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プロローグ

「魔法の才能...無いですね......」


 無慈悲に告げられたその言葉はメイの心をすぐに折った。


「え?は?」


 メイは動揺を隠せなかった。

 それもそのはず、メイはなけなしのお金で制服を買い、ようやくの思いで魔法学院に通い始めたばかりだからだ。


 周りの人は当然のようにする魔術も、メイの前ではまるで難関校の入試のように感じた。


 その原因は、体内に魔力を貯めることのできない、いわば病だった。


 病気のせいで長年の夢が叶えられません。


 病は治すことのできない呪いだ。


 いくら優秀な僧侶を雇おうと、治すことはできない。


 病気のせい。だからしょうがない。諦めろ。


 そんなことを言われても諦められるわけなかった。

 5年間もこのために働いてきたのだ。

 諦めたくなかった。


「そう、ですか。」

「退学するのがよろしいでしょう。お金は一部返金しますので、」

「はい。」

「制服の分のお金もお返しするので、」

「ありがとうございます。」


 メイの意識は最早ここにはなかった。


「大丈夫ですか?」


 返事も生気が宿っていなく、学園長は心配した。


「大丈夫です。退学するので、1週間と短い間でしたが、ありがとうございました。」


 メイは形だけの礼をして学園長室から退室した。


***


『魔術の才能がない。』

 その言葉はいとも容易くメイの心を折った。


 実家に帰り、療養しても心の傷が癒えることはなかった。


「はぁ...」


 最近はメイの口から漏れる言葉は半分以上溜め息だった。

 目には光が無く、体は痩せ細っていた。


 メイの家に帰ってからの生活は基本布団の上で完結していた。

 食べて、寝る、起きたら濡れ雑巾で体を拭き、寝る。


 この繰り返し、1日に一食しか食べていないはずが、メイは一切空腹を感じなかった。


 ***


 ある日、メイは何の気なしに机の上に視線をおいた。


 机にあるものは羽ペン、ノート、そしていろいろな魔術の教本。

 教本は...結局役に立たなかったが...


 机の近くにある椅子には制服のローブが掛かっている。


 机の上を片付けようと積み重なった教本を持ち上げると、一冊落ちた。


 ゴトッと音がなり、本が開く。


 メイは目を見開いた。


『昨今、詠唱魔術が急激に発達した。異世界の言葉を使い、術者の魔術を引き換えに魔術式に干渉する。といったものだが、

 もう一つ、魔術の使用手段がある。"魔法陣型魔術"、魔力を織り込んだ特別な物質で魔法陣を描き、術式に設定された人物の意識によって魔術式に干渉するというもの。

 この使用方法はメリット・デメリットがはっきりとしている。

 メリットは発動時に魔力を使用しない。デメリットは戦闘中に魔法陣を書くことは基本できないこと..............』


 頭の中にツラツラと文字列が流れるような感覚に襲われた。


「魔法陣型魔術...」


 メイの口から言葉が漏れた。


 メイが魔術を使えない理由。それは魔力を体内に貯めることができない。

 自分の中に魔力を貯めることができない。

 だから、魔術を行使する前に魔力が分散し発動できない。


 だが、使用するときに魔力を必要しない魔法陣型なら....



 メイの瞳に光が宿った。

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