈もうとしていた。


周囲の人々は、これから夕飯の買出しなのか

買い物籠をもっているひとがおおい。


人がいちだんと増え始めた繁華街だった。


「よし、帰るか」


そうして、城に向かって歩みを進み始めるとーー



「リオ様!!」


前方から人の間を縫って走りよる人影を見つけた。


護衛兵の側近の格好をしたーーー


「ルト!!どうしてここに!」


レルの双子の弟ルトが、息を切らしてここまで走ってくる。


急いでいるように、あせっているように見えた。


それに嫌な胸騒ぎを感じる。


「リオ様!許嫁様がお倒れにっっ!!」


その言葉に眼を見開いた。

嫌な予感が一気に体を貫くのを感じる。


「な、なに!?ルミアが!?」


「早くおそばに!城まで瞬間移動します。

俺の肩につかまってください」


ルトはそういうなり、呪文をつむぎだした。


ルミアが一体どうしてーー!!


「あぁ!」


俺が急いで彼の肩に手を置くと、


ヒュンッッ!!


一瞬にして、目の前の風景が掻き消えた。


次の瞬間、城が目の前に現れる。


「殿下!!許嫁様がお部屋の前でーー」


門にいる兵士が現れた俺に向かって叫ぶ。


「わかった!」


俺は駆け出した。


城の中を一目散に駆け回り、そして、廊下を曲がったとたん、


倒れて苦しむ彼女の姿を視界に捕らえた。


「ルミアッ!!」


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