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運命おじさん
美津さんのスマホから激しめのクラシックが鳴る。僕でも知ってるベートーヴェン。着メロ文化がすでに懐かしい。
「お!椿だ。出るね。……うぇい。もしもし?」
椿さんとの接触は半ば諦めていたので虚を突かれた。火鍋の汁が鼻に入ってむせた。おでんを食べていたサクラも硬直し、口から蛸足が生えている。
「ん?サクラと友達と一緒。……え。知り合いなの?うん、そう。ご飯食べた?今、シトラスなんだけど来る?」
椿さんが今からここに来るらしい。心の準備ができていない。美津さんが電話を切る。
「蒼汰くん、椿と知り合い?サクラの友達って言ったら蒼汰も一緒なのか?って」




